【将棋格言】
敵の打ちたいところに打て

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「敵の打ちたいところに打て」の読み方

てきのうちたいところにうて

「敵の打ちたいところに打て」に関連する主な駒

「敵の打ちたいところに打て」の出現頻度

★★★★

「敵の打ちたいところに打て」の説明

相手に持ち駒を打つ有力な含みがある場合、自分が先にそのマスへ持ち駒を打つ手も有力になりやすい、ということ。
ルール上、既に駒が配置されているマスには持ち駒を打つことができない。よって、自分が持ち駒を打てば、相手からそのマスへ持ち駒を打たれる手を防ぐことができる。この場合、そのマスへ駒を利かせることと違って、使うのは安い駒で済みやすい。仮に、その駒をタダで相手に取られたとしても、今度はその駒が邪魔をするので効果は続く。但し、打った駒が盤上に残る場合、別の働きまで見込んで高い駒になることはある。
相手の攻めを防ぐ場合は、相手玉に対する直接的な脅威とはなりにくいので、相手から持ち駒を打たれる手が非常に厳しかったり、目先の狙いがそれだけであったりすることが重要となる。自分の持ち駒1枚とそれを打つ1手を費やすことの代償として見合っているかの判断が求められる。
他に、相手陣の修復を防ぐ場合にも、この格言が当てはまることは多い。盤上の駒と比較して持ち駒は自由度が高いので、相手の持ち駒の価値が高まらないように、盤面を広く見て、常に使い道を確認しておくことは重要である。

「敵の打ちたいところに打て」の例

【将棋格言】第65期王座戦五番勝負 第4局 羽生善治 王座 対 中村太地 六段で「敵の打ちたいところに打て」となった局面

[図1]

上の [図1] は、第65期王座戦五番勝負 第4局 羽生善治 王座 対 中村太地 六段で、60手目に後手の中村六段が△7一歩と打った局面。次に先手から▲7一飛と打つ攻めが速かったが「敵の打ちたいところに打て」で歩を打たれてしまったので飛車を打つことができなくなってしまった。
【将棋格言】第67期王将戦七番勝負 第2局 久保利明 王将 vs 豊島将之 八段の対局で「敵の打ちたいところに打て」となった局面

[図2]

上の [図2] は、第67期王将戦七番勝負 第2局 久保王将 vs 豊島八段で、65手目に先手の豊島八段が▲9七同香と指した局面。次に先手が▲9八歩と打ってしまうと、穴熊が再生し、攻め方が難しくなってしまう。ここで、後手の久保王将は「敵の打ちたいところに打て」で△9八歩と打って、1歩の犠牲で先手玉を寄せやすくした。▲同玉と取らせることで、玉が露出して王手がかかりやすくなったうえに、▲9八歩も打てなくなっている。
【将棋格言】第60期王座戦五番勝負第4局「渡辺明 王座 vs 羽生善治 二冠」の対局で「敵の打ちたいところに打て」となった局面

[図3]

上の [図3] は、2012年10月3日に行われた第60期王座戦五番勝負第4局「渡辺明 王座 vs 羽生善治 二冠」の対局で122手目の局面。△8九金のように打って先手玉に詰めろをかけると、後手玉は詰まされてしまう。ここで後手の羽生二冠は「敵の打ちたいところに打て」で△6六銀と打った。(下の [図4] )
【将棋格言】第60期王座戦五番勝負第4局「渡辺明 王座 vs 羽生善治 二冠」の対局で「敵の打ちたいところに打て」で△6六銀と打った局面

[図4]

相手の歩の前に持ち駒の銀をただ捨てするという妙手だが、▲同歩と取ると、先手が▲6六桂と打つことができなくなり、後手玉が詰まなくなるため、△8九金を打つ手が間に合うようになる。実戦は、この後、千日手指し直しとなった。
【将棋格言】第32期竜王戦七番勝負 第4局 広瀬章人 竜王 対 豊島将之 名人で「敵の打ちたいところに打て」とされた手を指した局面

[図5]

上の [図5] は、2019年11月21日から22日にかけて行われた第32期竜王戦七番勝負 第4局 広瀬章人 竜王 対 豊島将之 名人の67手目に先手の広瀬竜王が▲1五香と走った局面。ここで単に△1二歩と打つと、▲1四歩と打たれてしまい、歩で桂を取られてしまう。本譜は「敵の打ちたいところに打て」で、△1四歩と打って▲同香と近づけてから、△1二歩と打った。

「敵の打ちたいところに打て」に関連する用語

「敵の打ちたいところに打て」に関連する手筋


 

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