目次
解説動画
王座戦第4局
竜王戦第2局
対局情報
局面解説概要
序盤
29手目の▲2四歩は符号だけで言えば2回目になります。
一見すると少し損のようですが、
先ほどの▲2四歩と違って、今度は横歩が取れる状態です。
また、角交換になると先手から▲6六角と打つ手もあります。
相掛かり・横歩取り・相振り飛車などで相手の飛車の横利きが止まったときに、
再度、飛車先の歩交換をする手が有効になる場合もありますので、
覚えておいて損のない手の流れです。
35手目:形勢判断と候補手
互角:▲3七桂、▲3五飛、▲7七角、▲3三飛成
35手目は▲3七桂と跳ねる手が一般的です。
次に▲4五桂や▲2五桂と跳ねると角取りになりますので、
駒を活用しながら後手の動きを制限できるというメリットがあります。
しかし、ここで羽生棋聖が仕掛けました。
中盤
47手目:形勢判断と候補手
互角:▲2五歩
先手としては、後手の1筋の歩が伸びてくるのでゆっくりできません。
ここは▲2五歩と打って桂馬を活用しながら飛車先の突破を目指すのがいいと思います。
本譜は違いますが、流れとしては▲2四歩、△同歩、▲2五歩の
継ぎ歩攻めと理屈は同じになります。
63手目:形勢判断と候補手
互角:▲7五桂、▲2九銀
激しい攻め合いとなりましたが、ようやく62手目で後手玉が動きました。
「
居玉は避けよ」と言われますが、このような攻め合いの場合は
囲うよりもギリギリまで飛車の横利きを通しておいた方が、安全な場合もあります。
この後、後手は広さを生かして粘ることとなります。
先手としては、下手に後手玉を追ってはいけません。
攻めるならば、後手の玉飛接近の形をとがめる▲7五桂が手筋です。
受けるならば、▲2九銀とする手が有力です。
終盤
70手目:形勢判断と候補手
先手有利:△6三銀
70手目の局面、次に先手から▲6三銀と打たれると数で押さえ込まれてしまいます。
また、▲7四馬から▲8三銀のように飛車を取りに行く手も気になります。
その狙いを両方受けるとすれば、△6三銀になります。
実戦的には、先手を焦らせる狙いで△7一玉という手も面白いとは思います。
本譜は攻め合いを選択しましたので、
先手が後手玉を寄せ切れるかどうかという展開になりました。
終盤の寄せの段階で、先手は持ち駒が少ないため、
後手玉を上部に逃がしてしまうことだけは絶対に避けなければなりません。
また、先手玉は角や桂を渡さなければ、すぐには有効な詰めろがかかりません。
実戦においては、注意点が少ないので、かなり勝ちやすい局面です。
詰みや必至が見えなかったら、焦らずに歩を使った攻めをしましょう。
全く攻めの手が見えなかった場合は、
自玉を早逃げして相手に攻めさせ、駒を入手することもテクニックです。
95手にて、後手の渡辺竜王が投了し、羽生棋聖が1勝目をあげました。
激しい攻め合いの中、正確に相手を追いつめていった
羽生棋聖の指し方が非常に勉強になりました。
棋譜
棋譜をクリップボードにコピー
棋戦:第30期竜王戦七番勝負 第1局
先手:羽生善治棋聖
後手:渡辺明竜王
手数----指手---------消費時間--
1 2六歩(27) ( 0:00/00:00:00)
2 8四歩(83) ( 0:00/00:00:00)
3 2五歩(26) ( 3:00/00:03:00)
4 8五歩(84) ( 2:00/00:02:00)
5 7八金(69) ( 3:00/00:06:00)
6 3二金(41) ( 3:00/00:05:00)
7 3八銀(39) ( 2:00/00:08:00)
8 7二銀(71) ( 4:00/00:09:00)
9 5八玉(59) (10:00/00:18:00)
10 1四歩(13) (58:00/01:07:00)
11 1六歩(17) (27:00/00:45:00)
12 9四歩(93) ( 4:00/01:11:00)
13 9六歩(97) ( 5:00/00:50:00)
14 8六歩(85) (28:00/01:39:00)
15 同 歩(87) ( 2:00/00:52:00)
16 同 飛(82) ( 0:00/01:39:00)
17 8七歩打 (10:00/01:02:00)
18 8四飛(86) ( 1:00/01:40:00)
19 3六歩(37) ( 8:00/01:10:00)
20 3四歩(33) ( 2:00/01:42:00)
21 2四歩(25) (26:00/01:36:00)
22 同 歩(23) ( 0:00/01:42:00)
23 同 飛(28) ( 0:00/01:36:00)
24 2三歩打 ( 0:00/01:42:00)
25 2五飛(24) ( 1:00/01:37:00)
26 6四歩(63) (26:00/02:08:00)
27 7六歩(77) (37:00/02:14:00)
28 6三銀(72) ( 3:00/02:11:00)
29 2四歩打 (36:00/02:50:00)
30 同 歩(23) ( 4:00/02:15:00)
31 同 飛(25) ( 0:00/02:50:00)
32 8二飛(84) ( 2:00/02:17:00)
33 3四飛(24) ( 3:00/02:53:00)
34 3三角(22) (57:00/03:14:00)
35 1五歩(16) (23:00/03:16:00)
36 同 歩(14) ( 7:00/03:21:00)
37 3七桂(29) ( 3:00/03:19:00)
38 2二銀(31) (22:00/03:43:00)
39 3五飛(34) ( 6:00/03:25:00)
40 3四歩打 (13:00/03:56:00)
41 2五飛(35) (17:00/03:42:00)
42 2四歩打 ( 2:00/03:58:00)
43 3三角成(88) (10:00/03:52:00)
44 同 銀(22) ( 4:00/04:02:00)
45 2九飛(25) ( 0:00/03:52:00)
46 5四銀(63) (15:00/04:17:00)
47 2五歩打 (14:00/04:06:00)
48 1六歩(15) (17:00/04:34:00)
49 2四歩(25) (38:00/04:44:00)
50 1七歩成(16) ( 1:00/04:35:00)
51 同 香(19) ( 2:00/04:46:00)
52 同 香成(11) ( 1:00/04:36:00)
53 2三歩成(24) ( 0:00/04:46:00)
54 2七歩打 ( 9:00/04:45:00)
55 3二と(23) ( 5:00/04:51:00)
56 2八歩成(27) ( 8:00/04:53:00)
57 3三と(32) ( 4:00/04:55:00)
58 同 桂(21) (31:00/05:24:00)
59 1五角打 ( 7:00/05:02:00)
60 2九と(28) ( 1:00/05:25:00)
61 3三角成(15) ( 0:00/05:02:00)
62 6二玉(51) ( 1:00/05:26:00)
63 7五桂打 (10:00/05:12:00)
64 7四角打 ( 0:00/05:26:00)
65 5五銀打 (18:00/05:30:00)
66 同 銀(54) (61:00/06:27:00)
67 同 馬(33) ( 0:00/05:30:00)
68 2八と(29) ( 9:00/06:36:00)
69 6四馬(55) ( 8:00/05:38:00)
70 3八と(28) ( 3:00/06:39:00)
71 6三銀打 (12:00/05:50:00)
72 5一玉(62) ( 0:00/06:39:00)
73 3八金(49) ( 1:00/05:51:00)
74 9二角(74) ( 1:00/06:40:00)
75 4五桂(37) (10:00/06:01:00)
76 4一玉(51) ( 1:00/06:41:00)
77 2四歩打 ( 7:00/06:08:00)
78 2九飛打 (10:00/06:51:00)
79 5三桂(45) (15:00/06:23:00)
80 3二玉(41) (11:00/07:02:00)
81 2三金打 ( 3:00/06:26:00)
82 2一玉(32) ( 1:00/07:03:00)
83 6一桂成(53) ( 0:00/06:26:00)
84 6九銀打 ( 5:00/07:08:00)
85 6八玉(58) ( 1:00/06:27:00)
86 4九飛成(29) ( 0:00/07:08:00)
87 3一金打 ( 7:00/06:34:00)
88 1一玉(21) ( 0:00/07:08:00)
89 1二歩打 ( 0:00/06:34:00)
90 同 飛(82) ( 0:00/07:08:00)
91 5五馬(64) ( 0:00/06:34:00)
92 2二歩打 ( 0:00/07:08:00)
93 1三歩打 ( 0:00/06:34:00)
94 3八竜(49) ( 0:00/07:08:00)
95 7七玉(68) ( 0:00/06:34:00)
96 投了 ( 0:00/07:08:00)
まで95手で先手の勝ち
王座戦第4局
竜王戦第2局