【将棋格言】
二枚替えなら歩ともせよ

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「二枚替えなら歩ともせよ」の読み方

にまいがえならふともせよ

「二枚替えなら歩ともせよ」に関連する主な駒

「二枚替えなら歩ともせよ」の出現頻度

★★★☆☆

「二枚替えなら歩ともせよ」の説明

大駒は大切にすべき強い駒だが、小駒2枚とならば交換した方が得になりやすい、ということ。
さすがに「大駒1枚と歩2枚」の交換は大駒側の損なので誇張している部分はある。しかし、大駒を大事にしすぎずに、時には大胆に切ってしまうことの重要性を含んでいる。目安として、「大駒1枚と金駒2枚」であれば、ほとんどの場合で大駒側が積極的に交換を狙った方が良い。これが「大駒1枚と銀香」程度になると得になる条件は少し厳しくなる。例えば「大駒が成っていない(飛車か角の状態)」「相手からの大駒による反撃が厳しくはない」「交換によって相手陣が崩れる」「交換後に手番を握っている」「入手した香で駒得が見込める」のようなプラス要素を積み重ねて判断する必要がある。
いずれにしても、単なる駒交換だけで局面が落ち着いてしまうと、渡した大駒で竜や馬を作られてしまい、小駒2枚では釣り合わなくなる恐れが高まる。自分の攻めが見込めない場合は、二枚替えであっても、簡単に大駒を渡さない方が無難である。

【参考:駒の標準価値】

1000900
飛車750650
500450
桂馬300香車250
100

※駒の価値は局面に応じて大きく変わるので、単純な加減だけで駒の損得を正確に判断することはできない。

「二枚替えなら歩ともせよ」の例

【将棋格言】「二枚替えなら歩ともせよ」となる部分図

[図1]

上の [図1] は、先手の竜と馬で、後手の美濃囲いの金を狙っている部分図。ここは「二枚替えなら歩ともせよ」で▲6一馬と切り、△同銀 ▲同竜と迫るのが良い(下の [図2] )。
【将棋格言】「二枚替えなら歩ともせよ」が成功した部分図

[図2]

上の [図2] では美濃囲いが崩壊しており、次に▲6二竜・▲7二銀・▲7一銀・▲7二金のいずれも厳しい(厳しさの順番は他の条件によって変わる)。後手の持ち駒に金がなければ、ほぼ寄り筋である。尚、[図1] において、角を渡した方が先手玉が危なくなる場合は先に▲6一竜と切る手もある。
【将棋格言】「二枚替えなら歩ともせよ」とならない部分図

[図3]

上の [図3] は、△3二銀と竜馬両取りに打たれた部分図。仕方ないので、ここから▲同馬 △同歩 ▲同竜と進めたとする(下の [図4] )。
【将棋格言】「二枚替えなら歩ともせよ」が成立しない部分図

[図4]

上の [図4] では「角と銀歩」の二枚替えになっている。しかし、後手に手番があるうえに美濃囲いが健在なので、先手に主張がなく、駒損のマイナスを補うことができていない。よって、[図3] の段階では既に先手が悪く、「うっかり大駒を消されてしまった」という状況だと言える。
【将棋格言】第33期竜王戦七番勝負 第3局 豊島将之 竜王 vs 羽生善治 九段の対局で「二枚替えなら歩ともせよ」となる変化局面

[図5]

上の [図5] は、2020年11月7日から8日にかけて行われた第33期竜王戦七番勝負 第3局 豊島将之 竜王 vs 羽生善治 九段の対局において、後手が9筋の突き捨てを入れた後、50手目に△9五同香と応じた変化図(本譜は△4四角)。9筋だけを見ると田楽刺しの状態となっており、ここから角を助けようとすると▲8六角には△9九香成、▲8八角には△9八歩があるので、先手は香損を避けることができない。よって、[図5] からは「二枚替えなら歩ともせよ」で▲6四角と切るのが良く、飛車取りなので△同歩だが、▲9五香と香を取れば、「角と銀香」の二枚替えである。あとは後手が居玉のうえに薄くなっていること、角1枚を渡しても先手玉は安全であること、銀も香も使い道が複数あること、▲6六飛~▲6四飛の活用も見えてくること、などを踏まえると、わずかな駒損を大きく上回る要素になるため、先手優勢となる。

「二枚替えなら歩ともせよ」に関連する用語

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