目次
解説動画
王将戦第2局
王将戦第4局
対局情報
局面解説概要
序盤
16手目：形勢判断と候補手
互角：△４四銀
次に▲３五歩から２筋突破を狙う攻めがありますので、
16手目は△４四銀と上がる１手です。
本当は
角筋を止めることなく、△５四銀と上がって積極的に攻めたいですが、
少なくとも７二まで玉を移動していないと一直線の攻め合いには勝てません。
22手目：形勢判断と候補手
互角：△８二玉、△３二金、△５一飛 など
先手の２枚銀の進出が早かったため、
△５六歩が間に合うタイミングはありませんでした。
以降も、かなり条件が揃わないと△５六歩は成立しませんので、
後手は陣形整備を優先して、玉の遠さを確保しておきます。
31手目：形勢判断と候補手
互角：▲１六歩、▲２九飛、▲６八金寄 など
先手の仕掛けとしては▲４五桂と
跳ねる手が有力ですが、
現局面だと、△４二角～△６四角という手順があって反動も厳しいです。
そこで先手は、後手が△６四歩と突くまで
仕掛けを待ちます。
本譜は▲２九飛と
引きました。
40手目：形勢判断と候補手
互角：△３三桂
40手目に△２三歩と打ってはいけません。
▲３四飛と横歩を取られると、３二の金取りが受けづらいです。
先手の飛車は狭いですが、３三の地点に先手の桂が利いていると
見た目以上に捕まえることが難しい状態なのです。
本譜は△３三桂と跳ねました。
振り飛車は左桂が残ってしまうと勝ちづらいので、早めに跳ねておきます。
中盤
49手目：形勢判断と候補手
互角：▲３四歩、▲８六桂、▲９五歩、▲６八金寄 など
49手目では▲同銀と取る手が自然なようですが、少し損です。
△同銀 ▲同飛 △２四角となると、先手は飛車を逃げた後の攻めが遅く、
後手は攻守交替できたうえに、手順に角を５七に利かせることができます。
仕掛けた後に攻めが落ち着いてしまうと、
相手の持ち駒が増えた状態で反撃を受けるので、注意が必要です。
本譜は▲９五歩と突いて、あらかじめ端攻めのきっかけを作りました。
「
三歩持ったら端に手あり」という格言がありますが、
持ち駒に桂があれば、歩が２枚でも十分に端攻めは成立します。
歩の枚数には入手見込みの分も加えて考えましょう。
62手目：形勢判断と候補手
先手有利：△８四歩、△７四桂 など
次に▲８六桂と打って▲９四歩を狙うのが端攻めの手筋ですが、
本局では▲９四歩 △同香 ▲８六桂でも△８五銀と打てないため有力です。
後手は攻め合いの形ができていれば、９筋を放棄することも考えますが、
この段階では駒をボロボロと取られるだけなので、全力で突破を防ぎます。
本譜は△８四歩と突きました。
８五に駒を打たれる手を防ぎつつ、△８三銀打で玉頭を手厚くする狙いです。
71手目：形勢判断と候補手
先手有利：▲９四桂、▲７九角 など
71手目に本譜は▲９四桂と跳ねて最短の勝ちを目指しました。
但し、細くて難しい攻めなので、実戦的には▲７九角と引く方が有力です。
取ろうとしている駒が逃げられない状態の場合は、取る１手とは限りません。
先に
終盤で残ってしまいそうな駒を活用する方が負けにくくなります。
83手目：形勢判断と候補手
先手優勢：▲９一銀、▲６二銀
先手はわずかに
駒得していますが、ここで攻めが止まってしまうと
折角崩した後手陣を修復されてしまいますし、強力な竜を作られて難局です。
83手目に本譜は▲６二銀と打ちました。
△同金ならば▲７一銀と打つ隙が生じて、拠点ができるか飛車が成り込めます。
また、ここで▲９一銀と捨てる手も有力です。
△同玉ならば▲８三銀と打てば、金のない後手は受けが難しくなります。
但し「▲６二銀 △同金 ▲７一銀」や「▲９一銀」に対して
△８三玉と飛車取りにかわす受けは有力なので、十分な読みが必要です。
本局面の場合は、いずれも▲９二飛成から寄せを目指しますが、
小駒だけの細い攻めなので、１度逃してしまうと勝ち目がなくなります。
派手な駒捨ては、つい指してみたくなりますが、悪手の確率も高いです。
先入観を捨てて、本当に読み抜けがないか、しっかりと確認しましょう。
終盤
89手目：形勢判断と候補手
先手優勢：▲９四歩
89手目で▲７二銀成としてはいけません。
先手は持ち駒に
小駒しかないため、
攻めの
拠点がなくなると、簡単に攻めが切れてしまいます。
本譜は▲９四歩と打ちました。
相手玉近くの駒を、それよりも安い駒で攻める手は間違いが少ないです。
100手目：形勢判断と候補手
先手勝勢：△９四歩、△９五歩 など
100手目に△９三歩と打ってしまうと▲７一銀から詰んでしまうため、
９四か９五に中合いをして、玉の広さを確保するのが受けの手筋です。
香を近づけておくと、玉が香の横や裏側まで逃げ出せたときに
かなり安全になる場合があります。
そして、本局の場合、△９四歩や△９五歩に対して
▲同香と取ってくれれば、先手玉が詰むという恐ろしい狙いもあります。
９六の香が移動すると、△８八成香 ▲同玉に
△９六桂と打つ隙が生じており、駒がギリギリ足りているのです。
先手はそれを分かったうえで▲９六香と打っているので、
本譜は△９四歩と打ちましたが、
アマチュアの実戦であれば「諦めたような手つきで△９五歩と打つ」か
「ノータイムで勢いよく△９五歩と打つ」を対局相手を見て使い分けます。
107手にて、後手の久保王将が投了し、渡辺棋王の3勝となりました。
投了図以降、△同玉は▲９四香 △９三合 ▲８二金、
△８四玉は▲７五金 △同銀 ▲同銀で詰みとなります。
本局では渡辺棋王の端攻めによる美濃攻略が非常に勉強になりました。
棋譜
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棋戦：第６８期王将戦七番勝負 第３局
先手：渡辺明棋王
後手：久保利明王将
手数----指手---------消費時間--
1 ２六歩(27) ( 0:00/00:00:00)
2 ３四歩(33) ( 0:00/00:00:00)
3 ７六歩(77) ( 0:00/00:00:00)
4 ５四歩(53) ( 4:00/00:04:00)
5 ２五歩(26) ( 4:00/00:04:00)
6 ５二飛(82) ( 6:00/00:10:00)
7 ４八銀(39) ( 2:00/00:06:00)
8 ５五歩(54) ( 4:00/00:14:00)
9 ６八玉(59) ( 3:00/00:09:00)
10 ３三角(22) ( 4:00/00:18:00)
11 ３六歩(37) ( 3:00/00:12:00)
12 ４二銀(31) (13:00/00:31:00)
13 ３七銀(48) ( 6:00/00:18:00)
14 ５三銀(42) ( 8:00/00:39:00)
15 ４六銀(37) ( 3:00/00:21:00)
16 ４四銀(53) (11:00/00:50:00)
17 ７八銀(79) ( 5:00/00:26:00)
18 ６二玉(51) (22:00/01:12:00)
19 ７七銀(78) ( 2:00/00:28:00)
20 ７二玉(62) ( 9:00/01:21:00)
21 ６六銀(77) ( 5:00/00:33:00)
22 ８二玉(72) (12:00/01:33:00)
23 ７八玉(68) ( 4:00/00:37:00)
24 ７二銀(71) (12:00/01:45:00)
25 ５八金(49) ( 6:00/00:43:00)
26 ５一飛(52) ( 7:00/01:52:00)
27 ３七桂(29) (22:00/01:05:00)
28 ３二金(41) (20:00/02:12:00)
29 ９六歩(97) ( 9:00/01:14:00)
30 ９四歩(93) (11:00/02:23:00)
31 ２九飛(28) ( 4:00/01:18:00)
32 １四歩(13) (27:00/02:50:00)
33 １六歩(17) (11:00/01:29:00)
34 ６四歩(63) (11:00/03:01:00)
35 ４五桂(37) (28:00/01:57:00)
36 ２二角(33) ( 1:00/03:02:00)
37 ２四歩(25) ( 0:00/01:57:00)
38 同 歩(23) ( 0:00/03:02:00)
39 同 飛(29) ( 0:00/01:57:00)
40 ３三桂(21) ( 0:00/03:02:00)
41 同 桂成(45) ( 1:00/01:58:00)
42 同 角(22) ( 2:00/03:04:00)
43 ２九飛(24) ( 1:00/01:59:00)
44 ２三歩打 ( 5:00/03:09:00)
45 ３九飛(29) ( 5:00/02:04:00)
46 ４二金(32) ( 7:00/03:16:00)
47 ３五歩(36) (42:00/02:46:00)
48 同 歩(34) ( 5:00/03:21:00)
49 ９五歩(96) ( 2:00/02:48:00)
50 同 歩(94) (19:00/03:40:00)
51 ９三歩打 ( 0:00/02:48:00)
52 同 香(91) (20:00/04:00:00)
53 ３五銀(46) ( 3:00/02:51:00)
54 同 銀(44) (38:00/04:38:00)
55 同 飛(39) ( 0:00/02:51:00)
56 ２四角(33) ( 2:00/04:40:00)
57 ３四飛(35) (23:00/03:14:00)
58 ３三歩打 ( 4:00/04:44:00)
59 ６四飛(34) ( 8:00/03:22:00)
60 ６三歩打 ( 1:00/04:45:00)
61 ６五飛(64) (27:00/03:49:00)
62 ８四歩(83) ( 3:00/04:48:00)
63 ９四歩打 (14:00/04:03:00)
64 同 香(93) ( 1:00/04:49:00)
65 ８六桂打 ( 0:00/04:03:00)
66 ８三銀打 (16:00/05:05:00)
67 ９三歩打 (17:00/04:20:00)
68 ５六歩(55) (26:00/05:31:00)
69 同 歩(57) (40:00/05:00:00)
70 同 飛(51) (22:00/05:53:00)
71 ９四桂(86) (41:00/05:41:00)
72 同 銀(83) ( 0:00/05:53:00)
73 ９五香(99) ( 2:00/05:43:00)
74 同 銀(94) ( 6:00/05:59:00)
75 ５七歩打 ( 1:00/05:44:00)
76 ２六飛(56) ( 3:00/06:02:00)
77 ９五飛(65) ( 0:00/05:44:00)
78 ９四歩打 ( 3:00/06:05:00)
79 同 飛(95) ( 1:00/05:45:00)
80 ８三銀(72) (10:00/06:15:00)
81 ９二歩成(93) ( 3:00/05:48:00)
82 同 銀(83) ( 4:00/06:19:00)
83 ６二銀打 (47:00/06:35:00)
84 ７二金(61) (36:00/06:55:00)
85 ６一銀(62) ( 0:00/06:35:00)
86 ９三銀(92) ( 7:00/07:02:00)
87 同 飛成(94) ( 7:00/06:42:00)
88 同 桂(81) ( 0:00/07:02:00)
89 ９四歩打 ( 0:00/06:42:00)
90 ９一香打 (11:00/07:13:00)
91 ９三歩成(94) (18:00/07:00:00)
92 同 香(91) ( 0:00/07:13:00)
93 ５四桂打 ( 0:00/07:00:00)
94 ７一金(72) (22:00/07:35:00)
95 ６二銀打 ( 9:00/07:09:00)
96 ６一金(71) ( 8:00/07:43:00)
97 同 銀(62) ( 0:00/07:09:00)
98 ９八香成(93) ( 1:00/07:44:00)
99 ９六香打 ( 6:00/07:15:00)
100 ９四歩打 ( 6:00/07:50:00)
101 ７一銀打 ( 4:00/07:19:00)
102 ９三玉(82) ( 0:00/07:50:00)
103 ７二銀(61) ( 3:00/07:22:00)
104 ７四銀打 ( 9:00/07:59:00)
105 ４二桂成(54) ( 0:00/07:22:00)
106 ８五歩(84) ( 0:00/07:59:00)
107 ９二金打 ( 1:00/07:23:00)
108 投了 ( 0:00/07:59:00)
まで107手で先手の勝ち
王将戦第2局
王将戦第4局
