目次
解説動画
竜王戦第1局
竜王戦第3局
対局情報
局面解説概要
序盤
25手目：形勢判断と候補手
互角：▲３六歩、▲６八玉、▲９五歩 など
角換わりで後手が９筋の端歩を受けなかった場合、
先手が突き越すか否かで、形勢は変わりませんが、指し方は変わってきます。
先手が▲９五歩を生かすためには、右玉のような指し方を放棄して、
終盤で自玉が９筋に逃げて詰まない、という形を目指したいです。
但し、端にかけた手数の差が２手あるので、後手は必ず先に攻めてきます。
先手は、しばらくの間、自玉が戦場に近い状態で受けに回る展開となります。
37手目：形勢判断と候補手
互角：▲４七金、▲３七桂 など
37手目では▲４七金と上がる手が有力です。
金が上ずるうえに、自玉から離れるので少し指しづらいですが、
飛車と右金の位置関係に着目すると
２九飛＆４八金型と同様にバランスが良い状態です。
▲４七金型は、△６五歩～△６四角の攻めに対して強く、
▲３七桂と跳ねた時に桂頭を守っていて、▲６八飛のような含みもあります。
中盤
43手目：形勢判断と候補手
互角：▲６八銀
43手目は銀を逃げる１手ですが、
▲７六銀や▲８八銀だと５七の地点が弱いのが気になります。
後手は△８六歩から１歩を手に入れて、△３五歩 ▲同歩 △３六歩を狙いますが、
右金１枚では３六と５七を同時に支えきれません。
よって、５七に銀の利きを足す、▲６六銀か▲６八銀となりますが、
ここでは▲６八銀と引き、▲６六歩を見せて後手の攻めを催促したいです。
50手目：形勢判断と候補手
互角：△７七歩、△７六角
50手目で本譜は△７六角と打ちました。
△８七角成と△４九角成は同時に受かりません。
また△９四歩 ▲同歩 △同香のように
先手が９筋を突き越したことを逆用して仕掛ける変化も生じています。
後手が
駒損のうえ、細い攻めにはなりますが、先手としては怖い変化も多いです。
尚、ここで△７七歩と打つのも自然な手です。
▲８八金と逃げたら、そこで△７六角と打てば本譜よりも得です。
よって、▲同桂 △同桂成となりますが、
▲６六歩を空振りにさせつつ、△６五歩とぶつける筋が生じています。
54手目：形勢判断と候補手
互角：△７六馬
54手目は△７六馬として、先手玉の上部を抑えつつ、
先手に少し攻めさせて、後手の持ち駒を増やす指し方が有力です。
本譜は△７八馬と切りました。攻めが繋がれば問題ありませんが、
そもそも細い攻めなので、さらに攻めが切れやすい状態となりました。
64手目：形勢判断と候補手
先手有利：△６五歩
64手目は△６五歩と突く手が有力です。
少し遅いようですが、後手は持ち駒だけでは戦力不足です。
攻めが細い場合には、１つでも多くの筋で歩を使うことを意識しましょう。
73手目：形勢判断と候補手
互角：▲４七角、▲６九角、▲７四桂、▲５五桂
次に△３六歩～△３七歩成という手が見えるので受ける手は自然ですが、
先手玉から遠いので、無視して攻め合う手も有力で、悩ましい局面です。
受けるならば▲４七角や▲６九角が有力です。
△３六歩に▲同角と取る手が飛車取りになるので、味が良いです。
尚、後手の持ち駒に金駒がなければ、▲２七角や▲１八角と打って、
間接的に後手の飛車を狙うと、より反撃が厳しくなります。
攻めるならば▲７四桂から後手の右金と飛車をいじめつつ、
手順に先手玉を安全にするような指し方が有力です。
但し、相手の攻めが細い場合は、丁寧に受け切りを目指した方が、
相手の持ち駒が増えづらいので、指しやすくなることが多いです。
82手目：形勢判断と候補手
互角：△４三桂
82手目に△８七歩や△７八歩と打てば、先手玉に
詰めろがかかりますが、
狙いが単純なので、簡単に受かってしまいます。
攻めが細い場合は、分かりやすい王手や詰めろには飛びつかず、
攻めを繋ぐことを第一に考えることが重要です。
ここは５五の角が狭いことに着目して△４三桂と角取りに打つ手が有力です。
95手目：形勢判断と候補手
後手有利：▲４三桂、▲２三銀
95手目の局面で飛車や角を逃げてはいけません。
逃げるだけの手、というのは非常に価値が低いです。
逃げなくても、飛車と角を両方取られてしまうことはありませんので、
「
両取り逃げるべからず」で他に手がないか優先して探します。
ここでは、５六の角を生かして、▲４三桂や▲２三銀と攻める手が有力です。
駒は取られる瞬間まで味方なので、しっかりと働かせましょう。
本譜は▲４九金と角取りに打ちました。
終盤
106手目：形勢判断と候補手
後手優勢：△４一玉
106手目に後手の応手は４通りありますが、
△４一玉以外は形勢が逆転します。
△同金は▲２三角成と、急所に馬を作られてしまいます。
後手は４九に銀を打ってしまったため、馬を
はじく駒がありません。
また△２二玉には▲３一銀、△４二玉には▲５一銀と打つ手があり、
先手の攻めが続いてしまいます。
後手は９一の飛車が受けに利いてはいるのですが、
まだ飛車を渡したくないので、銀で王手をされると困るのです。
118手目：形勢判断と候補手
後手優勢：△６六桂、△４二玉、△４三金 など
先手は玉が広く、持ち駒に
金駒があるので、
逃げ出す展開も粘る展開も十分に考えられます。
後手は優勢を意識しつつも、局面が複雑なので明確な寄せが見えず、
実戦的には、かなり焦りやすい局面です。
118手目では△４二玉や△４三金のような手が無難で、
後手玉がかなり安全になるので、逆転の可能性が下がります。
本譜は△６六桂と打って、最短で勝ちを目指しました。
126手目：形勢判断と候補手
後手勝勢：△８四香 など
ここは８八に先手の歩があることを考慮して
△８四香と打って上部を抑える手が有力です。
先手は持ち駒を打って合駒をするしかないですが、
その分、後手玉が安全になることも大きいです。
136手目：形勢判断と候補手
後手勝勢：△７四桂、△８五歩
136手目で△８六銀成と取ってはいけません。
先手玉の上部脱出と馬取りが残って、後手が忙しくなってしまいます。
ここは確実に上部脱出を防ぐ△８五歩や△７四桂が厳しい手となります。
先手は自分の駒で上部が詰まってしまったので、玉が逃げ出しづらくなりました。
後手はこの瞬間に寄せを狙います。
持ち駒は少ないですが、
質駒まで含めればギリギリ足りています。
150手にて、先手の広瀬八段が投了し、羽生竜王の2勝となりました。
投了図以降、先手は△８五桂が金取り、かつ、王手で厳しく、
▲８六金と逃げても△同銀成 ▲８八玉 △８七銀以下詰みなので
必至です。
一方、後手は８一の飛車が受けに利いているため、
▲５一金に△同飛と取れば、後手玉に詰みはありません。
本局では羽生竜王の細い攻めの繋げ方が非常に勉強になりました。
棋譜
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棋戦：第３１期竜王戦七番勝負 第２局
先手：広瀬章人八段
後手：羽生善治竜王
手数----指手---------消費時間--
1 ２六歩(27) ( 1:00/00:01:00)
2 ８四歩(83) ( 0:00/00:00:00)
3 ２五歩(26) ( 2:00/00:03:00)
4 ８五歩(84) ( 2:00/00:02:00)
5 ７六歩(77) ( 1:00/00:04:00)
6 ３二金(41) ( 3:00/00:05:00)
7 ７七角(88) ( 1:00/00:05:00)
8 ３四歩(33) ( 1:00/00:06:00)
9 ６八銀(79) ( 1:00/00:06:00)
10 ７七角成(22) ( 6:00/00:12:00)
11 同 銀(68) ( 0:00/00:06:00)
12 ２二銀(31) ( 0:00/00:12:00)
13 ４八銀(39) ( 0:00/00:06:00)
14 ６二銀(71) ( 4:00/00:16:00)
15 ７八金(69) ( 1:00/00:07:00)
16 ３三銀(22) ( 1:00/00:17:00)
17 ４六歩(47) ( 1:00/00:08:00)
18 ６四歩(63) ( 5:00/00:22:00)
19 ４七銀(48) ( 1:00/00:09:00)
20 ６三銀(62) ( 7:00/00:29:00)
21 ９六歩(97) ( 1:00/00:10:00)
22 １四歩(13) ( 4:00/00:33:00)
23 １六歩(17) ( 0:00/00:10:00)
24 ４二玉(51) (24:00/00:57:00)
25 ９五歩(96) (18:00/00:28:00)
26 ７四歩(73) ( 2:00/00:59:00)
27 ６八玉(59) ( 1:00/00:29:00)
28 ７三桂(81) ( 2:00/01:01:00)
29 ３六歩(37) ( 1:00/00:30:00)
30 ８一飛(82) ( 3:00/01:04:00)
31 ５八金(49) (20:00/00:50:00)
32 ６二金(61) (18:00/01:22:00)
33 ５六銀(47) ( 2:00/00:52:00)
34 ５四銀(63) ( 5:00/01:27:00)
35 ７九玉(68) ( 4:00/00:56:00)
36 ３一玉(42) (10:00/01:37:00)
37 ４七金(58) ( 5:00/01:01:00)
38 ４四歩(43) (13:00/01:50:00)
39 ３七桂(29) ( 2:00/01:03:00)
40 ７五歩(74) (32:00/02:22:00)
41 同 歩(76) ( 8:00/01:11:00)
42 ６五桂(73) ( 0:00/02:22:00)
43 ６八銀(77) ( 1:00/01:12:00)
44 ８六歩(85) (15:00/02:37:00)
45 同 歩(87) (11:00/01:23:00)
46 同 飛(81) ( 0:00/02:37:00)
47 ８七歩打 ( 1:00/01:24:00)
48 ８一飛(86) ( 0:00/02:37:00)
49 ６六歩(67) (11:00/01:35:00)
50 ７六角打 (45:00/03:22:00)
51 ６五歩(66) (15:00/01:50:00)
52 ８七角成(76) ( 2:00/03:24:00)
53 ８八歩打 (45:00/02:35:00)
54 ７八馬(87) ( 8:00/03:32:00)
55 同 玉(79) ( 0:00/02:35:00)
56 ６五銀(54) ( 0:00/03:32:00)
57 ６七銀(56) (40:00/03:15:00)
58 ７六金打 (11:00/03:43:00)
59 同 銀(67) ( 9:00/03:24:00)
60 同 銀(65) (16:00/03:59:00)
61 ７七金打 ( 7:00/03:31:00)
62 同 銀成(76) ( 4:00/04:03:00)
63 同 銀(68) ( 0:00/03:31:00)
64 ６五歩(64) ( 0:00/04:03:00)
65 ７六銀打 (31:00/04:02:00)
66 ６六銀打 ( 4:00/04:07:00)
67 ５六金(47) (38:00/04:40:00)
68 ７七銀成(66) (52:00/04:59:00)
69 同 桂(89) ( 0:00/04:40:00)
70 ３五歩(34) ( 9:00/05:08:00)
71 ２四歩(25) (16:00/04:56:00)
72 同 歩(23) ( 0:00/05:08:00)
73 ４七角打 (12:00/05:08:00)
74 ６六金打 (11:00/05:19:00)
75 ６七銀打 (15:00/05:23:00)
76 ８九銀打 (19:00/05:38:00)
77 同 玉(78) ( 2:00/05:25:00)
78 ７七金(66) ( 0:00/05:38:00)
79 ５五角打 ( 3:00/05:28:00)
80 ６六歩(65) ( 3:00/05:41:00)
81 同 金(56) (23:00/05:51:00)
82 ４三桂打 (10:00/05:51:00)
83 ６四角(55) (16:00/06:07:00)
84 ６三歩打 ( 0:00/05:51:00)
85 ９一角成(64) ( 7:00/06:14:00)
86 同 飛(81) ( 1:00/05:52:00)
87 ７九香打 (14:00/06:28:00)
88 ７六金(77) (48:00/06:40:00)
89 同 金(66) ( 5:00/06:33:00)
90 ３九角打 ( 3:00/06:43:00)
91 ５八飛(28) ( 3:00/06:36:00)
92 ５五桂(43) ( 0:00/06:43:00)
93 ５六角(47) ( 0:00/06:36:00)
94 ４七銀打 ( 1:00/06:44:00)
95 ４九金打 (23:00/06:59:00)
96 ６七桂成(55) (23:00/07:07:00)
97 同 角(56) ( 0:00/06:59:00)
98 ５八銀(47) ( 0:00/07:07:00)
99 同 金(49) ( 0:00/06:59:00)
100 ７八歩打 ( 1:00/07:08:00)
101 同 玉(89) ( 3:00/07:02:00)
102 ３八飛打 ( 3:00/07:11:00)
103 ６八歩打 ( 3:00/07:05:00)
104 ４九銀打 ( 9:00/07:20:00)
105 ４三桂打 (12:00/07:17:00)
106 ４一玉(31) ( 7:00/07:27:00)
107 ５九金(58) (16:00/07:33:00)
108 ５七角成(39) ( 0:00/07:27:00)
109 ４九角(67) ( 6:00/07:39:00)
110 ３七飛成(38) ( 0:00/07:27:00)
111 ７四桂打 ( 0:00/07:39:00)
112 ７二金(62) ( 2:00/07:29:00)
113 ８二銀打 ( 0:00/07:39:00)
114 ６一飛(91) ( 2:00/07:31:00)
115 ８一銀打 ( 1:00/07:40:00)
116 ８二金(72) ( 6:00/07:37:00)
117 同 桂成(74) ( 0:00/07:40:00)
118 ６六桂打 ( 2:00/07:39:00)
119 ８九玉(78) ( 0:00/07:40:00)
120 ７八歩打 ( 0:00/07:39:00)
121 同 香(79) ( 0:00/07:40:00)
122 同 桂成(66) ( 0:00/07:39:00)
123 同 玉(89) ( 0:00/07:40:00)
124 ７七歩打 ( 0:00/07:39:00)
125 ８七玉(78) ( 5:00/07:45:00)
126 ８四香打 ( 0:00/07:39:00)
127 ８六桂打 ( 0:00/07:45:00)
128 ７八歩成(77) ( 3:00/07:42:00)
129 同 玉(87) ( 0:00/07:45:00)
130 ８六香(84) ( 0:00/07:42:00)
131 同 金(76) ( 8:00/07:53:00)
132 ６六馬(57) (13:00/07:55:00)
133 ６七銀打 ( 0:00/07:53:00)
134 ７七銀打 ( 0:00/07:55:00)
135 ８七玉(78) ( 0:00/07:53:00)
136 ８五歩打 ( 0:00/07:55:00)
137 同 金(86) ( 0:00/07:53:00)
138 ８八銀成(77) ( 0:00/07:55:00)
139 ８六玉(87) ( 2:00/07:55:00)
140 ６七竜(37) ( 0:00/07:55:00)
141 同 角(49) ( 0:00/07:55:00)
142 ７七銀打 ( 0:00/07:55:00)
143 ９七玉(86) ( 0:00/07:55:00)
144 ６七馬(66) ( 1:00/07:56:00)
145 同 歩(68) ( 0:00/07:55:00)
146 ６五角打 ( 0:00/07:56:00)
147 ９六角打 ( 0:00/07:55:00)
148 ８一飛(61) ( 0:00/07:56:00)
149 ８九歩打 ( 4:00/07:59:00)
150 ７三桂打 ( 0:00/07:56:00)
151 投了 ( 0:00/07:59:00)
まで150手で後手の勝ち
竜王戦第1局
竜王戦第3局
