[図1]
上の [図1] は、先手が王手を受けなければならない。▲2八金と打てばしっかりしているようだが、△3六桂と打たれると受けがない。ここは▲3八歩と「中合い」して△同竜と敵の大駒を近づけてから▲2八金と打てば、相手の竜が逃げている間に1手指す余裕が得られる。[図2]
上の [図2] は、2011年11月24日から25日にかけて行われた第24期竜王戦七番勝負 第4局「渡辺明 竜王 vs 丸山忠久 九段」の対局で、飛車の王手に対して、128手目に後手の渡辺竜王が△5一桂と打って「中合い」した局面。これが絶妙手で、△5一桂を打たずに2一に合駒をすると難解な形勢が続いていた。△5一桂に対して▲同飛成と取ると、竜が6筋から逸れたことによって、先手玉は△6四角からの詰めろになってしまう。また、この桂を取らなくても、桂の利きが6三にあるため、先手の入玉が困難となっている。実際、この後、先手は入玉をしたものの詰まされてしまった。[図3]
上の [図3] は、2011年2月20日に行われた NHK杯テレビ将棋トーナメント「羽生 善治 名人 vs 佐藤 康光 九段」で後手の佐藤九段が△9四香と打った王手に対して、先手の羽生名人が▲9五歩と打って「中合い」した局面。これを△同香と取ったが…。(下図4)[図4]
ここで、▲9六歩のように合駒をしては、△7九竜と銀を取られて必至がかかり、後手玉は詰まないので先手の負けである。ここで羽生名人が指した手は…。(下図5)[図5]
[図5] から羽生名人は▲9六金と「移動中合い」をした。金をタダで差し出したが、代わりに8七から玉の逃げ道が開けたので、寄せを回避することができた。実戦で2連続「中合い」、しかも移動合い有りというケースは極めて稀である。- スポンサーリンク -
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