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矢倉穴熊の基本形
下図が矢倉穴熊(やぐらあなぐま)の基本形です。
最小構成として、玉・左香・左桂の配置が同じで、左銀や左金が近くにあれば矢倉穴熊と言えます。
矢倉穴熊の特長
矢倉穴熊は原則として相居飛車の囲いです。
対抗形における
居飛車穴熊と形が同じになることもありますが、
金矢倉などに組みあがってから、お互いの仕掛けが難しい場合に現れる囲いです。
よって、左銀が8八(後手は2二)にいたとしても、
移動にかかっている手数は1手(7九→8八、3一→2二)ではなく、
7七(後手は3三)に上がってから引いているため、3手はかかっています。
また、相手は居飛車であるため、飛車先の交換を防ぐために、
左銀を7七(後手は3三)に残したまま、
左金を8八(後手は2二)に移動して堅さを確保するような囲い方もあります。
矢倉穴熊の評価
標準手数 | 16 手 |
横の耐久力 | 75 /100 |
斜めの耐久力 | 85 /100 |
上部の耐久力 | 90 /100 |
端の耐久力 | 85 /100 |
玉の広さ | 30 /100 |
玉の遠さ | 90 /100 |
囲いやすさ | 65 /100 |
陣形バランス | 60 /100 |
囲いの進展性 | 40 /100 |
※弊サイト独自の評価です。戦型や局面によって変動しますし、点数の合計が大きいからと言って必ずしも優れているということではありません。あくまでも目安としてお考えください。
矢倉穴熊の前段階
矢倉の完成形から、香を上がって玉を隅に移動します。
矢倉穴熊からの進展
戦型の都合上、攻撃のバランスや自陣の隙との兼ね合いで、
右銀を引き付けて銀冠穴熊を目指すようなことは難しいです。
主な相手の囲い
比較的手数をかけた堅い囲いになっているはずです。
矢倉穴熊の主な弱点
対抗形の穴熊ほど堅くない
「穴熊」という言葉が付いてはいますが、
対抗形の穴熊(居飛車穴熊・振り飛車穴熊)ほど堅くありません。
矢倉穴熊の場合、戦型は相居飛車です。
対抗形と違って、相手の攻撃陣が囲いの上部に配置されているため、
仕掛けられやすいですし、攻めの破壊力もあります。
また、上部からの攻めに備えて、
金駒が上ずっているため、
駒交換が行われた後に横から攻められやすいということもあります。
感覚的には「玉が堅いから多少攻められても大丈夫」ではなく、
「
金矢倉よりも争点から玉が遠いので王手がかかりにくい」
ということを生かす指し方が求められます。
歩と桂だけで簡単に拠点を作られる
矢倉穴熊は相手が居飛車なので、
下図のように相手が飛車先の歩を突き越していることも多いです。
上図から歩を
突き捨てて、下図のように銀の
頭に歩を打つだけでも困ります。
銀を逃げれば
拠点が残りますし、金銀のどちらで取っても、
端に桂(△9五桂)を打って、同じところにもう1度歩を打てば、
やはり拠点が残ります。
桂打ち1つで棒銀の破壊力
相手が端と飛車先を突き越している場合、
下図のように
端に
控えて桂を打つことで、
次に飛車先を突く手が生じるようになります。
相手の持ち駒に歩がある場合には、
先に飛車先を
突き捨ててから端に桂を打つことで、
攻めがスピードアップする場合もあります。
相手に桂を渡す場合には、反撃が生じやすいので注意が必要です。