【将棋用語】
手損

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「手損」の読み方

てぞん

「手損」の説明

ある局面とそこから進んだ局面の比較において、自分(片方)の駒に着目して「実際に指した手数」よりも「最短で実現するための手数」の方が少ないこと。あるいは、双方の駒に着目して「相手が最短で実現するための手数」よりも「自分が最短で実現するための手数」の方が少ないこと。
前者は、「自分の駒が寄り道をしている」ということを表している。例えば、金を右に1つ寄ってから前に1つ進んだとすると「実際に指した手数」は「2手」であるが、金は右斜め前に進むことができるから「最短で実現するための手数」は「1手」であり、「手損」をしている(手数を含める場合は「1手の損」や「1手損(いってぞん)」のように言う)。
後者は、盤上において「自分の方が駒の動きが少ない」という結果が残っていることを表している。自分の駒だけが寄り道をしている場合も含まれるが、実戦では駒交換によって差が出ることが多い。異なる種類の駒を交換した場合は「手損(手得)」に関する計算が困難になるのだが、同一種類の駒を交換した場合は、交換にかかった手を無視して考える(お互いに1手ずつかけて駒台に移動したと考えても良い)。例えば、角交換の場合、「自分の角で相手の角を取る」→「相手が自分の角を取り返す」となるが、盤上から双方の角がなくなったこと以外では相手の駒しか動いていないため、自分が相手よりも「手損」していることとなる(但し、相手が取り返す際に動かした駒が有用な動きをしている場合に限る)。これについては、後述の「1手損角換わり」が有名である。
他、手数計算の方法として、局面Aから実現可能な局面Bと局面Cがある場合に局面Bと局面Cを比較して考えるようなこともある。また、手数の勘定には時間がかかるので、実戦においては、具体的に何手かを計算するよりも、「手損か否か」ということについて、部分的な形だけを見て、あるいは感覚的に判断することの方が多い。
将棋は、より早く相手の玉を詰ますゲームであるから、原則として「手損」は避けるべきである。但し、膠着状態の局面で相手からの仕掛けを誘ったり、相手の指し手を限定したりする目的で、戦略的にあえて「手損」を選択する場合はある。
尚、自分が「手損」をしている場合、相手は必ず「手得」をしていることとなり、この2つは相反している事象であると言える。

「手損」の用例

【将棋用語】「1手損角換わり」の序盤の局面

[図1]

上の [図1] は、「1手損角換わり」と呼ばれる戦法の序盤である。後手が△8八角成と指した手に対して、▲同銀 △2二銀と進むと、先手は歩2枚と金銀が1つずつ動いているので4手分指しているが、後手は歩2枚と銀の3手分しか指していない。つまり、後手が1手損している。「角換わり」は、他の戦法と比較すると、仕掛けが難しいために手待ちが有力となる変化が多い。それならば「1手損」によって形成を損ねる可能性やその度合いは、他の戦法よりも少ないと考えることができる。さらに、先手の様子を1手多く見ることで、後手が動き方を変えやすくなるというメリットもあり、有力な戦法として確立されている。

「手損」に関連する用語

「手損」に関連する手筋


 

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