[図1]
上の [図1] は、第65期王座戦五番勝負 第4局 羽生善治 王座 対 中村太地 六段で、60手目に後手の中村六段が△7一歩と打った局面。次に先手から▲7一飛と打つ攻めが速かったが「敵の打ちたいところに打て」で歩を打たれてしまったので飛車を打つことができなくなってしまった。[図2]
上の [図2] は、第67期王将戦七番勝負 第2局 久保王将 vs 豊島八段で、65手目に先手の豊島八段が▲9七同香と指した局面。次に先手が▲9八歩と打ってしまうと、穴熊が再生し、攻め方が難しくなってしまう。ここで、後手の久保王将は「敵の打ちたいところに打て」で△9八歩と打って、1歩の犠牲で先手玉を寄せやすくした。▲同玉と取らせることで、玉が露出して王手がかかりやすくなったうえに、▲9八歩も打てなくなっている。[図3]
上の [図3] は、2012年10月3日に行われた第60期王座戦五番勝負第4局「渡辺明 王座 vs 羽生善治 二冠」の対局で122手目の局面。△8九金のように打って先手玉に詰めろをかけると、後手玉は詰まされてしまう。ここで後手の羽生二冠は「敵の打ちたいところに打て」で△6六銀と打った。(下の [図4] )[図4]
相手の歩の前に持ち駒の銀をただ捨てするという妙手だが、▲同歩と取ると、先手が▲6六桂と打つことができなくなり、後手玉が詰まなくなるため、△8九金を打つ手が間に合うようになる。実戦は、この後、千日手指し直しとなった。[図5]
上の [図5] は、2019年11月21日から22日にかけて行われた第32期竜王戦七番勝負 第4局 広瀬章人 竜王 対 豊島将之 名人の67手目に先手の広瀬竜王が▲1五香と走った局面。ここで単に△1二歩と打つと、▲1四歩と打たれてしまい、歩で桂を取られてしまう。本譜は「敵の打ちたいところに打て」で、△1四歩と打って▲同香と近づけてから、△1二歩と打った。- スポンサーリンク -
将棋解説 |
---|
実戦解説一覧 |
- スポンサーリンク -