【将棋解説】
第76期名人戦七番勝負第5局 佐藤(天)名人vs羽生竜王

目次

解説動画


対局情報

棋戦
第76期名人戦七番勝負 第5局
対局日
対局者
佐藤 天彦 名人<後手>
羽生 善治 竜王<先手>
対局場所
愛知県:亀岳林 万松寺
戦型
横歩取り

局面解説

序盤

【将棋】第76期名人戦七番勝負 第5局 佐藤天彦 名人 対 羽生善治 竜王の対局で20手指した局面
point
21手目:形勢判断と候補手
互角:▲8七歩、▲5八玉、▲1六歩、▲9六歩 など
21手目では▲8七歩と打つ手が多く指されており、無難です。
しかし、角が交換できる状況では、
必ずしも△8六歩の垂れ歩を受ける必要はありません。

例えば▲9六歩と端歩を突いて、後手が△2三銀や△7二銀のような手ならば
▲7七桂と跳ねる指し方があります。

以降、▲7五歩~▲8五歩~▲8六飛のように指していくと
先手は石田流と似た展開に持ち込むことができます。

最近のプロ棋戦で流行っていなくても、有力な変化は数多くあります。
特に安定して似たような形に誘導できる指し方は、
経験の差が生きやすいため、アマチュアの作戦としてはかなり有力です。




【将棋】第76期名人戦七番勝負 第5局 佐藤天彦 名人 対 羽生善治 竜王の対局で26手指した局面
point
27手目:形勢判断と候補手
互角:▲2八飛、▲6八玉、▲9六歩 など
26手目の△6二玉で、後手は飛車を2筋や3筋で使う可能性が高くなりました。

もし、先手の居飛車、後手の石田流という対抗形であれば
後手の美濃囲いは自然ですが、先手の中住まいは不自然です。

後手としては、視野の広い構想で作戦勝ちを狙います。



【将棋】第76期名人戦七番勝負 第5局 佐藤天彦 名人 対 羽生善治 竜王の対局で29手指した局面
point
30手目:形勢判断と候補手
互角:△3三桂
30手目は△3三桂と跳ねる一手です。
戦型に関わらず、桂を跳ねることは常に意識するようにしましょう。

△3三桂は、△2五歩と打ってから△2四飛と回って2筋を逆襲したり、
△4五桂と跳ねて先手の玉頭を攻めたりする狙いがあるので味が良い手です。




中盤

【将棋】第76期名人戦七番勝負 第5局 佐藤天彦 名人 対 羽生善治 竜王の対局で38手指した局面
point
39手目:形勢判断と候補手
互角:▲4六角、▲6八玉 など
後手からは、次に△4五桂と跳ねる攻めが分かりやすいです。
また、△2七角と打ち込んでくる手も、
▲1五角と打てば受かるのですが、気にはなります。

攻め合いが見込めない局面で大崩れしないためには、
「相手の駒に当てながら持ち駒を打って受ける」のがコツです。

手番を握ったままで、盤上の自分の駒の利きを増やすことができるので、
少しずつ受けやすくなっていきます。



【将棋】第76期名人戦七番勝負 第5局 佐藤天彦 名人 対 羽生善治 竜王の対局で43手指した局面
point
44手目:形勢判断と候補手
後手有利:△4三銀
44手目の▲3五歩に対しては△4三銀と引くしかありません。
後手としては、攻め駒が下がるので少し悔しいですが、
△3六歩と打って桂を取りに行く楽しみができました。



【将棋】第76期名人戦七番勝負 第5局 佐藤天彦 名人 対 羽生善治 竜王の対局で50手指した局面
後手は△3六歩の実現を中心に考えます。

横歩取りでは桂頭を狙うことが多いです。
持ち駒が歩だけならば、飛車の横利きだけで受けることもできます。

持ち駒が増えたりして、桂頭に歩を打たれる手が避けられなくなったら、
攻め合いを目指すタイミングである、と言えます。



【将棋】第76期名人戦七番勝負 第5局 佐藤天彦 名人 対 羽生善治 竜王の対局で59手指した局面
point
60手目:形勢判断と候補手
後手有利:△2六歩、△6二玉、△5四桂 など
駒の取り合いが終わって、少し落ち着いた局面は、
手が広いことが多いので、棋風が出やすいです。

60手目で、駒の働き重視ならば△2六歩です。
2筋の突破だけでなく、先手の飛車を閉じ込めてもいるので味が良いです。

安定重視ならば△6二玉です。
歩で王手をされる状況は、紛れが多くなるためミスをしやすいのです。

駒得重視ならば△5四桂です。
単純ではありますが、先手の5筋の守りも薄くなるので間違いのない手です。




終盤

【将棋】第76期名人戦七番勝負 第5局 佐藤天彦 名人 対 羽生善治 竜王の対局で65手指した局面
point
66手目:形勢判断と候補手
後手優勢:△2五銀、△5六歩、△5七歩、△5四銀 など
66手目も指し手が広く悩ましい局面です。

△2五銀は有力ですが、銀を手放すうえに、飛車を取るまで2手かかります。
その間に先手が攻めてきますので、紛れる可能性が少し高いです。

△5六歩や△5七歩と攻める手も有力です。
手筋の攻めですが、早逃げされると、小駒だけでは少し心細いです。

△5四銀と打って、先手からの攻めを防いでおく手も有力です。
先手の攻めを無くしておけば、△2七歩成からの攻めが確実です。

本譜は△5四歩と打ちました。
非常に手堅いですが、歩を使った攻めができなくなるので、勝ちまでは遠くなります。



【将棋】第76期名人戦七番勝負 第5局 佐藤天彦 名人 対 羽生善治 竜王の対局で74手指した局面
point
75手目:形勢判断と候補手
後手優勢:▲3四歩、▲5五歩、▲7七桂 など
先手は攻めたいのですが、持ち駒に大駒と歩しかありません。

このような場合、いきなり大駒を使ってしまうと、
金駒を受けに使われて、完全に攻めが切れてしまいます。

少しでも逆転の可能性を高めるためには、
歩を使うか、盤上の駒を活用することを優先します。



【将棋】第76期名人戦七番勝負 第5局 佐藤天彦 名人 対 羽生善治 竜王の対局で79手指した局面
point
80手目:形勢判断と候補手
後手勝勢:△4三桂、△4二銀、△4二金打 など
後手玉には▲4四飛成以下の詰めろがかかっています。
開き王手や両王手を含む変化はかなり強烈な攻めです。

駒の利きをうっかりしやすいので、
読み抜けがある可能性も高くなります。

仮に、この局面で後手玉が詰めろでなかったとしても
負けないためにはしっかりと受けておきましょう。

△4二銀や△4二金と打てば非常に手堅いです。
△4三桂は、△3五桂と角を取る手が先手玉への詰めろになるため、
最短の勝ちを目指した攻防手です。



【将棋】第76期名人戦七番勝負 第5局 佐藤天彦 名人 対 羽生善治 竜王の対局の投了図
84手にて、先手の羽生竜王が投了し、
佐藤名人の3勝、羽生竜王の2勝となりました。

投了図以降、▲6九玉に△6八銀から清算して、△5九角と打てば、
取っても逃げても金駒が3枚あるのでピッタリ詰みとなります。

本局では、佐藤名人の優位を維持する指し回しが非常に勉強になりました。

棋譜

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棋戦:第76期名人戦七番勝負 第5局
先手:羽生善治竜王
後手:佐藤天彦名人
手数----指手---------消費時間--
1 2六歩(27) ( 0:00/00:00:00)
2 3四歩(33) ( 0:00/00:00:00)
3 7六歩(77) ( 0:00/00:00:00)
4 8四歩(83) ( 0:00/00:00:00)
5 2五歩(26) ( 0:00/00:00:00)
6 8五歩(84) ( 0:00/00:00:00)
7 7八金(69) ( 0:00/00:00:00)
8 3二金(41) ( 0:00/00:00:00)
9 2四歩(25) ( 0:00/00:00:00)
10 同 歩(23) ( 0:00/00:00:00)
11 同 飛(28) ( 0:00/00:00:00)
12 8六歩(85) ( 0:00/00:00:00)
13 同 歩(87) ( 0:00/00:00:00)
14 同 飛(82) ( 0:00/00:00:00)
15 3四飛(24) ( 0:00/00:00:00)
16 3三角(22) ( 0:00/00:00:00)
17 3六飛(34) ( 0:00/00:00:00)
18 8四飛(86) ( 0:00/00:00:00)
19 2六飛(36) ( 0:00/00:00:00)
20 2二銀(31) ( 0:00/00:00:00)
21 8七歩打 ( 0:00/00:00:00)
22 7二銀(71) ( 0:00/00:00:00)
23 5八玉(59) ( 0:00/00:00:00)
24 2三銀(22) ( 0:00/00:00:00)
25 3八銀(39) ( 0:00/00:00:00)
26 6二玉(51) ( 0:00/00:00:00)
27 3六歩(37) ( 0:00/00:00:00)
28 8八角成(33) ( 0:00/00:00:00)
29 同 銀(79) ( 0:00/00:00:00)
30 3三桂(21) ( 0:00/00:00:00)
31 7七銀(88) ( 0:00/00:00:00)
32 2五歩打 ( 0:00/00:00:00)
33 2八飛(26) ( 0:00/00:00:00)
34 2四飛(84) ( 0:00/00:00:00)
35 6六銀(77) ( 0:00/00:00:00)
36 3四銀(23) ( 0:00/00:00:00)
37 3七桂(29) ( 0:00/00:00:00)
38 2六歩(25) ( 0:00/00:00:00)
39 4六角打 ( 0:00/00:00:00)
40 2一飛(24) ( 0:00/00:00:00)
41 2四歩打 ( 0:00/00:00:00)
42 4四歩(43) ( 0:00/00:00:00)
43 3五歩(36) ( 0:00/00:00:00)
44 4三銀(34) ( 0:00/00:00:00)
45 2六飛(28) ( 0:00/00:00:00)
46 2五歩打 ( 0:00/00:00:00)
47 3六飛(26) ( 0:00/00:00:00)
48 5四角打 ( 0:00/00:00:00)
49 1六飛(36) ( 0:00/00:00:00)
50 2四飛(21) ( 0:00/00:00:00)
51 5六歩(57) ( 0:00/00:00:00)
52 3六歩打 ( 0:00/00:00:00)
53 5五歩(56) ( 0:00/00:00:00)
54 3七歩成(36) ( 0:00/00:00:00)
55 5四歩(55) ( 0:00/00:00:00)
56 3八と(37) ( 0:00/00:00:00)
57 5三歩成(54) ( 0:00/00:00:00)
58 同 玉(62) ( 0:00/00:00:00)
59 3八金(49) ( 0:00/00:00:00)
60 2六歩(25) ( 0:00/00:00:00)
61 5四歩打 ( 0:00/00:00:00)
62 同 銀(43) ( 0:00/00:00:00)
63 5五銀(66) ( 0:00/00:00:00)
64 同 銀(54) ( 0:00/00:00:00)
65 同 角(46) ( 0:00/00:00:00)
66 5四歩打 ( 0:00/00:00:00)
67 4六角(55) ( 0:00/00:00:00)
68 2七歩成(26) ( 0:00/00:00:00)
69 3四歩(35) ( 0:00/00:00:00)
70 同 飛(24) ( 0:00/00:00:00)
71 3五銀打 ( 0:00/00:00:00)
72 同 飛(34) ( 0:00/00:00:00)
73 同 角(46) ( 0:00/00:00:00)
74 3八と(27) ( 0:00/00:00:00)
75 5五歩打 ( 0:00/00:00:00)
76 同 歩(54) ( 0:00/00:00:00)
77 3四歩打 ( 0:00/00:00:00)
78 4五桂(33) ( 0:00/00:00:00)
79 4一飛打 ( 0:00/00:00:00)
80 4三桂打 ( 0:00/00:00:00)
81 3三歩成(34) ( 0:00/00:00:00)
82 3五桂(43) ( 0:00/00:00:00)
83 3二と(33) ( 0:00/00:00:00)
84 5七銀打 ( 0:00/00:00:00)
85 投了 ( 0:00/00:00:00)
まで84手で後手の勝ち


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