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土居矢倉の基本形
下図が土居矢倉(どいやぐら)の基本形です。
最小構成として、左銀と金2枚の配置が同じであれば土居矢倉と言えます。
土居矢倉は、先手の場合「6七金左矢倉」、
後手の場合「4三金左矢倉」のように言われることもあります。
土居矢倉の特長
土居矢倉は原則として相居飛車で用いられる囲いです。
金銀を三段目に配置している6・7筋(後手は3・4筋)の上部や、
斜めからの攻撃に対しては、
金矢倉に近い耐久力を持ちつつ、
右金を中央に配置しているので、陣形全体のバランスを保つことができます(下図)。
囲いとしては決して堅くありませんが、
金矢倉よりも1~2手早く囲いが完成するので、
相手の仕掛けに対応しやすくなっています。
また、中終盤においては、玉の広さを生かして、
盤上右側へ逃げ出すような指し方をすることもできます。
指しこなすためにはある程度の力が求められますが、
早い仕掛けを重視する現代将棋において、見直されてきた囲いです。
土居矢倉の評価
標準手数 | 12 手 |
横の耐久力 | 55 /100 |
斜めの耐久力 | 75 /100 |
上部の耐久力 | 75 /100 |
端の耐久力 | 50 /100 |
玉の広さ | 90 /100 |
玉の遠さ | 70 /100 |
囲いやすさ | 85 /100 |
陣形バランス | 95 /100 |
囲いの進展性 | 40 /100 |
※弊サイト独自の評価です。戦型や局面によって変動しますし、点数の合計が大きいからと言って必ずしも優れているということではありません。あくまでも目安としてお考えください。
土居矢倉の前段階
土居矢倉は
金矢倉に組む途中で、金の上がり方を変化させたものです。
カニ囲いから組み替えることはできますが、
早い段階で先手は▲7七銀、後手は△3三銀の形を決めてしまうことの方が多いです。
土居矢倉からの進展
土居矢倉は、左金を三段目に上がっている点が、居飛車の囲いにおいては珍しいです。
よって、組み替えは難しいので、積極的に仕掛けを狙う指し方が有力です。
手詰まりになった場合、中央の金を玉側へ寄せて、
片矢倉に組み替えることはできます。
主な相手の囲い
手数のあまりかからない矢倉か
雁木がほとんどです。
土居矢倉の主な弱点
棒銀を防ぎづらい
土居矢倉は8七の地点を玉でしか守っていません。
つまり、下図のように仕掛けられてしまうと、
▲同歩 △同銀となって、相手の銀に進出された後、
▲7六歩と打っても、銀取りを
手抜きして△8六歩と
突く手が成立します(下図)。
対策として、
序盤の
駒組みの段階で相手が右桂を跳ねて(下図)、
棒銀にしづらくなったことを確認してから、
▲6七金左(後手は△4三金左)と上がるのが無難です。
端に利いている駒が少ない
土居矢倉は
金駒を上部と中央に配置しているので、
端には
利いていません。
よって、相手が端歩を
突き捨ててくる仕掛けが成立しやすいです。
例えば、下図のように、相手の持ち駒に歩が2枚あるだけでも、
▲同歩△9七歩で簡単に形を乱されてしまいます。
特に
中盤で相手の持ち駒が増えると、上図のような仕掛けを防ぐことは難しいので、
攻め合いに持ち込むか、場合によっては端を放棄して玉を右側に逃げ出します。
飛車を打ち込まれると後手に回る
土居矢倉は右金に
紐がついていません。
よって、下図のように飛車を打ち込まれてしまうと金取りになってしまうため、
受けの手を指す必要があります。
土居矢倉で相手に飛車を渡す際には反撃に注意が必要です。