[図1]
上の [図1] は、居飛車の部分図。攻め駒が少ないので何もなさそうに見えるが、先手の持ち駒に歩が3枚ある。ここは「三歩持ったら端に手あり」で▲1五歩と突く手が成立する。後手は△同歩と取るが、▲1三歩と垂らすのが継続手(下の [図2] )。[図2]
1三の歩を放置すると▲1五香~▲1二歩成と攻め込むことができる。△同桂は▲1四歩と打てば桂が捕まっているので、取るならば△同香だが、▲1四歩とさらに香を吊り上げて、▲2四歩 △同歩 ▲同飛と進む(下の [図3] )。[図3]
これで△2三歩と打たれても▲1四飛と香を取ることができるし、1筋からの飛車の成り込みを防ぐこともできない。最初に歩が多く必要ではあるものの、厳しい攻め筋である。[図4]
上の [図4] は [図2] から△同香 ▲1二歩と進んだ部分図。次の▲1一歩成が受からず、2一の桂や1三の香を と金で取る狙いがある。端攻めには、吊り上げた香を直接狙うだけでなく、香の裏を狙う手順もある。尚、後手から他に速い攻めがあると、▲1三歩の垂らしを手抜きされる恐れがある。その場合は、歩が1枚多く必要になるが、▲1三歩の前に▲1二歩と直接叩くことで端攻めのスピードアップを図ることができる。[図5]
上の [図5] は、2019年2月6日から7日にかけて行われた第68期王将戦七番勝負 第3局 久保利明 王将 対 渡辺明 棋王の49手目に先手の渡辺棋王が▲9五歩と突いた局面。「三歩持ったら端に手あり」は攻めとして成立する可能性がより高い表現となっているため、実際は持ち駒が2歩でも成立する場合はある。本譜は、現状で先手が1歩しか持っていないが、直後に3五の歩を取ることで1歩を補充できることを見越している。9筋からは先手玉の方が後手玉よりも1マス遠い位置にいるため、端攻めによる反動が少なく、後手が△9五同歩と応じるしかないこのタイミングで▲9五歩と突くのが最善であった。- スポンサーリンク -
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