【将棋解説・永世七冠誕生】
第30期竜王戦七番勝負第5局 渡辺竜王vs羽生棋聖

目次

解説動画


対局情報

棋戦
第30期竜王戦七番勝負 第5局
対局日
対局者
渡辺 明 竜王<後手>
羽生 善治 棋聖<先手>
対局場所
鹿児島県:指宿白水館
戦型
角換わり

局面解説概要

序盤

【将棋】第30期竜王戦七番勝負 第5局 渡辺明 竜王 対 羽生善治 棋聖の対局で21手指した局面
先手は昔からよく指されている5八金型を選択しました。
早めに金銀の形を決めてしまったので少し損なようですが、
羽生棋聖の強い意気込みを感じました。



【将棋】第30期竜王戦七番勝負 第5局 渡辺明 竜王 対 羽生善治 棋聖の対局で32手指した局面
後手は△8一飛から△6二金として、バランス重視の指し方を選択しました。




【将棋】第30期竜王戦七番勝負 第5局 渡辺明 竜王 対 羽生善治 棋聖の対局で36手指した局面
point
37手目:形勢判断と候補手
互角:▲9五歩、▲4七金、▲4五歩、▲2五歩、▲6八金右、▲4五銀 など
37手目の局面は非常に手が広いです。
▲9五歩と端の位を取ったり、▲4七金と陣形のバランスを保ったり、
▲4五歩と突いて▲4六角打ちを狙ったり、
▲2五歩と飛車先を突いておいたり、
▲6八金右と固めておいたり、すべて互角の良い勝負です。

本譜は▲4五銀と積極的に動きました。




中盤

【将棋】第30期竜王戦七番勝負 第5局 渡辺明 竜王 対 羽生善治 棋聖の対局で37手指した局面
point
38手目:形勢判断と候補手
互角:△5五銀
後手は、4五の銀が非常に取りづらい状況です。
△4五同銀には▲同桂△4四銀と進みます。

後手の△8一飛と△6二金の形は、とてもバランスが良いのですが、
先手の持ち駒に角と銀があると▲6三銀と打つ手があります。
△同金には▲7二角と打ち、飛車金両取りで、さらに馬ができるので先手優勢です。

▲6三銀に△6一金と引けば互角の勝負が続きますが、
凹まされて受ける展開は、最善手以外悪手ということも多いです。

本譜は△5五銀とかわしました。



【将棋】第30期竜王戦七番勝負 第5局 渡辺明 竜王 対 羽生善治 棋聖の対局で39手指した局面
point
40手目:形勢判断と候補手
互角:△2二銀、△4二銀、△3七角 など
39手目の局面、先手は▲2五歩を保留していたため、
▲2五桂と跳ねることができました。

後手としては、3七の地点に隙ができたので
△3七角と打って、先手の攻め駒を攻める指し方もあります。

▲2五桂に対して銀を引いて逃げる手は自然です。
本譜は△4二銀でした。

△2二銀は壁銀なので感覚的には指しづらいのですが、
1筋や2筋をしっかりと受けるためには、
こちらの方が良かったかもしれません。



【将棋】第30期竜王戦七番勝負 第5局 渡辺明 竜王 対 羽生善治 棋聖の対局で45手指した局面
point
46手目:形勢判断と候補手
互角:△2四歩、△8六歩
46手目の局面は△2四歩として、先手の攻めを催促する手があります。
先手は端歩を進めたり、▲1三桂成(不成)とただ捨てしたりして攻めますが、
後手も早めに桂が手に入るので、△8六歩からの反撃に勢いが付きます。

本譜は△1五歩と取ったため、後手が攻めに苦労する展開となりました。



【将棋】第30期竜王戦七番勝負 第5局 渡辺明 竜王 対 羽生善治 棋聖の対局で50手指した局面
point
51手目:形勢判断と候補手
先手有利:▲同銀、▲同歩
50手目の△8六歩のように、飛車先を突き捨ててくる手はよくあります。
歩か銀で取るしかありませんが、どちらで取るかは、いつも悩ましいです。

▲同歩は△8五歩▲同歩△同桂のような継ぎ歩攻めが気になります。
▲同銀は銀が囲いから離れるうえに、質駒になってしまうのが気になります。

どちらが良いかはケースバイケースです。

しかし、分からなかった時の1つの基準として、
相手の持ち駒に角・桂・香がある場合には「歩」で取る方がいいと思います。
銀で取ってしまうと、△8四香のように銀を攻めたり、
△6六角・△6六桂・△6六香のような手を狙って、
6筋から攻めるという方針が分かりやすくなってしまいます。

そして、相手の持ち駒が少ない場合は「銀」で取る方がいいと思います。
後手の7三桂を攻めに参加させづらくするためです。

その他の場合で迷ったら、「歩」でしょうか。
ある程度決めてしまった方が、余計な変化を読まずに済むのでいいと思います。

51手目の局面では後手の持ち駒が飛車と歩ですので、▲同銀の方がいいと思います。



【将棋】第30期竜王戦七番勝負 第5局 渡辺明 竜王 対 羽生善治 棋聖の対局で54手指した局面
point
55手目:形勢判断と候補手
先手優勢:▲8八玉、▲6八玉
55手目の局面は王手と金取りを同時に受けるならば▲6八玉で、
それも有力です。

しかし、▲8八玉の方が、囲いに入っているので負けにくいです。
金を取られても、竜の位置が3段目であることが大きいです。
竜を攻めに使うためには1段目か2段目に移動する必要がありますが、
その1手を先手が稼いでいるという意味合いがあります。



【将棋】第30期竜王戦七番勝負 第5局 渡辺明 竜王 対 羽生善治 棋聖の対局で56手指した局面
point
57手目:形勢判断と候補手
先手優勢:▲1二歩、▲4五角、▲6八銀 など
57手目の局面は▲1二歩や▲4五角と攻めて1手勝ちを狙いたくなります。
しかし、詰みや必至まではまだまだ手数がかかりますので
相手の大駒に当てながら、先手で自玉を固めた方が実戦的には負けにくいです。




終盤

【将棋】第30期竜王戦七番勝負 第5局 渡辺明 竜王 対 羽生善治 棋聖の対局で67手指した局面
point
68手目:形勢判断と候補手
先手優勢:△2二金
後手は持ち駒を温存したいところですが、△4一玉には▲6三香という手があり、
左右挟撃で「玉は包むように寄せよ」という格言通りになってしまいます。

後手の△8一飛と△6二金の形は、
捨て駒1つでバランスが崩れるということを常に意識しておきましょう。

よって、2二に合駒をするしかありませんが、
桂を打っても、次に3四の銀は取れないので先手ではありません。
消去法で考えても、△2二金と打って馬に当てるしか粘る方法がありません。



【将棋】第30期竜王戦七番勝負 第5局 渡辺明 竜王 対 羽生善治 棋聖の対局で68手指した局面
point
69手目:形勢判断と候補手
先手優勢:▲同馬、▲4五角、▲6七角、▲1五香
先手は優勢な局面なので、駒損しないように馬を逃げたくなりますが、
相手の持ち駒に金駒がない状況であれば、
馬を相手の囲いの金駒と交換してしまった方が逆に安全に勝てます。

角はそれだけ受けに使いづらい駒なのです。



【将棋】第30期竜王戦七番勝負 第5局 渡辺明 竜王 対 羽生善治 棋聖の対局で74手指した局面
point
75手目:形勢判断と候補手
先手勝勢:▲4四歩、▲6三香
この局面では▲6三香△同金▲5五桂として、
玉の守りの金を攻めよ」の格言通りに指しても寄り筋です。

本譜は▲4四歩でしたが、歩で攻めた方が
相手の持ち駒の種類が変わらないので
万が一にも逆転しない、より確実な手と言えます。



【将棋】第30期竜王戦七番勝負 第5局 渡辺明 竜王 対 羽生善治 棋聖の対局で82手指した局面
point
83手目:形勢判断と候補手
先手勝勢:▲8四香、▲4四桂 など
形勢は大差ですが「▲4二と」のように指してはいけません。
寄せはとにかく拠点を残すことが重要です。

読み切れなければ、相手玉周辺か、守りによく利いている駒に対して
安い持ち駒を打っていくのが有効です。



【将棋】第30期竜王戦七番勝負 第5局 渡辺明 竜王 対 羽生善治 棋聖の対局の投了図
87手にて、後手の渡辺竜王が投了し、渡辺竜王の1勝、羽生棋聖の4勝となりました。
羽生棋聖の積極的な仕掛けと、逆転を許さない指し方が非常に勉強になりました。

これで羽生挑戦者が竜王奪取となり、前人未到の永世七冠を達成しました。
第30期竜王戦は、全局で羽生先生の強い意気込みを感じました。

棋譜

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棋戦:第30期竜王戦七番勝負 第5局
先手:羽生善治棋聖
後手:渡辺明竜王
手数----指手---------消費時間--
1 7六歩(77) ( 0:00/00:00:00)
2 8四歩(83) ( 0:00/00:00:00)
3 2六歩(27) ( 3:00/00:03:00)
4 3二金(41) ( 0:00/00:00:00)
5 7八金(69) ( 1:00/00:04:00)
6 8五歩(84) ( 0:00/00:00:00)
7 7七角(88) ( 1:00/00:05:00)
8 3四歩(33) ( 2:00/00:02:00)
9 6八銀(79) ( 2:00/00:07:00)
10 7七角成(22) ( 2:00/00:04:00)
11 同 銀(68) ( 0:00/00:07:00)
12 2二銀(31) ( 0:00/00:04:00)
13 3八銀(39) ( 3:00/00:10:00)
14 6二銀(71) ( 2:00/00:06:00)
15 4六歩(47) (11:00/00:21:00)
16 4二玉(51) ( 3:00/00:09:00)
17 4七銀(38) ( 2:00/00:23:00)
18 3三銀(22) ( 1:00/00:10:00)
19 5六銀(47) (11:00/00:34:00)
20 7四歩(73) (19:00/00:29:00)
21 5八金(49) ( 6:00/00:40:00)
22 6四歩(63) ( 3:00/00:32:00)
23 6八玉(59) ( 2:00/00:42:00)
24 6三銀(62) ( 1:00/00:33:00)
25 3六歩(37) ( 7:00/00:49:00)
26 1四歩(13) ( 4:00/00:37:00)
27 1六歩(17) ( 2:00/00:51:00)
28 7三桂(81) ( 4:00/00:41:00)
29 9六歩(97) ( 5:00/00:56:00)
30 8一飛(82) ( 7:00/00:48:00)
31 7九玉(68) (12:00/01:08:00)
32 6二金(61) ( 7:00/00:55:00)
33 3七桂(29) ( 7:00/01:15:00)
34 3一玉(42) (14:00/01:09:00)
35 6六歩(67) (53:00/02:08:00)
36 5四銀(63) (16:00/01:25:00)
37 4五銀(56) ( 5:00/02:13:00)
38 5五銀(54) (18:00/01:43:00)
39 2五桂(37) (36:00/02:49:00)
40 4二銀(33) (40:00/02:23:00)
41 1五歩(16) ( 8:00/02:57:00)
42 3七角打 (34:00/02:57:00)
43 2九飛(28) (37:00/03:34:00)
44 4六角成(37) ( 7:00/03:04:00)
45 4九飛(29) ( 4:00/03:38:00)
46 1五歩(14) (13:00/03:17:00)
47 4六飛(49) (38:00/04:16:00)
48 同 銀(55) ( 5:00/03:22:00)
49 3四銀(45) ( 0:00/04:16:00)
50 8六歩(85) (27:00/03:49:00)
51 同 銀(77) ( 6:00/04:22:00)
52 5七銀成(46) ( 1:00/03:50:00)
53 同 金(58) (55:00/05:17:00)
54 5九飛打 ( 0:00/03:50:00)
55 8八玉(79) ( 2:00/05:19:00)
56 5七飛成(59) ( 0:00/03:50:00)
57 6八銀打 (22:00/05:41:00)
58 4八竜(57) (47:00/04:37:00)
59 5七角打 ( 6:00/05:47:00)
60 4九竜(48) ( 5:00/04:42:00)
61 1二歩打 ( 1:00/05:48:00)
62 同 香(11) ( 0:00/04:42:00)
63 1三歩打 ( 1:00/05:49:00)
64 同 香(12) ( 0:00/04:42:00)
65 同 桂成(25) (25:00/06:14:00)
66 同 桂(21) ( 0:00/04:42:00)
67 同 角成(57) ( 0:00/06:14:00)
68 2二金打 ( 0:00/04:42:00)
69 1五香(19) ( 3:00/06:17:00)
70 1三金(22) (79:00/06:01:00)
71 6七角打 ( 3:00/06:20:00)
72 1九竜(49) ( 5:00/06:06:00)
73 1三香成(15) ( 1:00/06:21:00)
74 4一玉(31) ( 2:00/06:08:00)
75 4四歩打 (10:00/06:31:00)
76 9四桂打 (26:00/06:34:00)
77 2三成香(13) ( 5:00/06:36:00)
78 同 金(32) ( 0:00/06:34:00)
79 4三歩成(44) ( 0:00/06:36:00)
80 8六桂(94) ( 1:00/06:35:00)
81 同 歩(87) ( 0:00/06:36:00)
82 6九角打 (10:00/06:45:00)
83 8四香打 ( 9:00/06:45:00)
84 同 飛(81) ( 5:00/06:50:00)
85 4二と(43) ( 0:00/06:45:00)
86 同 玉(41) ( 0:00/06:50:00)
87 4三銀打 ( 0:00/06:45:00)
88 投了 ( 0:00/06:50:00)
まで87手で先手の勝ち


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