【将棋解説】
第31期竜王戦七番勝負第3局 羽生竜王vs広瀬八段

目次

解説動画



対局情報

棋戦
第31期竜王戦七番勝負 第3局
対局日
持ち時間
8時間(2日制)
対局者
羽生 善治 竜王<先手>
広瀬 章人 八段<後手>
対局場所
茨城県:鹿島神宮
戦型
角換わり腰掛け銀

局面解説概要

序盤

【将棋】第31期竜王戦七番勝負 第3局 羽生善治 竜王 対 広瀬章人 八段の対局で26手指した局面
本局は先手が羽生竜王、後手が広瀬八段です。
戦型は角換わり腰掛け銀になりました。



【将棋】第31期竜王戦七番勝負 第3局 羽生善治 竜王 対 広瀬章人 八段の対局で38手指した局面
point
39手目:形勢判断と候補手
互角:▲4五銀、▲4五歩、▲2五歩
先手の右金が4七に上がっている形では、▲4五銀の仕掛けもあります。
銀交換になりやすく▲6三銀~▲7二角が分かりやすい狙いです。
後手の6二金&8一飛の形では、後手の5四の銀がいなくなって、かつ、
先手の持ち駒に角と銀がある状態だと、簡単に攻め込むことができます。
但し、▲4五銀に対しては△6三銀と引く手が意外と有力で、
千日手模様になる可能性もあります。

本譜は▲4五歩と突きました。
▲2五歩と比較して、飛車よりも角を積極的に使おうという指し方です。





中盤

【将棋】第31期竜王戦七番勝負 第3局 羽生善治 竜王 対 広瀬章人 八段の対局で41手指した局面
point
42手目:形勢判断と候補手
互角:△2二銀、△4二銀、△6四角 など
42手目で、形良く△4二銀と引く手は有力ですが、
▲6五歩 △同桂に▲6六角と香取りで打たれると角筋が受けづらいです。
先手が▲4五歩&▲2五桂の形で仕掛けた場合、
後手は▲6六角や▲5五角と打たれる変化に注意する必要があります。

本譜は△2二銀と引きました。
部分的には壁銀の悪形ですが、△2四歩~△2五歩を狙った積極的な手です。



【将棋】第31期竜王戦七番勝負 第3局 羽生善治 竜王 対 広瀬章人 八段の対局で47手指した局面
point
48手目:形勢判断と候補手
互角:△6五桂打、△8六歩、△9五歩 など
48手目では△6五桂打 ▲6六銀としてから8筋で歩交換をする手順が有力です。
先手は後手の歩切れを突いて2筋から攻め込もうとしていますが、
1歩あれば△2七歩と叩く筋が生じるため、先手は攻めづらくなります。

本譜は△7二桂と打ちました。駒の使い方としては少しもったいないようですが、
様々な含みがある味の良い手で、特に5四の銀を動きやすくする狙いがあります。



【将棋】第31期竜王戦七番勝負 第3局 羽生善治 竜王 対 広瀬章人 八段の対局で56手指した局面
point
57手目:形勢判断と候補手
互角:▲6三歩成
先手は銀損の代償として、何とか2筋を突破したいところですが、
△2七歩の叩きも見えているのでゆっくりできません。
しかし、単に▲2三歩成では数が足りていません。
2三に銀などを打ち込めば数は足りますが、
現状では打ち込みに適した駒が質駒になっていません。

足し算の攻めがない場合は、引き算です。
「相手の2三の利きを減らせないか」と考えます。
▲5五角~▲2二角成という手順は魅力的ですが、
▲5五角と出た瞬間に△2七歩 ▲同飛 △3八角があって、間に合いません。
3二の金を動かすために▲5五桂~▲4三桂成という手順も考えられますが、
▲5五桂には△6五角という攻防手があり、これも間に合いません。
但し、▲5五桂はスピードアップを図ることができそうです。
事前に▲6三歩成 △同金とすれば▲5五桂が金取りになります。

このように、制約を考慮しつつ、目的から逆算していくことで、
長手数の攻め筋でも探していくことができます。



【将棋】第31期竜王戦七番勝負 第3局 羽生善治 竜王 対 広瀬章人 八段の対局で66手指した局面
point
67手目:形勢判断と候補手
互角:▲4四歩、▲2五竜、▲2八竜、▲2九竜 など
67手目で竜を引き上げる手は自然です。
竜の引き場所は2八でも2九でも良いですが、
▲2五竜 △5四銀の交換は、先手にとってわずかに得になりそうです。

但し、大駒をすぐに逃げないで、他の手を考えるクセも付けましょう。
本譜は▲4四歩と打ちました。△2三銀は▲4三歩成で寄り形です。

歩は打てるうちに打っておいた方が良い場合が多いです。
疑問手だったとしても、後で成り捨てればやり直しができることもあります。



【将棋】第31期竜王戦七番勝負 第3局 羽生善治 竜王 対 広瀬章人 八段の対局で72手指した局面
point
73手目:形勢判断と候補手
互角:▲7三角成、▲5六金、▲2二銀 など
73手目で先手が最も実現したいことは2二の突破です。
玉で守っている地点は、1度突破してしまえば、なだれ込むことができます。
分かりやすい手順としては、▲2二銀~▲1一銀不成~▲2二歩成があり、それも有力です。
しかし、手順に玉を逃げられてしまっている感じもします。
先手が2二に駒の利きを足すために、もし▲3四桂を実現できれば
4二の金取りで後手玉に逃げる暇を与えていないので、より厳しくなります。

しかし、3四には後手の歩がありますので、
▲4六桂と打ってから跳ねることになります。
幸い、▲4六桂は5四の銀取りになっていますので、
攻めが1手遅くなるということはなさそうです。

そして、桂を入手する方法を探してみると▲7三角成があります。
角桂交換は先手にとってかなりの駒損ですが、
いずれ桂が金駒に変わりそうですし、2筋を突破できる見込みがあるうえに、
後手に角を渡してもすぐに厳しい反撃はなさそうです。

自分に都合の良い手順を考えることは重要です。
その後、どこで変化する可能性が高いかということを詰めていきます。



【将棋】第31期竜王戦七番勝負 第3局 羽生善治 竜王 対 広瀬章人 八段の対局で86手指した局面
point
87手目:形勢判断と候補手
先手有利:▲4三歩
87手目ですぐに▲2二竜と入ってはいけません。
△3一角 ▲1一竜 △2二銀 ▲1二竜 △2三角のように
持ち駒を打ち続けて、徹底防戦をされる恐れがあります。
局面がさっぱりしてしまうと、先手は駒損が響いてきますし、
後手に飛車を渡すと△4九飛のような打ち込みも厳しいです。

ここは、先に▲4三歩と打って、金の守備力を下げておくことが重要です。




終盤

【将棋】第31期竜王戦七番勝負 第3局 羽生善治 竜王 対 広瀬章人 八段の対局で100手指した局面
point
101手目:形勢判断と候補手
互角:▲4四歩
101手目で▲4六歩のように指して、後手に1手の余裕を与えてしまうと
△4四角と打たれて、先手の竜が後手陣から追い出されてしまいます。
角はあまり守りに適していない駒ですが、攻め駒が少ない場合は
1度に広範囲をカバーできるという特長が生きやすくなります。

ここでは、先に▲4四歩と打つ手が有力です。
△同玉は▲4二竜~▲4六歩が厳しいので、△5三玉と寄りますが、
▲3三竜~▲4三歩成で攻め駒を増やすことができます。

本譜は▲4二金と打ちました。



【将棋】第31期竜王戦七番勝負 第3局 羽生善治 竜王 対 広瀬章人 八段の対局で105手指した局面
point
106手目:形勢判断と候補手
互角:△2六角、△6三金
106手目の局面で後手が最も防ぐべき手順は▲5三竜~▲7三竜です。
結果的に、△2六角や△6三金が有力でしたが、
いずれも気になる手順があって、なかなか指しづらい手です。
中段玉だと網羅的に指し手を読むことが多くなるため、
最善手の判断が格段に難しくなります。

本譜は△7五歩と突きました。
後手玉が8筋まで逃げることができれば、かなり安全になります。



【将棋】第31期竜王戦七番勝負 第3局 羽生善治 竜王 対 広瀬章人 八段の対局で106手指した局面
point
107手目:形勢判断と候補手
先手有利:▲4五竜
結果的に、ここで▲4五竜と銀を取る手は有力でした。
△5五桂から後手玉に逃げられてしまう手順が気になるのですが、
本譜で▲同歩と取った後の、後手の切り返しが見事でした。



【将棋】第31期竜王戦七番勝負 第3局 羽生善治 竜王 対 広瀬章人 八段の対局で117手指した局面
point
118手目:形勢判断と候補手
後手勝勢:△2九飛、△3九飛、△4九飛
118手目は、とりあえず飛車を打って王手をしておく、という局面です。
手順に攻めの足掛かりを作ることができますし、
先手は持ち駒を使って合駒するしかないので、後手玉が安全になります。

この局面では、2九・3九・4九のどこに打っても問題ありませんが、
△4九飛には▲5八玉、△3九飛には▲1七角の筋が少し気になります。
それらの変化が問題ないことを確認する時間があれば良いですが、
ノータイムで無難に指すならば消去法で△2九飛となります。



【将棋】第31期竜王戦七番勝負 第3局 羽生善治 竜王 対 広瀬章人 八段の対局で129手指した局面
point
130手目:形勢判断と候補手
後手勝勢:△7九銀
130手目では2九の飛車取りになっているので、
△6七桂成 ▲同玉 △5九飛成として、金銀を入手しつつ、
飛車取りを回避して、先手玉に迫る手順が魅力的に見えますが、
先手に桂を渡してしまったので、▲8五桂と打つ返し技があります。

対して、後手玉が逃げると詰みなので、△同飛 ▲同角となりますが、
角の利きによって先手玉の詰み手数が20手ほど伸びてしまい、
後手は冷や汗をかくどころか、詰みを逃しての逆転まで有り得ます。
特に自玉が薄いときには最後まで油断をしてはいけません。



【将棋】第31期竜王戦七番勝負 第3局 羽生善治 竜王 対 広瀬章人 八段の対局の投了図
130手にて、先手の羽生竜王が投了し、羽生竜王の2勝、広瀬八段の1勝となりました。

投了図以降、▲同玉は△5九飛成、▲5八玉は△4九角から詰みがあります。
▲7八玉や▲6九玉と逃げれば詰みはありませんが、
それぞれ△5九飛成、△6七桂成と駒を取りながら迫って受けなしです。

本局では広瀬八段の玉の広さを生かした凌ぎ方が非常に勉強になりました。

棋譜

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棋戦:第31期竜王戦七番勝負 第3局
先手:羽生善治竜王
後手:広瀬章人八段
手数----指手---------消費時間--
1 2六歩(27) ( 0:00/00:00:00)
2 8四歩(83) ( 1:00/00:01:00)
3 7六歩(77) ( 3:00/00:03:00)
4 3二金(41) ( 2:00/00:03:00)
5 7八金(69) ( 3:00/00:06:00)
6 8五歩(84) ( 1:00/00:04:00)
7 7七角(88) ( 0:00/00:06:00)
8 3四歩(33) ( 1:00/00:05:00)
9 6八銀(79) ( 0:00/00:06:00)
10 7七角成(22) ( 1:00/00:06:00)
11 同 銀(68) ( 1:00/00:07:00)
12 2二銀(31) ( 0:00/00:06:00)
13 3八銀(39) ( 7:00/00:14:00)
14 6二銀(71) ( 0:00/00:06:00)
15 4六歩(47) ( 2:00/00:16:00)
16 4二玉(51) ( 0:00/00:06:00)
17 4七銀(38) ( 2:00/00:18:00)
18 7四歩(73) ( 0:00/00:06:00)
19 3六歩(37) ( 8:00/00:26:00)
20 3三銀(22) ( 1:00/00:07:00)
21 6六歩(67) ( 5:00/00:31:00)
22 6四歩(63) ( 2:00/00:09:00)
23 5八金(49) ( 2:00/00:33:00)
24 6三銀(62) ( 1:00/00:10:00)
25 6八玉(59) ( 1:00/00:34:00)
26 7三桂(81) ( 1:00/00:11:00)
27 5六銀(47) ( 2:00/00:36:00)
28 8一飛(82) ( 2:00/00:13:00)
29 7九玉(68) ( 2:00/00:38:00)
30 6二金(61) ( 0:00/00:13:00)
31 9六歩(97) ( 8:00/00:46:00)
32 9四歩(93) ( 5:00/00:18:00)
33 1六歩(17) ( 1:00/00:47:00)
34 1四歩(13) ( 2:00/00:20:00)
35 3七桂(29) (14:00/01:01:00)
36 5四銀(63) ( 2:00/00:22:00)
37 4七金(58) (10:00/01:11:00)
38 3一玉(42) ( 4:00/00:26:00)
39 4五歩(46) (25:00/01:36:00)
40 6五歩(64) (98:00/02:04:00)
41 2五桂(37) (37:00/02:13:00)
42 2二銀(33) ( 9:00/02:13:00)
43 6五歩(66) ( 5:00/02:18:00)
44 2四歩(23) ( 2:00/02:15:00)
45 6四歩(65) ( 1:00/02:19:00)
46 2五歩(24) (38:00/02:53:00)
47 同 歩(26) ( 3:00/02:22:00)
48 7二桂打 ( 8:00/03:01:00)
49 3七角打 (69:00/03:31:00)
50 8六歩(85) (65:00/04:06:00)
51 同 歩(87) ( 3:00/03:34:00)
52 3三桂(21) ( 2:00/04:08:00)
53 2四歩(25) (31:00/04:05:00)
54 4五桂(33) ( 1:00/04:09:00)
55 同 銀(56) (32:00/04:37:00)
56 同 銀(54) ( 1:00/04:10:00)
57 6三歩成(64) ( 0:00/04:37:00)
58 同 金(62) (13:00/04:23:00)
59 5五桂打 ( 0:00/04:37:00)
60 6二金(63) ( 6:00/04:29:00)
61 4三桂成(55) (18:00/04:55:00)
62 同 金(32) ( 1:00/04:30:00)
63 2三歩成(24) ( 2:00/04:57:00)
64 同 銀(22) ( 1:00/04:31:00)
65 同 飛成(28) ( 4:00/05:01:00)
66 3二銀打 ( 1:00/04:32:00)
67 4四歩打 ( 3:00/05:04:00)
68 4二金(43) ( 0:00/04:32:00)
69 2五竜(23) ( 2:00/05:06:00)
70 5四銀(45) ( 1:00/04:33:00)
71 2三歩打 (47:00/05:53:00)
72 2一歩打 ( 2:00/04:35:00)
73 7三角成(37) ( 7:00/06:00:00)
74 同 金(62) ( 1:00/04:36:00)
75 4六桂打 ( 0:00/06:00:00)
76 3三桂打 (28:00/05:04:00)
77 2二銀打 (29:00/06:29:00)
78 4一玉(31) ( 1:00/05:05:00)
79 3三銀成(22) ( 0:00/06:29:00)
80 同 銀(32) ( 1:00/05:06:00)
81 2二歩成(23) ( 0:00/06:29:00)
82 同 歩(21) (27:00/05:33:00)
83 5四桂(46) (20:00/06:49:00)
84 同 歩(53) ( 0:00/05:33:00)
85 4五桂打 ( 0:00/06:49:00)
86 4四銀(33) (13:00/05:46:00)
87 4三歩打 ( 0:00/06:49:00)
88 同 金(42) ( 0:00/05:46:00)
89 2二竜(25) ( 0:00/06:49:00)
90 3二銀打 ( 0:00/05:46:00)
91 2一銀打 (10:00/06:59:00)
92 同 銀(32) ( 1:00/05:47:00)
93 同 竜(22) ( 0:00/06:59:00)
94 3一桂打 ( 0:00/05:47:00)
95 3二銀打 ( 6:00/07:05:00)
96 5二玉(41) ( 1:00/05:48:00)
97 4三銀成(32) ( 6:00/07:11:00)
98 同 玉(52) ( 1:00/05:49:00)
99 2二竜(21) ( 0:00/07:11:00)
100 4五銀(44) (13:00/06:02:00)
101 4二金打 (11:00/07:22:00)
102 5三玉(43) ( 1:00/06:03:00)
103 5二金(42) ( 0:00/07:22:00)
104 6四玉(53) ( 0:00/06:03:00)
105 4二竜(22) ( 1:00/07:23:00)
106 7五歩(74) (33:00/06:36:00)
107 同 歩(76) (11:00/07:34:00)
108 5八角打 (17:00/06:53:00)
109 4五竜(42) ( 2:00/07:36:00)
110 6九銀打 ( 4:00/06:57:00)
111 5三銀打 (14:00/07:50:00)
112 6三玉(64) ( 0:00/06:57:00)
113 6五竜(45) ( 2:00/07:52:00)
114 6四金(73) ( 0:00/06:57:00)
115 6九竜(65) ( 7:00/07:59:00)
116 同 角成(58) ( 0:00/06:57:00)
117 同 玉(79) ( 0:00/07:59:00)
118 2九飛打 ( 2:00/06:59:00)
119 5九銀打 ( 0:00/07:59:00)
120 6八歩打 ( 0:00/06:59:00)
121 同 玉(69) ( 0:00/07:59:00)
122 6七歩打 ( 1:00/07:00:00)
123 同 金(78) ( 0:00/07:59:00)
124 5五桂打 ( 2:00/07:02:00)
125 6四銀(53) ( 0:00/07:59:00)
126 同 桂(72) ( 0:00/07:02:00)
127 7四角打 ( 0:00/07:59:00)
128 7三玉(63) ( 3:00/07:05:00)
129 4六金(47) ( 0:00/07:59:00)
130 7九銀打 ( 4:00/07:09:00)
131 投了 ( 0:00/07:59:00)
まで130手で後手の勝ち


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