【将棋解説】
第68期王将戦七番勝負第4局 久保王将vs渡辺棋王

目次

解説動画



対局情報

棋戦
第68期王将戦七番勝負 第4局
対局日
持ち時間
8時間(2日制)
対局者
久保 利明 王将<先手>
渡辺 明 棋王<後手>
対局場所
沖縄県:琉球新報本社ビル
戦型
三間飛車藤井システム

局面解説概要

序盤

【将棋】第68期王将戦七番勝負 第4局 久保利明 王将 対 渡辺明 棋王の対局で12手指した局面
point
13手目:形勢判断と候補手
互角:▲1五歩、▲6七銀、▲3八銀、▲4八玉 など
後手が1筋の端歩を受けなかった場合、
すぐに▲1五歩と突き越して、後手の駒組みを制限する手は有力です。
但し、振り飛車側が後手番の場合は端歩の突き越しを保留した方が無難です。
急戦を仕掛けられてしまうと、囲いが間に合わなくなる恐れがあります。

本譜は▲6七銀と上がりました。
先手は玉の移動を保留することで、後手に藤井システムを警戒させます。




【将棋】第68期王将戦七番勝負 第4局 久保利明 王将 対 渡辺明 棋王の対局で16手指した局面
point
17手目:形勢判断と候補手
互角:▲1五歩、▲4六歩、▲4八玉 など
居飛車穴熊を組ませない方針で指すならば、
17手目から▲4六歩~▲3六歩~▲3七桂として、右桂の活用を急ぎます。

尚、▲4六歩よりも先に▲3六歩と突くと瞬間的に角交換に弱い陣形となり、
△7四歩や△6四歩から急戦を狙われるため、厳密に言えばわずかに損です。
但し、▲3六歩~▲3七銀~▲3八飛の袖飛車は有力な変化で、
棒銀や玉頭攻めが好きな人にはお勧めの指し方です。



【将棋】第68期王将戦七番勝負 第4局 久保利明 王将 対 渡辺明 棋王の対局で24手指した局面
point
25手目:形勢判断と候補手
互角:▲4八飛、▲5六歩、▲2六歩 など
25手目に▲6五歩と突いて角筋を通してはいけません。
▲6五歩に対しては△4五歩と居飛車側から角交換を迫る好手があります。
三間飛車は角交換から△8六歩と突かれてしまうと、
7八の飛車が負担になってしまうので、一直線の攻め合いでは勝てません。

本譜は▲4八飛としました。
四間飛車の藤井システムは△7四歩と突かれて急戦を見せられたら、
▲4八玉から囲いを優先するのが基本的な指し方となります。
一方、三間飛車の藤井システムは△7四歩を先受けしているため、
▲4八玉を省略して、右四間飛車に振り直すことができます。



【将棋】第68期王将戦七番勝負 第4局 久保利明 王将 対 渡辺明 棋王の対局で30手指した局面
point
31手目:形勢判断と候補手
互角:▲5六銀右、▲5八金右、▲7八金、▲6八飛 など
ミレニアム囲いは優秀な藤井システム対策です。
玉は敵の角筋を避けよ」となっており、すぐに潰れることはありません。
先手は無理に仕掛けても、居玉では簡単に返り討ちにされますので、
駒組みに戻ることとなります。

31手目では、居飛車穴熊を阻止したことに満足して
▲6八飛とさらに振り直す指し方もあります。
但し、4七銀&3八金の木村美濃では堅さ負けが明白ですし、
高美濃や銀冠を目指すとなると手損が気になります。

本譜は▲5八金右としました。
玉を左側に囲う余地があるのも藤井システムの特長です。



【将棋】第68期王将戦七番勝負 第4局 久保利明 王将 対 渡辺明 棋王の対局で35手指した局面
point
36手目:形勢判断と候補手
互角:△7三桂、△8四角、△7三角、△2二銀 など
先手陣の弱点は5七や3七なので、
ここで△8四角や△7三角と出て、角の活用を急ぐ手は自然です。

本譜は△7三桂と跳ねましたが、これが好手でした。
先手の5六の銀さえ動けば△6五桂は実現できるので、
最後まで5一に角が残ってしまう恐れはなく、
また、先手玉が6八に移動したので、
△6五桂~△9五角が合駒の難しい王手となる含みがあります。
さらに、後手が狙われやすい3三の地点を守っているため、
▲3三角成 △同金 ▲2五桂のような攻め筋を未然に防いでいます。




中盤

【将棋】第68期王将戦七番勝負 第4局 久保利明 王将 対 渡辺明 棋王の対局で41手指した局面
point
42手目:形勢判断と候補手
後手有利:△5五歩、△8六歩
42手目は△5五歩と突くのが手筋です。
▲同銀は△6五桂から、5一の角を活用されてしまうので▲同角ですが、
△4四銀が角取りになるため、手順に金駒を前進させることができます。
△6五桂が実現できれば1歩は回収できますし、
何より、弱点である5七の地点を歩で攻めることができるようになります。



【将棋】第68期王将戦七番勝負 第4局 久保利明 王将 対 渡辺明 棋王の対局で52手指した局面
point
53手目:形勢判断と候補手
後手有利:▲1四歩
後手陣は桂頭の3四が弱点なので、▲3五歩は考えたい手です。
但し、本局面の場合は、△5五銀 ▲8八角としてから、
8筋の歩を交換されて△3六飛と回られると受かってしまいます。
また後手玉が遠いため、▲3五歩は攻めとして少し遅く、
攻め合いに持ち込まれても勝てなさそうです。

本譜は▲1四歩と突きました。
1筋の守りは香を吊り上げるだけで無力化できますし、
3筋を形のままにしておいた方が、少ない駒で迫りやすくなります。



【将棋】第68期王将戦七番勝負 第4局 久保利明 王将 対 渡辺明 棋王の対局で61手指した局面
point
62手目:形勢判断と候補手
後手優勢:△5六歩、△3五歩、△8六歩 など
62手目は△5六歩と打つ手が有力で、
高い駒でしか守っていない5七の地点を安い駒で攻めているので厳しいです。
先手は「玉飛接近すべからず」に反しているため、
以降は飛車を狙っても、結果的に玉が寄りやすくなっていきます。




終盤

【将棋】第68期王将戦七番勝負 第4局 久保利明 王将 対 渡辺明 棋王の対局で66手指した局面
point
67手目:形勢判断と候補手
後手優勢:▲7九玉
67手目で▲7七桂や▲7七銀としても先手になっていないので、
後手は好きなときに駒を取ることができるようになります。
後手は攻めの拠点が複数あるので、持ち駒が増えると攻め筋が豊富になり、
先手は受け切り困難となります。

本譜は▲7九玉と逃げました。
△5九角成自体は、詰めろではなく、飛車取りもタダではないので、問題ありません。

尚、本局では△6五桂~△9五角の手順が強烈でした。
そのため、対局後の振り返りでは、駒組み段階で▲6八玉~▲7八金とせずに
▲7八金~▲6九玉とした方が良かったかな、のように逆算して考えます。
もちろん、それはそれで別の将棋になりますが、試行錯誤を繰り返すことで、
急戦時には角筋を避けるような位置に自然と玉を囲うようになっていきます。



【将棋】第68期王将戦七番勝負 第4局 久保利明 王将 対 渡辺明 棋王の対局で75手指した局面
point
76手目:形勢判断と候補手
後手勝勢:△8六歩
76手目で△6九金は「王手は追う手」の典型的な例で、指してはいけません。
金は貴重な持ち駒ですので、詰み必至以外では、使わない手から考えます。

本譜は△8六歩と突きました。
逃げられそうな8筋を先に攻めつつ、飛車を攻めに活用した厳しい手です。



【将棋】第68期王将戦七番勝負 第4局 久保利明 王将 対 渡辺明 棋王の対局で81手指した局面
point
82手目:形勢判断と候補手
後手勝勢:△同飛、△7七歩 など
82手目で本譜は△同飛と取って、先手玉の寄せに入りました。
但し、8二の飛車は「攻め3:受け7」くらいで働いていましたので、
縦に動くと自陣の守備力が大幅に低下します。
先手玉を寄せ切らなければ逆転してしまいますし、後戻りはできません。
自信がなければ△7七歩や△4四歩と打って、時間を稼いで読みを深めます。



【将棋】第68期王将戦七番勝負 第4局 久保利明 王将 対 渡辺明 棋王の対局で87手指した局面
point
88手目:形勢判断と候補手
後手勝勢:△6八金
88手目は△6八金から詰んでいるのですが、それ以外の手だと逆転します。
△7八角成から迫る手順も王手が続くので、意外と難しい局面です。

詰ますしかない局面では、詰まない形から考えていくのがコツです。
この局面では、最低でも次の4つを意識しておく必要があります。

  • 7八の金を剥がさなければ、先手玉は絶対に詰まない。
  • ▲9八玉と逃げられたときに、8八に打つ金がないと詰まない。
  • ▲6七玉~▲5六玉と逃げられてしまうと、上部が抜けていて詰まない。
  • ▲8七玉まで逃げられたときに、△8六歩や△8六銀では詰まない。

そして、詰まない条件に当てはまる手は全部切り捨てて王手を読みます。
例えば、この局面で△6九金と打ってしまうと、
先手玉に9八や9六まで逃げられてしまったら金が足りなさそうです。
また、この局面から△7八角成は、▲6七玉を絶対に許さない手を考えます。
△7八角成 ▲同玉の変化は△6九銀や△7七歩のような手は先を読みません。

ここまで分かっていても、詰みを読み切ることは難しいのですが、
ハズレの手を選ばなければ、結果として詰んでいることはよくあります。
あとは日頃のトレーニングです。
有段者でも5手以内の詰将棋で十分ですので、
網羅的に王手を読むのではなく、王手を絞る考え方を意識して解きましょう。



【将棋】第68期王将戦七番勝負 第4局 久保利明 王将 対 渡辺明 棋王の対局の投了図
96手にて、先手の久保王将が投了し、
渡辺棋王の4連勝で王将のタイトル奪取となりました。

投了図以降、▲6五玉は△6四金、▲8六玉は△8五金までの詰みとなります。

本局では渡辺二冠の藤井システム対策が非常に勉強になりました。

棋譜

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棋戦:第68期王将戦七番勝負 第4局
先手:久保利明王将
後手:渡辺明棋王
手数----指手---------消費時間--
1 7八飛(28) ( 0:00/00:00:00)
2 8四歩(83) ( 1:00/00:01:00)
3 7六歩(77) ( 2:00/00:02:00)
4 8五歩(84) ( 4:00/00:05:00)
5 7七角(88) ( 0:00/00:02:00)
6 3四歩(33) ( 1:00/00:06:00)
7 6六歩(67) ( 3:00/00:05:00)
8 6二銀(71) ( 3:00/00:09:00)
9 6八銀(79) ( 3:00/00:08:00)
10 4二玉(51) ( 2:00/00:11:00)
11 1六歩(17) ( 4:00/00:12:00)
12 3二玉(42) ( 8:00/00:19:00)
13 6七銀(68) ( 5:00/00:17:00)
14 5四歩(53) ( 4:00/00:23:00)
15 3八銀(39) ( 4:00/00:21:00)
16 5三銀(62) ( 6:00/00:29:00)
17 4六歩(47) ( 4:00/00:25:00)
18 5二金(61) ( 6:00/00:35:00)
19 1五歩(16) (12:00/00:37:00)
20 3三角(22) (10:00/00:45:00)
21 3六歩(37) ( 2:00/00:39:00)
22 4四歩(43) ( 1:00/00:46:00)
23 3七桂(29) ( 4:00/00:43:00)
24 4三金(52) ( 3:00/00:49:00)
25 4八飛(78) (13:00/00:56:00)
26 5一角(33) ( 5:00/00:54:00)
27 6五歩(66) ( 2:00/00:58:00)
28 3三桂(21) ( 1:00/00:55:00)
29 4七銀(38) ( 9:00/01:07:00)
30 2一玉(32) ( 6:00/01:01:00)
31 5八金(49) ( 6:00/01:13:00)
32 7四歩(73) ( 7:00/01:08:00)
33 5六銀(47) ( 3:00/01:16:00)
34 3二金(41) ( 4:00/01:12:00)
35 6八玉(59) ( 1:00/01:17:00)
36 7三桂(81) (11:00/01:23:00)
37 7八金(69) (42:00/01:59:00)
38 7五歩(74) (25:00/01:48:00)
39 4五歩(46) (62:00/03:01:00)
40 同 歩(44) ( 9:00/01:57:00)
41 7五歩(76) ( 6:00/03:07:00)
42 5五歩(54) (35:00/02:32:00)
43 同 角(77) ( 5:00/03:12:00)
44 4四銀(53) ( 1:00/02:33:00)
45 8八角(55) (10:00/03:22:00)
46 5五歩打 ( 7:00/02:40:00)
47 同 銀(56) (11:00/03:33:00)
48 同 銀(44) (11:00/02:51:00)
49 同 角(88) ( 1:00/03:34:00)
50 5四金(43) ( 4:00/02:55:00)
51 6六角(55) (32:00/04:06:00)
52 6五桂(73) (35:00/03:30:00)
53 1四歩(15) (21:00/04:27:00)
54 同 歩(13) ( 1:00/03:31:00)
55 1三歩打 ( 1:00/04:28:00)
56 同 香(11) ( 3:00/03:34:00)
57 1五歩打 ( 4:00/04:32:00)
58 同 歩(14) (15:00/03:49:00)
59 3五歩(36) (23:00/04:55:00)
60 5五銀打 (69:00/04:58:00)
61 8八角(66) (74:00/06:09:00)
62 5六歩打 ( 8:00/05:06:00)
63 同 歩(57) (12:00/06:21:00)
64 5七歩打 ( 0:00/05:06:00)
65 4七金(58) ( 5:00/06:26:00)
66 9五角(51) (31:00/05:37:00)
67 7九玉(68) ( 9:00/06:35:00)
68 4六歩(45) ( 6:00/05:43:00)
69 1四歩打 (14:00/06:49:00)
70 同 香(13) ( 5:00/05:48:00)
71 5五歩(56) (15:00/07:04:00)
72 4七歩成(46) (21:00/06:09:00)
73 同 飛(48) (13:00/07:17:00)
74 5九角成(95) ( 9:00/06:18:00)
75 6六角(88) (11:00/07:28:00)
76 8六歩(85) (16:00/06:34:00)
77 1三銀打 ( 5:00/07:33:00)
78 2二金(32) ( 8:00/06:42:00)
79 5四歩(55) (12:00/07:45:00)
80 1三金(22) ( 5:00/06:47:00)
81 8六歩(87) ( 4:00/07:49:00)
82 同 飛(82) ( 7:00/06:54:00)
83 8七銀打 ( 6:00/07:55:00)
84 6六飛(86) ( 7:00/07:01:00)
85 同 銀(67) ( 0:00/07:55:00)
86 5六角打 ( 0:00/07:01:00)
87 4一飛成(47) ( 2:00/07:57:00)
88 6八金打 ( 0:00/07:01:00)
89 8八玉(79) ( 0:00/07:57:00)
90 7八金(68) ( 0:00/07:01:00)
91 同 銀(87) ( 0:00/07:57:00)
92 7九銀打 ( 0:00/07:01:00)
93 8七玉(88) ( 1:00/07:58:00)
94 7八角成(56) ( 0:00/07:01:00)
95 7六玉(87) ( 0:00/07:58:00)
96 5八馬(59) ( 0:00/07:01:00)
97 投了 ( 0:00/07:58:00)
まで96手で後手の勝ち


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