目次
王位戦第2局
王位戦第4局
対局情報
局面解説
序盤
11手目:形勢判断と候補手
互角:▲6八銀 など
後手が△7四歩と突いて、右銀の進出を見せたら
先手も▲6八銀から左銀の進出を急ぎます。
▲6六歩&▲6七銀の形でツノ銀中飛車を目指す指し方もありますが、
先手は角道が二重に止まるため、やや攻めづらくなります。
21手目:形勢判断と候補手
互角:▲2八玉、▲1六歩、▲4六歩 など
後手は居飛車穴熊を目指すこともできましたが、
角道を止めたまま、確実に左美濃を組む指し方も有力です。
場合によっては△3四歩を突かずに△1四歩~△1三角と活用します。
端から角を覗かれる含みがあるだけでも、
先手は▲5九金左のような手が指しづらくなります。
中飛車は序中盤で主導権を握りやすい反面、
左金の使い方が難しい戦法なのです。
32手目:形勢判断と候補手
互角:△同銀、△6五銀
32手目は△同銀と取る手も、△6五銀とかわす手も有力です。
△6五銀は、△7六銀と1歩得する含みがあるものの、
その瞬間に5筋が薄くなるため、少し怖い変化もあります。
5筋からの距離は、先手玉が後手玉より1.5倍も離れているため、
後手の方が流れ弾に当たらないように神経を使う中盤となります。
本譜は△同銀と取りました。
こちらは5筋をしっかりと受けてから7筋、8筋を狙う方針となります。
37手目:形勢判断と候補手
互角:▲3八銀、▲7八金、▲4六歩 など
先手は美濃囲いにする指し方が自然です。
▲3八銀の1手で完成しますし、
既に端歩を突いているので自玉の広さも確保できています。
本譜は▲1八香と指しました。
端は穴熊の弱点の1つなので、
相穴熊以外で端歩を突き合うのは損になる場合が多いです。
それでも穴熊に組む場合は、囲いの堅さを生かすというよりも
玉の遠さを生かす必要があるため、非常に難しい指し回しが求められます。
42手目:形勢判断と候補手
互角:△6五銀、△8六歩、△7五歩、△2四歩 など
42手目は作戦の分岐点です。
先手からの早い攻めはなさそうなので、
△2四歩から銀冠を組む手順は有力です。
歩の突き捨ては△8六歩と△7五歩のどちらが先でも成立します。
変化はありますが、できれば両方突き捨てるのが居飛車の攻めの基本です。
いきなり△6五銀と攻める手も有力で、積極的ですが、
先手も▲5五歩や▲9五角から攻め合う展開となります。
中盤
48手目:形勢判断と候補手
互角:△7二飛、△6四歩、△7六歩 など
48手目で△8六銀と歩を取れば、棒銀が成功したようですが、
疑問手です。
▲6六角とかわされると、△8七銀成としても
▲8三歩~▲8四歩と連打されて
飛車先が止まってしまいます。
歩を取るということは、
相手がその筋に歩を打つことができるようになるということです。
歩を取る前に相手の持ち駒にある歩の枚数や
歩を叩かれる筋が厳しくないか、確認するようにしましょう。
本譜は△6四歩と突きました。
次に△8六銀 ▲6六角となったときに、さらに△6五歩と突いて角を追う狙いです。
56手目:形勢判断と候補手
互角:△9九角成
55手目の▲5三歩は対応が悩ましいです。
金で取ったら▲7三歩、取らなければ▲6三銀が厳しくなります。
複数の狙いがあって受けづらい場合は、受けてもジリ貧になりやすいので、
開き直って△9九角成と攻め合う方が、実戦的には勝ちやすいです。
本譜は△同金と取りました。
64手目:形勢判断と候補手
先手有利:△4六歩、△5五馬、△3三馬 など
後手は玉の
こびんが開いているため、細心の注意が必要です。
64手目で手堅く指すならば△3三馬のように馬を引いておきます。
馬を閉じ込められる心配がなくなりますし、技もかかりにくくなります。
本譜は△4六歩と突きました。
穴熊近くの歩を上ずらせておくことは穴熊攻略の基本手筋です。
73手目:形勢判断と候補手
先手有利:▲7一飛成、▲7二飛成、▲8二飛、▲同金 など
73手目で▲同金と桂を取る手は有力です。
先手は桂を入手すれば▲2六桂と打つ攻め筋が生じます。
▲7一飛成や▲7二飛成の成り込みも自然な攻めです。
比較は難しいのですが、本譜の場合はどちらも有力です。
飛車の成り込みが一段目と二段目では攻め筋が変わります。
善悪の比較判断はケースバイケースなのですが、
迷ったら一段目に成り込んで金を狙っていけば、間違いは少ないです。
87手目:形勢判断と候補手
先手有利:▲4五香
87手目では▲4五香が
好手です。
△4四歩と打たれると、すぐに捕まってしまいますが、
△4七歩と打てなくなったため、後手からの攻めが遅れています。
相手陣が堅いときには と金攻めが有効です。
歩が打てる筋をしっかりと意識しましょう。
終盤
100手目:形勢判断と候補手
先手有利:△1七香
100手目は△1七香と
打ち込む手が有力です。
「
下段の香に力あり」とは言いますが、
△1一香と打って△1七銀を狙う手順では攻めが1手遅くて間に合いません。
104手目:形勢判断と候補手
互角:△1八歩
穴熊で玉頭が空いたら、すかさず歩を叩くのが手筋です。
王手がかかりやすくなりますし、▲1八歩と埋められる手も防いでいます。
118手目:形勢判断と候補手
互角:△3三馬
118手目では△3三馬と引く手が有力です。
自玉を堅くしながら、金取りにもなっています。
本譜は△3九銀と打ちました。
先手玉の下が手薄なので、そこを狙った手ですが、
▲2九金と銀取りに打ち返されて忙しくなってしまいました。
終盤で様々な候補手があると、
それぞれの手を深く読んだり、比較したりする時間がないことも多いです。
そのような場合は、盤上の駒を動かす候補手を優先して考えましょう。
持ち駒は1度打ってしまうとワープできません。
読み抜けがあって、打った駒が取られたり、取り残されたりする展開の方が
一気に形勢を損ねる可能性が高くなります。
135手目:形勢判断と候補手
先手優勢:▲2九桂、▲4一と
135手目は▲2九桂が受けの手筋です。
タダですが、取ってくれれば1手稼ぐことができます。
先手玉はかなり狭いのですが、
詰めろがかかりにくい形となりました。
自玉の近くに自分の飛車や金がいる場合、
それを王手で取られるような手があると詰まされやすいのですが、
持ち駒を打つ王手に対しては往復運動で取り続けることができるので
かなり耐久力があります。
157手にて、後手の豊島棋聖が投了し、
菅井王位の2勝、豊島棋聖の1勝となりました。
投了図以降、△同銀は▲4六香、△同玉は▲5七金以下詰みとなります。
△4四玉と引けば手数は長くなりますが、▲4五香から馬を取って詰みです。
本局では菅井王位の捌きと終盤の凌ぎが非常に勉強になりました。
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王位戦第4局