目次
解説動画
王将戦第3局
王将戦第5局
棋王戦第1局
対局情報
局面解説概要
序盤
13手目:形勢判断と候補手
互角:▲8八飛、▲4八銀、▲5六歩、▲6八玉 など
先手は振り飛車を目指すならば、13手目の局面で飛車を回ります。
後手に△2五歩と2筋を突き越されてから飛車を回ると
すかさず△2六歩と突かれて、▲同歩 △同飛の後、
2筋を受けるために▲2八歩と打たなければなりません。
序盤で含みを持たせた指し方をする場合、
しっかりと相手の動きを見ながら、
いつまで指し手を保留できるかを考える必要があります。
後手は早めに△7四歩と突いて、矢倉の形を目指しました。
金無双よりは矢倉の方が壁銀の形もなく、
上部に厚みがあるので良い、とは言われています。
しかし、囲いに手数がかかり、争点も増えるので、攻められやすくもなります。
攻める準備もしながら、相手の出方を見て、
自玉の囲いを進展させるかどうかを判断しましょう。
相振り飛車は、いきなり形勢に差が付くことは少ないです。
しかし、有効に動かせる駒が徐々に少なくなってくるので、
駒組みが飽和状態になった際に、作戦勝ち・作戦負けがハッキリしやすいです。
指し慣れないうちは非常に難しい戦型だと思います。
40手目:形勢判断と候補手
互角:△8二銀
39手目の▲7四歩は非常に鋭い1手です。
△同銀は▲7五歩 △8五銀とした後に、▲5九角と引くと、飛車銀両取りとなります。
対局中は、常に盤を広く見て、簡単に駒損しないように注意しましょう。
他の応手で、△6四銀は▲9五歩 △同歩 ▲9四歩の端攻めが気になります。
よって、駒損もせず、端攻めも受けるためには△8二銀と引くしかありません。
先手からの攻めはやや遅くなりましたが、
後手は壁銀がやや不満なので、この形が終盤まで残らないように注意します。
44手目:形勢判断と候補手
互角:△7三歩、△4五歩、△1四歩 など
44手目は△7三歩と合わせて、7筋の先手の拠点を払いながら、
壁銀を解消する手があります。
今度は浮き駒がないので、両取りのような技がかかりません。
本譜は、△4五歩として、角と左桂の活用を優先しました。
後手は陣形が低いので、先手が攻めてくるまで余裕があります。
そして、1筋からの端攻めが分かりやすく、作戦勝ちと言えます。
先手は、少し変わった囲いになりましたが、あらかじめ後手の端攻めに備えました。
中盤
58手目:形勢判断と候補手
互角:△1六香、△1八歩 など
58手目以降、端攻めを絡めた2通りの攻め方があります。
1つは、単に△1六香と走り、▲1八歩 △1七香成 ▲同歩と桂を取った後、
△2五桂と△3五歩を絡めて、3筋の玉頭を狙います。
もう1つは、△1八歩と打ち、△1六香から△1二飛として1筋突破を狙います。
この△1八歩は手筋で、△1六香に対して、
先手が▲1八歩と受けるスペースを消しています。
1歩は損しますが「
敵の打ちたいところに打て」です。
どちらも有力な変化だと思います。
尚、穴熊攻略の際にも、似たような変化が出てくる場合があります。
先手は、後手の攻めを完全に受け切ることが難しそうです。
しかし、攻め合うためには左桂を使わなければ攻め駒が足りません。
ずっと左桂を跳ねるタイミングをうかがっていましたが、
ようやく攻め合いに持ち込むことができました。
79手目:形勢判断と候補手
互角:▲5五桂
持ち駒に桂があって、相手の守りの金が3段目にいる場合、
相手の金取りに桂を打つ手が好手になる場合は多いです。
これは相手の囲いが美濃囲い・銀冠・穴熊などでも共通です。
相手の守りの金をはがしながら、金桂交換の駒得ができれば1番良いですが、
そうでなくても、駒得したり、拠点が残ったりして指しやすくなることが多いです。
84手目:形勢判断と候補手
後手有利:△4五桂打
84手目の局面、再度、後手に手番が回ってきました。
大駒が交換になっているので、ゆっくりはできませんが、
後手の持ち駒に金駒はなく、拠点もありません。
このような場合、相手の金駒に当たりになるような手を指しましょう。
そうすれば、少なくとも受け一方になることはありません。
ここは、持ち駒の桂を使って△4五桂打とする1手です。
同じ様でも、3三にいる桂を跳ねて△4五桂としてはいけません。
3三にいる桂の利きは、先手の入玉を阻止するための、防衛ラインでもあるのです。
終盤
先手玉も堅くはないので怖いですが、広さを生かして粘れそうです。
後手が歩切れということも大きく、△4五歩や△4六歩のような
退路封鎖を心配する必要がありません。
しかし、先手は攻め駒が少なく、また、△4一飛や△1七香成のように、
質駒を取られる手が常に考えられるため、非常に神経を使います。
後手玉に王手をかけても逃げられるだけなので、腹銀の手筋で玉周辺の金をはがします。
108手目:形勢判断と候補手
後手優勢:△2八銀、△2九銀、△5四歩、△1七香成、△4一飛
108手目の局面、後手も玉が薄くなってきたので、
△7八歩成のような手では、攻め合い負けします。
但し、1枚ならば先手に金駒を渡しても、詰まされる心配がありません。
今のうちに少し無理をしてでも先手玉に食いついておきたいところです。
現状では、先手の4九に打った歩が受けによく利いています。
もし、この歩を竜で取ることができれば、
5八の金や4一の馬を取ることができそうです。
そして、この歩にひもを付けているのは玉だけです。
つまり、玉の利きが4九からなくなれば△4九竜が実現します。
よって、ここは△2八銀や△2九銀と打ち込んでみたいです。
▲同玉と取れば、詰めろや王手で、先手玉を追いつめながら、
金や馬を取り返すことができます。
本譜は▲4八玉と逃げましたが、左右挟撃のための拠点を作ることができました。
先手も攻めますが、後手玉が広いので、少し駒が足りません。
それでも、後手玉を上部から押さえる形を作り、
後手が寄せ間違えたら逆転するようにしています。
後手は、逆転されないように、しっかりと勝ちを読み切ってから大駒を切ります。
どうしても制限時間内に勝ちを読み切れなかった場合に備えて、
△4三飛のような受けの手を見つけておくと慌てずに済むでしょう。
130手にて、先手の豊島八段が投了し、久保王将の3勝、豊島八段の1勝となりました。
久保王将の鋭い寄せと、相手の攻めの見切り方が非常に勉強になりました。
棋譜
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棋戦:第67期王将戦七番勝負 第4局
先手:豊島将之八段
後手:久保利明王将
手数----指手---------消費時間--
1 7六歩(77) ( 0:00/00:00:00)
2 3四歩(33) ( 0:00/00:00:00)
3 9六歩(97) ( 0:00/00:00:00)
4 9四歩(93) ( 0:00/00:00:00)
5 6六歩(67) ( 0:00/00:00:00)
6 3三角(22) ( 0:00/00:00:00)
7 7八銀(79) ( 0:00/00:00:00)
8 2二飛(82) ( 0:00/00:00:00)
9 7七角(88) ( 0:00/00:00:00)
10 4二銀(31) ( 0:00/00:00:00)
11 6七銀(78) ( 0:00/00:00:00)
12 2四歩(23) ( 0:00/00:00:00)
13 8八飛(28) ( 0:00/00:00:00)
14 2五歩(24) ( 0:00/00:00:00)
15 2八銀(39) ( 0:00/00:00:00)
16 8二銀(71) ( 0:00/00:00:00)
17 8六歩(87) ( 0:00/00:00:00)
18 7四歩(73) ( 0:00/00:00:00)
19 4八玉(59) ( 0:00/00:00:00)
20 7二金(61) ( 0:00/00:00:00)
21 3八玉(48) ( 0:00/00:00:00)
22 6二玉(51) ( 0:00/00:00:00)
23 5八金(69) ( 0:00/00:00:00)
24 5二金(41) ( 0:00/00:00:00)
25 8五歩(86) ( 0:00/00:00:00)
26 7三銀(82) ( 0:00/00:00:00)
27 8六角(77) ( 0:00/00:00:00)
28 4四歩(43) ( 0:00/00:00:00)
29 7五歩(76) ( 0:00/00:00:00)
30 同 歩(74) ( 0:00/00:00:00)
31 同 角(86) ( 0:00/00:00:00)
32 4三銀(42) ( 0:00/00:00:00)
33 8六角(75) ( 0:00/00:00:00)
34 5四銀(43) ( 0:00/00:00:00)
35 3六歩(37) ( 0:00/00:00:00)
36 2六歩(25) ( 0:00/00:00:00)
37 同 歩(27) ( 0:00/00:00:00)
38 同 飛(22) ( 0:00/00:00:00)
39 7四歩打 ( 0:00/00:00:00)
40 8二銀(73) ( 0:00/00:00:00)
41 3七銀(28) ( 0:00/00:00:00)
42 2二飛(26) ( 0:00/00:00:00)
43 2七歩打 ( 0:00/00:00:00)
44 4五歩(44) ( 0:00/00:00:00)
45 7八飛(88) ( 0:00/00:00:00)
46 4四角(33) ( 0:00/00:00:00)
47 5六歩(57) ( 0:00/00:00:00)
48 3三桂(21) ( 0:00/00:00:00)
49 4八金(58) ( 0:00/00:00:00)
50 1四歩(13) ( 0:00/00:00:00)
51 3九金(49) ( 0:00/00:00:00)
52 1五歩(14) ( 0:00/00:00:00)
53 9八香(99) ( 0:00/00:00:00)
54 1六歩(15) ( 0:00/00:00:00)
55 同 歩(17) ( 0:00/00:00:00)
56 1七歩打 ( 0:00/00:00:00)
57 同 桂(29) ( 0:00/00:00:00)
58 1八歩打 ( 0:00/00:00:00)
59 同 香(19) ( 0:00/00:00:00)
60 1六香(11) ( 0:00/00:00:00)
61 2八金(39) ( 0:00/00:00:00)
62 1二飛(22) ( 0:00/00:00:00)
63 1九歩打 ( 0:00/00:00:00)
64 4六歩(45) ( 0:00/00:00:00)
65 同 歩(47) ( 0:00/00:00:00)
66 4五歩打 ( 0:00/00:00:00)
67 7七桂(89) ( 0:00/00:00:00)
68 4六歩(45) ( 0:00/00:00:00)
69 6五桂(77) ( 0:00/00:00:00)
70 6四歩(63) ( 0:00/00:00:00)
71 同 角(86) ( 0:00/00:00:00)
72 6三金(52) ( 0:00/00:00:00)
73 4六角(64) ( 0:00/00:00:00)
74 6四歩打 ( 0:00/00:00:00)
75 7三桂成(65) ( 0:00/00:00:00)
76 同 桂(81) ( 0:00/00:00:00)
77 同 歩成(74) ( 0:00/00:00:00)
78 同 銀(82) ( 0:00/00:00:00)
79 5五桂打 ( 0:00/00:00:00)
80 同 銀(54) ( 0:00/00:00:00)
81 同 角(46) ( 0:00/00:00:00)
82 同 角(44) ( 0:00/00:00:00)
83 同 歩(56) ( 0:00/00:00:00)
84 4五桂打 ( 0:00/00:00:00)
85 2三角打 ( 0:00/00:00:00)
86 1三飛(12) ( 0:00/00:00:00)
87 4一角成(23) ( 0:00/00:00:00)
88 7七歩打 ( 0:00/00:00:00)
89 5八飛(78) ( 0:00/00:00:00)
90 3七桂成(45) ( 0:00/00:00:00)
91 同 金(28) ( 0:00/00:00:00)
92 7五桂打 ( 0:00/00:00:00)
93 5六銀(67) ( 0:00/00:00:00)
94 6七銀打 ( 0:00/00:00:00)
95 5二銀打 ( 0:00/00:00:00)
96 5八銀成(67) ( 0:00/00:00:00)
97 同 金(48) ( 0:00/00:00:00)
98 8八飛打 ( 0:00/00:00:00)
99 6八桂打 ( 0:00/00:00:00)
100 1一飛(13) ( 0:00/00:00:00)
101 6三銀成(52) ( 0:00/00:00:00)
102 同 金(72) ( 0:00/00:00:00)
103 5二銀打 ( 0:00/00:00:00)
104 7四銀(73) ( 0:00/00:00:00)
105 5四歩(55) ( 0:00/00:00:00)
106 8九飛成(88) ( 0:00/00:00:00)
107 4九歩打 ( 0:00/00:00:00)
108 2九銀打 ( 0:00/00:00:00)
109 4八玉(38) ( 0:00/00:00:00)
110 2八角打 ( 0:00/00:00:00)
111 4二馬(41) ( 0:00/00:00:00)
112 1七香成(16) ( 0:00/00:00:00)
113 6三銀成(52) ( 0:00/00:00:00)
114 同 玉(62) ( 0:00/00:00:00)
115 5三歩成(54) ( 0:00/00:00:00)
116 7二玉(63) ( 0:00/00:00:00)
117 6二と(53) ( 0:00/00:00:00)
118 同 玉(72) ( 0:00/00:00:00)
119 6四馬(42) ( 0:00/00:00:00)
120 4一飛(11) ( 0:00/00:00:00)
121 4七銀(56) ( 0:00/00:00:00)
122 3七角成(28) ( 0:00/00:00:00)
123 同 玉(48) ( 0:00/00:00:00)
124 2五桂打 ( 0:00/00:00:00)
125 4八玉(37) ( 0:00/00:00:00)
126 3七銀打 ( 0:00/00:00:00)
127 5七玉(48) ( 0:00/00:00:00)
128 4七飛成(41) ( 0:00/00:00:00)
129 同 金(58) ( 0:00/00:00:00)
130 5九龍(89) ( 0:00/00:00:00)
131 投了 ( 0:00/00:00:00)
まで130手で後手の勝ち
王将戦第3局
王将戦第5局
棋王戦第1局