【将棋格言】
終盤は駒の損得より速度

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「終盤は駒の損得より速度」の読み方

しゅうばんはこまのそんとくよりそくど

「終盤は駒の損得より速度」に関連する主な駒

「終盤は駒の損得より速度」の出現頻度

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「終盤は駒の損得より速度」の説明

終盤では寄せを優先するために、自分の駒を犠牲にしたり、相手の駒を取らなかったりすることが多い、ということ。
特に序中盤において、駒得は積極的に狙い、また駒損は優先して避けるべきことである。例えば、銀を1枚タダで取られてしまうと、戦力的には銀2枚分の差が付いてしまうので、均衡が崩れて形勢を損ねる。しかし、詰みが近づくと、その対応が最優先であるため、関連度によって各駒の価値は大きく変わる。
それに基づいて終盤で重要となり得る考え方としては、相手玉の寄せを優先するために「駒を捨てて形を乱す」「必要な駒の入手を図って、それよりも標準価値の高い駒を切る」「相手玉から離れている駒を取らない」などが挙げられる。例えば、「持ち駒の角を捨てて、相手玉を下段に落とす」「自分の飛車と相手の桂を交換した後、取った桂で相手玉を詰ます」「自分の竜の利きを逸らさないために相手玉から離れている金を取らない」となる。他、自玉を寄せられないことを優先するために「駒を捨てて、相手の攻め駒を自玉から離すことで手を稼ぐ」という考え方もある。いずれも、序中盤の感覚のままだと指しづらいことが多いものの、勝つための手段なので問題にならない。
実戦においては、判断の切り替えが非常に難しい。相手玉が詰まない状況で駒を渡してしまうと、それだけ反撃が厳しくなって先に自玉を詰まされるリスクは高まる。主に双方の玉の状態から判断して、お互いにとって、価値の高い駒と低い駒をそれぞれ見極めていくことが重要である。

「終盤は駒の損得より速度」の例

【将棋格言】第30期竜王戦七番勝負第3局 渡辺竜王vs羽生棋聖で「終盤は駒の損得より速度」で竜を切る局面

[図1]

上の [図1] は、第30期竜王戦七番勝負第3局 渡辺竜王vs羽生棋聖で、99手目に先手の羽生棋聖が▲3八金と打った局面。ここで竜を逃げてしまっては、穴熊を再生されて粘られてしまう。先手の渡辺竜王は「終盤は駒の損得より速度」で△3八同竜と切って、先手の穴熊を崩し、寄せ切った。
【将棋格言】第68期王将戦七番勝負 第1局 久保利明 王将 対 渡辺明 棋王で「終盤は駒の損得より速度」とされた手を指した局面

[図2]

上の [図2] は、2018年1月13日から14日にかけて行われた第68期王将戦七番勝負 第1局 久保利明 王将 対 渡辺明 棋王の90手目に後手の久保王将が△9二玉と引いた局面。現局面では先手の5八の金がタダで取られてしまう状態だが、先手の渡辺棋王は「終盤は駒の損得より速度」で▲7八歩と打った。後手の久保王将は△5八角成と金を取ったが、後手の攻め駒が玉から離れたので先手玉が安全になり、先手は攻めるための手番を握ることができた。

「終盤は駒の損得より速度」に関連する用語

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