【将棋用語】
思い出王手

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「思い出王手」の読み方

おもいでおうて

「思い出王手」の説明

終盤で勝ち負けが明確になった際、敗勢側の対局者が相手玉に対して王手をかけること。
特に、詰み筋がほとんどなく、間違える見込みがない場合に使われる。
投了図をより競ったように見せるための形作りということもあるが、投了する心の整理が付かないための手数伸ばしであることがほとんどである。
尚、少しでも複雑な変化があり、間違えたら詰むこともある場合には「(最後の)お願い」と言われる。

「思い出王手」の用例

「思い出王手をしてから投了する。」
【将棋用語】「思い出王手」をしたくなる局面

[図1]

上の [図1] は、先手玉に必至がかかっており、駒損もひどく、ずっと先手が敗勢だった局面。ここで▲3四桂と打つ手は、典型的な「思い出王手」と言える。△3一玉と逃げてくれれば、▲2二銀までの簡単な1手詰みで大逆転だが、上級者以上であれば、そのような大事件を期待している訳ではない。それよりも美濃囲いを攻略するための急所の手を指したという形を盤上に残すということに意味がある。▲3四桂に△1二玉とかわされた時が、最後の投了のタイミングだろう。
【将棋用語】投了前に王手をしても「思い出王手」とは言えない局面

[図2]

上の [図2] は、 [図1] と似ていて先手敗勢の局面だが、後手玉はガチガチの穴熊の中である。ここで▲2二角成とすれば、一応、王手はかかるが、△同金上と取られて何でもない。このように、駒を捨てるだけの明らかに無駄な王手も、一応「思い出王手」ではあるが、棋力が上になるほど「美しくない」という意識が強くなって指さなくなる。
【将棋用語】第30期竜王戦七番勝負第4局 渡辺竜王vs羽生棋聖で「思い出王手」ではなく、形作りの王手をした局面

[図3]

上の [図3] は、第30期竜王戦七番勝負第4局 渡辺竜王vs羽生棋聖の95手目に先手の渡辺竜王が▲6一飛と王手をした局面。先手玉には必至がかかっており、後手玉には詰みがなく、プロレベルであれば後手勝ちが確実である。このような王手も一応「思い出王手」ではあるが、難解な局面が続いていた名局の場合は「形作り」と言われることがほとんどである。

「思い出王手」に関連する用語


 

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