【将棋用語】
投了

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「投了」の読み方

とうりょう

「投了」の説明

対局者が負けを認めて相手に伝えること。その時点で対局が終わりとなる。「投げる」と同じ意味になる。
「投了」による勝敗の決定は反則よりも優先されるため、「投了」後に反則が発覚したとしても、その反則は無効となり、投了した方がそのまま負けとなる。
投了時は、頭を下げて駒台に軽く手を添えながら、「負けました」「参りました」「ありません」などと発言することがマナーとして望ましい。しかし、緊張感から言葉がうまく発せない場合などに駒台全体を手で覆うような動作だけでも「投了」の意思を表すことがある。
ほとんどの場合、形勢の悪い方が「投了」することとなるが、形勢の良い方が「投了」することもルール上は問題なく、「投了」するタイミングも自由である。もちろん、勝ち星やレート調整などが目的でわざと「投了」するような行為は重大なマナー違反となって批判される可能性が高く、また、(勝てそうにない相手との対局などにおいて)序盤で「投了」するような行為も避けるべきである。上記を除き、形勢の良い方が「投了」する例としては、自分の形勢を悪いと勘違いしている場合が挙げられる。
「投了」前には、なるべく良い勝負であったことを示すために形作りをすることも多い。
「投了」した局面は「投了図(とうりょうず)」と言われる。「投了図」は、詰ましている途中や必至などで詰みが近かったり、駒の損得が大きく離れていたりすることが多く、逆に玉が完全に詰んでいる状態であることは少ない。
プロの対局においては、お互いがかなり先まで読んでいるため、アマでは分かりづらい「投了図」もある。それが美学とされている部分もあるが、まれに勝っている方が投了してしまうという事件も発生する。尚、テレビ対局の場合は、視聴者に配慮して、詰みがかなり分かりやすい局面まで指すことが多い。

「投了」の用例

「自玉に必至がかかったので投了する。」
【将棋用語】第76期名人戦七番勝負 第6局 佐藤天彦 名人 対 羽生善治 竜王の「投了図」

[図1]

上の [図1] は、2018年6月19日からに20日にかけて行われた第76期名人戦七番勝負 第6局 佐藤天彦 名人 対 羽生善治 竜王の対局で145手目に先手の佐藤名人が▲5二銀と打って、後手の羽生竜王が「投了」した局面。投了図以降、詰め上がりまで最短でも14手かかるうえ、少し難しい手順でもあるが、お互いに読み切っているため、後手玉が逃げ回ることなく、ここで終局となった。
【将棋用語】第65期王座戦五番勝負 第1局 羽生善治 王座 対 中村太地 六段の「投了図」

[図2]

上の [図2] は、2017年9月5日に行われた第65期王座戦五番勝負 第1局 羽生善治 王座 対 中村太地 六段の対局で185手目に先手の中村六段が▲1六銀と打って、後手の羽生王座が「投了」した局面。ここから、実は△2三桂と打てば、やや複雑な手順ではあるが千日手に持ち込むことができた。優勢の局面を逃してしまったという焦りと、玉の広さや安全度の差から、後手の羽生王座が形勢以上に悲観してしまったものと推測される。
【将棋用語】第76期順位戦C級2組10回戦 神谷広志 八段 対 増田康宏 五段の「投了図」

[図3]

上の [図3] は、2018年3月15日に行われた第76期順位戦C級2組10回戦 神谷広志 八段 対 増田康宏 五段の対局で185手目に先手の増田五段が▲5三飛と打って、後手の神谷八段が「投了」した局面。実は、この局面で△6九飛成 ▲同玉 △7八銀以下、20手を超える詰みが先手玉にあった。ところが、神谷八段は先手玉に詰みなしと判断して、無駄な王手をしないように、この局面で「投了」した。先手玉は簡単な詰みではないものの、詰ましにいくならばこの手順しかなく、その途中で詰みを読み切ることもプロならば難しくない。考え方によっては「投了の美学」の弊害ではあるものの、形勢を悲観し続けていたり、対局相手を信用していたりすると、勝ち手順が盲点になることもある。もちろん、形勢が良い方が「投了」することはルール上問題なく、勝敗の決定も「投了」優先である。

「投了」に関連する用語


 

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