[図1]
上の [図1] は、2017年10月3日に行われた第65期王座戦五番勝負 第3局 羽生善治 王座 対 中村太地 六段で、76手目の後手の手番。△7五歩のように攻めていきたいところだが、後手玉が3一にいるため、▲7一飛~▲7五飛成のように王手で駒を取られてしまう変化がある。ここは△2二玉が「玉の早逃げ八手の得」で、▲7一飛が王手にならないため、先手玉を攻めやすくなった。[図2]
上の [図2] は、2018年4月14日に行われた第3期叡王戦決勝七番勝負 第1局 金井恒太 六段 対 高見泰地 六段で、60手目に後手の高見六段が△6二玉と玉を早逃げした局面。攻める手もありそうな局面だったが、△6二玉の1手を指すと、6二の銀と7一の金が美濃囲いとして機能してくるうえに、4二の銀は外堀のような存在に変わり、 先手に取られたとしても、手を稼ぐという役割を果たす。玉が5二にいるよりも先手の攻めが1手以上遅れるので、攻める手よりも得になる。実際の手数として8手も得をしていることはないが、価値が高いという意味を込めて「玉の早逃げ八手の得」である。[図3]
上の [図3] は、2018年4月11日から12日にかけて行われた第76期名人戦七番勝負第1局 佐藤(天)名人vs羽生竜王の91手目に先手の佐藤(天)名人が、2八にいた玉を、▲1八玉と寄った局面。「玉の早逃げ八手の得」で、持ち駒を使わずに△3九角からの詰みを回避しているどころか、有効な詰めろがかかりにくくなっている。[図4]
上の [図4] は、2020年3月25日から26日にかけて行われた第69期王将戦七番勝負 第7局 渡辺明 王将 対 広瀬章人 八段の80手目に後手の広瀬八段が△3六馬と引いた局面。 次に△4七と~△5七と と開き王手で金駒を剥がされてしまうと先手陣は一気に弱体化する。よって、ここは一旦受けに回る必要があり、本譜は「玉の早逃げ八手の得」で▲7九玉と寄った。- スポンサーリンク -
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