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「持将棋」の読み方
じしょうぎ
「持将棋」の説明
持将棋の概要
入玉によって膠着状態となり、決着がつかないか、あるいは相当長引くことが想定される場合に無勝負(=勝ち負けを決めずに終局)とするルールのこと。具体的には後述の「24点ルール」と「500手ルール」が定められている。
持将棋成立後の対応は場合によって異なり、
千日手と同様に先後入れ替えで指し直し(プロ公式棋戦の原則)、または引き分けや両者0.5勝と判定されることもある。アマチュアの場合は対局時間などの都合で指し直しが行われないことも多い。
24点ルール
24点ルールの概要
①少なくともいずれかの玉が敵陣に入り、②どちらも相手の玉を詰ます見込みがなく、③
大駒(飛・角)は1枚で5点・
小駒(金・銀・桂・香・歩)は1枚で1点・玉は0点として盤上の駒および持ち駒を数えて両対局者の点数がそれぞれ24点以上であり、④両対局者の合意がある、というすべての条件を満たした場合に無勝負となるルールのこと。なお、24点に満たない場合は負けとなる。また、駒落ち対局の点数計算では駒を落としている側(上手《うわて》)に落としている分の点数を足す。
24点ルールの適用方法
原則として入玉している対局者が手番となった際に「持将棋にしませんか?」のような感じで相手に持ち掛ける。入玉や点数の条件を満たしたからと言って、すぐに持将棋を提案する必要はないが、提案を拒否されたらしばらくは指し続けるしかない。この辺りは厳密なルールがないのでお互いの息を合わせる必要がある。
24点ルールの問題点と対策
持将棋を成立させるために必要な「両対局者の合意」という条件がルールとしてあいまいである。特に24点に満たない場合は負けであるが、劣勢側が持将棋の提案に応じなければよく、投了もしないで対局が長引くことがあった。その対策として、多くのアマチュア大会では「
入玉宣言法(27点法)」という持将棋とは別の明確なルールを採用して決着をつけている。プロの公式対局においては、2013年10月1日から「
入玉宣言法(24点法)」というルールが導入されており、その一部に持将棋の要素(無勝負)が取り入れられている。持将棋というルール自体がなくなった訳ではないが、両対局者の合意がなくても無勝負にできるような仕組みが整えられた。
500手ルール
500手ルールの概要
手数が500手に達した時点で強制的に無勝負となるルールのこと。この場合、玉の位置や点数状況などは条件とならない。ただし、500手目を指した局面で王手がかかっている場合に限り、連続王手が途切れた段階で持将棋が成立する。2019年10月1日以降、プロの公式戦において施行されている。
500手ルールの解釈
500手目を指すのは後手なので、500手目が王手の場合は基本的に「後手が詰ましきれば勝ち」という状況である。たしかに詰んでいるのに無勝負にされてはスッキリしない。しかし、仮に後手玉が詰まされる途中で、後手が500手目に王手を回避した局面は持将棋成立となるのである。連続王手を想定できているにもかかわらず、500手時点の局面のみで王手を条件にしているのは平等でない気がする。
また連続王手の定義も解釈の余地がありそうだ。後手の連続王手によって500手を越えた後、逆王手で攻守が逆転し、先手が連続王手をかけた場合は有効となるのであろうか。
入玉時の全般的な対応
入玉時の決着については「
入玉宣言法」が一般的である(まれに「
トライルール」を採用している場合もある)。そして持将棋については提案自体が認められていない大会や将棋アプリも増えている。いずれにしても、大会などの重要な対局であれば、事前のルール確認が必須である。
「持将棋」の用例
[図1]
上の [図1] は、2013年4月13日に行われた第2回電王戦 第4局の「塚田泰明九段 vs Puella α(プエラ アルファ)」で230手にて「持将棋」となった局面。後手の塚田九段が敗勢であったが、お互いが入玉した後、塚田九段がPuella αの駒を多く取ることに成功し、点数が24点に達した。この対局は規定により「引き分け」のまま決着となり、指し直しは行われなかった。
[図2]
上の [図2] は、2018年2月27日に行われた第31期竜王戦6組ランキング戦「牧野光則 五段 vs. 中尾敏之 五段」で420手指された局面。中尾五段は、この対局に勝てば順位戦でC級2組に復帰して現役続行、負けると引退に大きく近づく1局だった。後手の中尾五段が劣勢であったが、執念で入玉をした後、駒を増やして点数を24点としている。その後、後手の点数が減る見込みがなくなったため、両者の合意により「持将棋」成立となった。
午前10時から始まった対局は「持将棋」が成立した時点で翌日の午前1持44分となっていた。その30分後から先後入れ替えで指し直しとなり、牧野五段が勝利した。中尾五段は後日の対局が最後のチャンスであったが、負けたため引退が決まった。
[図3]
上の [図3] は、2000年1月17日に放送された第49回NHK杯テレビ将棋トーナメント「神吉宏充 六段 vs 鈴木大介 六段」で184手目の局面。ここで、後手の鈴木六段が「持将棋」を提案し、先手の神吉六段 が合意したため、「持将棋」成立となった。現局面ではお互いに入玉していないので、厳密に言えばルールの適用範囲外ではある。しかし、後手は次の手で入玉ができるうえに、テレビ対局という事情もあるため、「持将棋」成立自体は問題視されていない。但し、アマチュア大会などで入玉宣言法が採用されていない場合は、勝手に判断せず審判の判断を仰いだ方が無難ではある。
なお、この局面における点数は先手28点・後手26点であるが、後手は取られやすい駒が多い。形勢も先手優勢で、指し続ければ、かなり手数は長くなるが、後手は「持将棋」成立の点数(24点)を満たせず、次第に追いつめられて、先手の勝ちとなる可能性が高いと言われている。
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事件
自陣
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