[図1]
上の [図1] は、2018年6月19日からに20日にかけて行われた第76期名人戦七番勝負 第6局 佐藤天彦 名人 対 羽生善治 竜王の対局で145手目に先手の佐藤名人が▲5二銀と打って、後手の羽生竜王が「投了」した局面。投了図以降、詰め上がりまで最短でも14手かかるうえ、少し難しい手順でもあるが、お互いに読み切っているため、後手玉が逃げ回ることなく、ここで終局となった。[図2]
上の [図2] は、2017年9月5日に行われた第65期王座戦五番勝負 第1局 羽生善治 王座 対 中村太地 六段の対局で185手目に先手の中村六段が▲1六銀と打って、後手の羽生王座が「投了」した局面。ここから、実は△2三桂と打てば、やや複雑な手順ではあるが千日手に持ち込むことができた。優勢の局面を逃してしまったという焦りと、玉の広さや安全度の差から、後手の羽生王座が形勢以上に悲観してしまったものと推測される。[図3]
上の [図3] は、2018年3月15日に行われた第76期順位戦C級2組10回戦 神谷広志 八段 対 増田康宏 五段の対局で185手目に先手の増田五段が▲5三飛と打って、後手の神谷八段が「投了」した局面。実は、この局面で△6九飛成 ▲同玉 △7八銀以下、20手を超える詰みが先手玉にあった。ところが、神谷八段は先手玉に詰みなしと判断して、無駄な王手をしないように、この局面で「投了」した。先手玉は簡単な詰みではないものの、詰ましにいくならばこの手順しかなく、その途中で詰みを読み切ることもプロならば難しくない。考え方によっては「投了の美学」の弊害ではあるものの、形勢を悲観し続けていたり、対局相手を信用していたりすると、勝ち手順が盲点になることもある。もちろん、形勢が良い方が「投了」することはルール上問題なく、勝敗の決定も「投了」優先である。- スポンサーリンク -
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