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将棋のマナーについて
将棋は、礼儀を重んじた伝統文化です。
ルールとして明文化されていなくても、気を付けるべきマナーが多数あります。
実際に将棋道場などで対局をしてみないと分かりづらいとは思いますが、
なかなか教えてもらえない部分でもあります。是非、知っておいてください。
初心者のうちは、すべてを把握できないままで対局しても問題ありませんが、
相手には初心者であることを伝えておいた方が無難です。
(大会などに出る場合は、事前に身に付けておきましょう。)
①対局前後のマナー
1-1.しっかりとあいさつをする
対局前、対局開始時の「よろしくお願いします。」
対局終了時の「ありがとうございました。」
これは基本中の基本です。軽くお辞儀をしながら、
しっかりと相手に聞こえるようにあいさつをしましょう。
1-2.上位者を意識する
対局者の2人には上位者・下位者という概念があり、
使用する駒(玉or王)や準備・片付けの作業内容が異なります。
基本的には棋力が上の人が上位者となります。
しかし、やや年齢が離れていたり、将棋の実績に差があったりする場合には、
棋力を考慮せず目上の人が上位者となることもあります。
そうなると少し困るのは、大会などで知らない相手との対局になり、
同年代で、かつ、棋力が不明の場合ですが、そういう時は特に気にしなくて良いです。
厳密なルールはありません。
よって、譲り合いとなることも多いのですが、
「譲り過ぎて対局が始まらない」ということがないようにしましょう。
プロの場合、タイトル戦では、そのタイトル保持者が必ず上位者となります。
それ以外の場合、段位が上、段位が同じならば早くプロ棋士になった方が
上位者になることが多いです。
しかし、対局に慣れているプロでも、譲り合いがよく起こっています。
1-3.座る場所
将棋道場などでは、あまり気にする必要はありません。
空いている場所を探してスムーズに着席し、対局の準備をしましょう。
和室で指導対局を受けるような場合は、上座(かみざ)・下座(しもざ)があります。
そして、上位者が上座に座ることとなります。
上座・下座の区別がつきにくいこともありますが、
掛け軸などが飾ってある方が上座になることが多いです。
分からなければ「下座はどちらになりますか?」のように聞くといいでしょう。
1-4.駒は上位者が準備・片付けをする
駒の準備(盤の上に広げる)や片付け(駒箱にしまう)は
上位者がやることになっています。
「雑用は喜んで!」とばかりに下位者が手を出さないようにしましょう。
尚、将棋道場などでは、駒が盤上に置いたままになっていることも多いです。
その場合、気にする必要はありませんし、駒を駒箱にしまう必要もありません。
1-5.王(王将)は上位者、玉(玉将)は下位者が使う
駒を並べる時、最初に上位者が王(王将)を取って並べます。
その後、下位者が玉(玉将)を取って並べます。
(漢字に点が付いていない「王(王将)」の方が上位者用です。)
尚、駒によっては、王(王将)がなく、玉(玉将)が2枚ある場合があります。
それを双玉といいますが、その場合は駒の種類を意識する必要がありません。
但し、上位者が玉(玉将)を取ったことを確認してから、
下位者も玉(玉将)を取るようにして、流れを合わせた方が良いでしょう。
1-6.振り駒は上位者が行う
駒落ちの対局は、駒を落とした側(上手[うわて])が必ず先に指します。
駒を落としていない平手(ひらて)戦で、先手後手が決まっていない場合、
先手後手を決める必要があります。
友達同士ならばじゃんけんで決めてもいいですが、
基本的には振り駒によって決めます。
振り駒は上位者が、自分が並べた5枚の歩を両手に取って、よく振ってから投げます。
「歩」が多ければ振った人が先手、「と」が多ければ振った人が後手となります。
アマチュアの対局では、振り駒についての厳密なルールがないことがほとんどです。
プロの対局では歩の枚数は5枚で、大きな布などを畳に敷いて、
その上へ大きく放り投げます。立った駒や、すべての重なった駒は無効です。
しかし、将棋道場などではそこまでのスペースがありません。
歩は盤上に軽く散らすような感じで投げますし、
重なりやすいので、歩の枚数を3枚や1枚に減らすこともあります。
立った駒は無効にするしかありませんが、重なった駒は有効にすることもあります。
自信がなければ「振り駒をお願いします」のように言って、
相手に譲ってもいいでしょう。
1-7.感想戦
対局後は、なるべく感想戦をしましょう。
特に負けた方が機嫌を損ねてはいけません。
どこで間違えたと思ったか、他に良い手はなかったか、詰みを逃していないか、
思ったことを相手に伝え合い、駒を動かして確認します。
感想戦は上達のための近道です。
時間がない場合でも一言二言は交わすようにしましょう。
尚、インターネット対局の場合、
チャットでの感想戦は知り合いでもなければ滅多に行いません。
終局後の質問などは自由ですが、チャットが苦手な方もいることは意識しましょう。
基本的には定型文の挨拶だけで十分ですし、すぐに退室することがほとんどです。
1-8.駒を駒箱にしまう時には枚数を数える
紛失防止のため、駒を駒箱にしまう時には、駒の種類ごとにまとめて
枚数を数えながらしまいましょう。
玉・王→飛(2枚)→角(2枚)→金(4枚)→銀(4枚)→桂(4枚)→香(4枚)→歩(18枚)
のように順番を決めておくと、より確実です。
(「余り歩」と言って、予備の歩が1~2枚ある場合もあります。)
②対局中のマナー
2-1.駒はマス目の真ん中にきれいに置く
盤上の駒は、マス目の真ん中にきれいに置きましょう。
駒の下辺を、マス目の線から、少しだけ離して置く人が多数派です。
マス目の線にくっつけてもいいですが、そちらは少数派です。
着手時に駒がずれてしまった場合は、すぐに自分できれいに置き直します。
対局時計を使用している場合には、原則として自分の時間を消費するようにします。
(きれいに置き直してから対局時計のボタンを押します。)
駒を乱した状態で対局時計のボタンを押してしまった場合は、
相手に謝りつつ、速やかに盤上を整えます。
(公正さを保つため、相手が対局時計を一時停止できる場合もあります。)
2-2.持ち駒はきれいに並べて置く
持ち駒は、同じ種類ごとにまとめて、表向きで、きれいに並べて置くようにしましょう。
駒をぐちゃぐちゃに置いたり、裏返したり、重ねたりしてはいけません。
逆に、相手の持ち駒が見えづらい場合は、
「その持ち駒は何ですか?」のように発言しても問題ありません。
また、相手の駒を勝手に触ることはマナー違反ですが、持ち時間が少ない場合などに、
相手の重なっている持ち駒を少しすらず程度であれば問題ありません。
相手に配慮したうえで、公正で速やかな進行となるような対応を心掛けてください。
2-3.待ったをしない
着手した後に「あっ、間違えた!」「ちょっと待てよ…」などと思っても、
勝手に駒を戻してはいけません。
ルール上は、駒から指を離したら着手完了です。
そして、待ったは反則なので、大会などでは戻してしまった瞬間に負けとなります。
仮に対局時計を使用している場合で、対局時計のボタンを押す前であってもアウトです。
指導対局や知り合いとの遊びの対局であれば許されることは多いですが、
本当は負けなので、そのことを意識したうえで了解を得ましょう。
2-4.着手以外でなるべく駒に触らない
着手は手短に行います。いつまでも駒を押さえていてはいけません。
また、それ以外ではなるべく駒に触らないようにしましょう。
盤上に手を近づけると相手の思考の妨げになります。
駒の傾きを直す場合も、なるべく着手直後にするようにしましょう。
2-5.相手の邪魔をしない
駒を不必要に盤に打ち付ける(空打ち)、観戦者と雑談をする、ため息をつく、ボヤく、
音や匂いの出るものを食べる、キョロキョロとよそ見をする、スマホをいじる、
のように相手が気になる可能性のある言動は極力避けましょう。
集中していると、無意識のうちにやってしまうこともありますが、
なるべく減らすように努力をすることは大事です。
2-6.相手が取る1手でも大駒は必ず成る
序盤の角交換(▲2二角成・△8八角成など)によく見られるのですが、
どうせ相手は大駒を取り返す1手だからという理由で
大駒を成らないのはマナー違反です。
「常に全力で対局に臨む姿勢を見せる」
ということが相手に対する敬意を表していることに繋がるのです。
2-7.同じ駒を交換する際に相手の駒をひっくり返さない
角や飛車を交換する際に、相手の駒をひっくり返して自分の駒にしたうえで、
元の自分の駒を持ち駒として駒台に移動する指し方はマナー違反です。
持ち時間がある大会などでは、反則と判断されてもおかしくない指し方です。
2-8.離席する場合は軽く断りを
対局中、トイレに行くことは問題ありません。
相手は考え中だと思いますが、「失礼します」と小声で言うか、
最低でも会釈をしてから席を立つようにしましょう。
尚、対局時計を使用している場合は、
自分の持ち時間が十分にあるタイミングで離席してください。
離席中に自分の持ち時間が切れたら、当然負けです。
2-9.投了はしっかりと
将棋を指しているなかで、投了することは1番つらいです。
自分のミスにイライラしたり、落ち込んだりしていることも多いですが、
それを相手にぶつけてはいけません。
しっかりと「負けました」と言って、
負けた方から進んで感想戦を行うようにしましょう。
インターネット対局でも同様です。
負けたと思っても、接続切れや放置などはせずに、潔く投了ボタンを押しましょう。
2-10.勝った方は、喜びを表に出さないように
将棋で勝つととても嬉しいです。
しかし、目の前には負けた相手がいますので、配慮しましょう。
剣道ではガッツポーズが反則になるようです。
将棋はそこまで厳しくルール化はされていませんが、同様だと思いましょう。
③観戦中のマナー
3-1.対局者の邪魔にならないようにする
私語や飲食を控えることはもちろんですが、
のぞき込んだり、影が盤上に映ってユラユラするようなことも
対局者は気になります。
盤の近くで見るのは大丈夫なことが多いですが、
なるべくジッとしているようにしましょう。
3-2.感想戦に配慮する
盤の横で見ているような場合、
聞きたいことがあれば、感想戦で聞いて構いません。
但し、対局者同士の会話が優先ですので、
言葉を挟むタイミングには注意しましょう。
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