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松尾流穴熊の基本形
下図が松尾流穴熊(まつおりゅうあなぐま)の基本形です。
最小構成として、玉・香・桂・銀2枚・左金の配置が同じであれば
松尾流穴熊と言えます。
プロ棋士の松尾 歩先生が実戦で採用し、高勝率を上げていたことで、
そのように命名されました。
松尾流穴熊の特長
松尾流穴熊は主に
対抗形の居飛車側で現れる囲いです。
穴熊(居飛車)の基本形から、短手数でさらに堅くするために、
自玉から最も離れている右銀を囲いに引き付けます。
右銀が中央三段目(先手5七、後手5三)からいなくなると、
角道を開けるために、角の右上の歩を
突いた(先手▲6五歩、後手△4五歩)時に、
相手の右桂で取り返された手が角銀両取りになりません。
また、角を1つ右下に引いても、右銀が利きを遮りません。
使いやすくなった角を
捌いて、戦いを激しくしたうえで、
自分の攻めが続きさえすれば、囲いの堅さが生きやすい展開となります。
松尾流穴熊の評価
標準手数 | 16 手 |
横の耐久力 | 95 /100 |
斜めの耐久力 | 100 /100 |
上部の耐久力 | 95 /100 |
端の耐久力 | 85 /100 |
玉の広さ | 20 /100 |
玉の遠さ | 95 /100 |
囲いやすさ | 60 /100 |
陣形バランス | 50 /100 |
囲いの進展性 | 40 /100 |
※弊サイト独自の評価です。戦型や局面によって変動しますし、点数の合計が大きいからと言って必ずしも優れているということではありません。あくまでも目安としてお考えください。
松尾流穴熊の前段階
原則として居飛車穴熊の基本形から組み替えます。
但し、右銀を引き付ける位置を空けておくために、
左金は一段目ではなく、二段目に上がります。
松尾流穴熊からの進展
相手からの仕掛けを警戒する局面であることが多いため、
実戦的に、組み替える余裕があることはほとんどないです。
主な相手の囲い
振り飛車で、比較的手数のかかる堅い囲いであることが多いです。
松尾流穴熊の主な弱点
右銀を1つ引いた瞬間に最も隙が生じる
松尾流穴熊は、右銀を中央三段目から2手かけて
引く必要があるのですが、
その1手目を指した状態が最も不安定となります。
先手は4筋(後手は6筋)が無防備となり、右銀が邪魔で角を右側へ引くこともできず、
さらに(飛車の横利きが遮られて)左金が
浮いた状態となります。
例えば、相手が四間飛車で、部分的に下図のような形の場合、
当然、松尾流穴熊の完成を待ってくれずに仕掛けてくることとなります。
この隙を見せることで「相手に攻めさせている」という意味合いもあるのですが、
そのまま潰れないように、反撃の
含みを残しながら、しばらく受ける必要があります。
上図のような仕掛けに備えて右銀を中央に配置している部分もあるため、
昔は「松尾流穴熊の形を目指して右銀を引く」という発想がほとんどありませんでした。
技術向上に伴って「攻め潰されることはない」とされるようになったのですが、
隙を作って攻めさせる指し方はかなり難しいです。
バランス・端・広さに関しては穴熊(居飛車)と同様
詳細は穴熊(居飛車)のページをご覧ください。