【将棋用語】
定跡

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「定跡」の読み方

じょうせき

「定跡」の説明

過去の対局や研究から導き出された、最善・有力とされる指し方。
「この手順のここまでが定跡」のように決まっているものではないが、複数のプロ棋士が公式戦で指しているような序中盤の手順は「定跡」と言える。また、相手が「定跡」とされる手順から外れた場合に、それを咎めて形勢を良くする手順まで含めて「定跡」と言うこともある。お互いが最善を尽くした「定跡」について、その精度は高いものの、研究が進んで結論が変わり、「定跡」と言われなくなることもある。
「定跡」と言われる手順には「角換わり腰掛け銀の木村定跡」「対四間飛車用の鷺ノ宮(さぎのみや)定跡」など人名や分かりやすい名称が付いている場合もあるが、名前の付いていない「定跡」の方が圧倒的に多い。
盤上の一部だけに着目して「部分的な定跡」という使い方をする場合もある。結果的に最善手や好手であることは多いが、盤全体を考慮すると、返し技があったり、もっと優先すべき指し手があったりするために悪手、という可能性もある。
尚、囲碁の場合は「定石(じょうせき)」となり、読み方は同じであるが漢字が異なる。

「定跡」の用例

「この手順は定跡だ。」
「この手から定跡を外れた。」
【将棋用語】2012年11月5日のA級順位戦「渡辺 明 竜王 vs 屋敷 伸之 九段」で「矢倉91手定跡」が指された対局

[図1]

上の [図1] は、2012年11月5日に行われたA級順位戦「渡辺 明 竜王 vs 屋敷 伸之 九段」の91手目に先手の屋敷九段が「▲8一飛成」と指した局面。この対局以前にも同一の局面が現れており「矢倉91手定跡」と言われていた。当時はプロ棋士の間で研究課題となっていたが、この対局で決定版となる対策が出され、以降、この局面は現れなくなった。
【将棋用語】相矢倉の4六銀3七桂型で「定跡」とされていた対局

[図2]

上の [図2] は、「相矢倉の4六銀3七桂型」と言われる戦型を目指して、先手が▲4六銀と上がった局面。この局面は昭和の時代から数多く指されており、「△4五歩には▲3七銀と引いておけば、▲4六歩と戦いを起こすことができるので先手が少し良い」と結論付けられていた。ところが、将棋ソフトの進化によって、△4五歩の後に後手が良くなる変化が発見され、序盤の大前提が崩れた。そして、2015年頃を境にして、戦型の「定跡」全体が実質的に消滅し、プロの将棋で現れることはなくなった。

「定跡」に関連する用語

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