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「持将棋」の読み方
じしょうぎ
「持将棋」の説明
概要
少なくともいずれかの玉が敵陣に入り、どちらも相手の玉を詰ます見込みがない場合に、両対局者の合意によって無勝負となるルールのこと。
持将棋が成立するためには、大駒1枚を5点、小駒1枚を1点として盤上の駒及び持ち駒を数え、両対局者の点数がそれぞれ24点以上となることが条件となる。(玉は点数として数えない。)
ルールの適用方法
条件を満たす場合には、原則として手番の側が「持将棋にしませんか?」「引き分けにしませんか?」のような感じで相手に持ち掛ける。条件を満たしたからと言って、すぐに持将棋を提案する必要はないが、拒否されたら指し続けるしかない。しばらく指して、再度、持将棋を提案しても良い。この辺りは厳密なルールがないのでお互いの息を合わせる必要はある。
尚、プロの公式戦においては入玉宣言法の適用によっても持将棋となる場合がある。
ルール適用後の対応
持将棋が成立した場合は、千日手の場合と同様に先後入れ替えで指し直しとなることが多い。対局時間等の都合上、引き分けとする場合もある。
問題点
持将棋の成立には「両対局者の合意」というあいまいな要素がある。よって、アマチュア大会ではほとんど採用されていなかった。2013年10月1日からはプロの公式対局においても「入玉宣言法」というルールが追加された。
暫定施行ルール
2019年10月1日より、プロの公式戦において、手数が500手に達した時点で強制的に「持将棋」が成立することとなった(暫定施行)。但し、その段階で王手がかかっている場合は連続王手が途切れた時点で「持将棋」が成立する。その際に限り、点数は不問で無勝負となり、指し直しとなる。とは言え、プロ公式戦の最長手数が420手なので、このルールが適用される可能性は極めて低い。
入玉時の全般的な対応
入玉時の決着について、「入玉宣言法」を採用している場合には、その旨と条件が明記されているが、「入玉宣言法」を採用していない場合(インターネットや道場での一般対局など)は、「持将棋」のルールが必ず有効となる。その他、まれに「トライルール」を採用している場合もある。いずれにしても、大会などの重要な対局であれば、ルールの確認は必要である。
「持将棋」の用例
[図1]
上の [図1] は、2013年4月13日に行われた第2回電王戦 第4局の「塚田泰明九段 vs Puella α(プエラ アルファ)」で230手にて「持将棋」となった局面。後手の塚田九段が敗勢であったが、お互いが入玉した後、塚田九段がPuella αの駒を多く取ることに成功し、点数が24点に達した。この対局は規定により「引き分け」のまま決着となり、指し直しは行われなかった。
[図2]
上の [図2] は、2018年2月27日に行われた第31期竜王戦6組ランキング戦「牧野光則 五段 vs. 中尾敏之 五段」で420手指された局面。中尾五段は、この対局に勝てば順位戦でC級2組に復帰して現役続行、負けると引退に大きく近づく1局だった。後手の中尾五段が劣勢であったが、執念で入玉をした後、駒を増やして点数を24点としている。その後、後手の点数が減る見込みがなくなったため、両者の合意により「持将棋」成立となった。
午前10時から始まった対局は「持将棋」が成立した時点で翌日の午前1持44分となっていた。その30分後から先後入れ替えで指し直しとなり、牧野五段が勝利した。中尾五段は後日の対局が最後のチャンスであったが、負けたため引退が決まった。
[図3]
上の [図3] は、2000年1月17日に放送された第49回NHK杯テレビ将棋トーナメント「神吉宏充 六段 vs 鈴木大介 六段」で184手目の局面。ここで、後手の鈴木六段が「持将棋」を提案し、先手の神吉六段 が合意したため、「持将棋」成立となった。現局面ではお互いに入玉していないので、厳密に言えばルールの適用範囲外ではある。しかし、後手は次の手で入玉ができるうえに、先手も十分に入玉を狙えるので、「持将棋」成立自体は問題視されていない。但し、アマチュア大会などで入玉宣言法が採用されていない場合は、勝手に判断せず審判の判断を仰いだ方が無難ではある。
尚、この局面における点数は先手28点・後手26点であるが、後手は取られやすい駒が多い。形勢も先手優勢で、指し続ければ、かなり手数は長くなるが、後手は「持将棋」成立の点数(24点)を満たせず、次第に追いつめられて、先手の勝ちとなる可能性が高いと言われている。
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