目次
王位戦第3局
王位戦第5局
対局情報
局面解説
序盤
12手目:形勢判断と候補手
互角:△8四歩、△7二銀、△4四歩、△4二飛 など
12手目で△8八角成と角交換をする手は少し損です。
▲7八玉と寄る前ならば▲同銀と取るしかないので、
穴熊に組みづらくさせるという部分的な手筋ではあります。
しかし、
急戦を仕掛けられると9筋を突き越した意味が薄れるだけでなく、
後手玉の囲いが間に合わなくなる可能性が高まります。
25手目:形勢判断と候補手
互角:▲9八香、▲7八金 など
後手玉が8二まで移動している場合には
▲9八香から穴熊に囲う手が成立することが多いです。
但し、後手が△6四歩~△7四歩~△7三桂を優先している場合には
すぐの仕掛けに備えて▲6七金や▲7八金を優先した方が無難です。
29手目:形勢判断と候補手
互角:▲6五歩、▲9八香、▲1六歩 など
相手が三間飛車の場合、3筋の歩交換を見せられたら
「
居飛車の税金」で▲1六歩と端歩を突いておくのが手筋です。
△3五歩には▲2六飛と浮きますが、
その時に△1五角と出られる手を防ぎ、比較的穏やかな展開となります。
但し、▲6五歩と突いて後手に3筋の歩を交換させたり、
あえて端歩を突かずに▲2六飛と浮く指し方も有力です。
37手目:形勢判断と候補手
互角:▲2四歩、▲6八角、▲5五歩 など
37手目で▲9八香から穴熊を目指してはいけません。
次に後手が△3三桂と跳ねると理想的な形となってしまい、
△4五歩~△3六歩の仕掛けで飛車交換が避けられなくなります。
つまり、△3三桂と跳ねる手の価値が非常に高いため、
その前に仕掛けざるを得ない状況になっています。
中盤
40手目:形勢判断と候補手
互角:△2五歩
40手目では△2五歩と突く手があります。
▲同飛と取らせてから△3三桂と跳ねれば、
飛車取りになるので手順に桂を活用することができます。
先手は竜を作ることができました。
さらに後手の
大駒の働きが悪いので不満はありません。
これも△3三桂を間に合わせない指し方がもたらした展開と言えます。
59手目:形勢判断と候補手
先手優勢:▲5五歩
先手は持ち駒の歩を使って攻めたいのですが、
現状では2筋にしか歩を打つことができません。
持ち駒の少ない中盤では、歩を切ることを優先して考えましょう。
59手目は▲5五歩が
味の良い
好手です。
△同歩には▲5四歩~▲5三桂がありますし、
5筋を突破できれば、バランスの良い後手陣を左右に分断できます。
68手目:形勢判断と候補手
先手優勢:△5六歩、△4九角 など
「
5三のと金に負けなし」と言いますが、実現してしまいました。
後手は△5二歩のような手で と金を消したいですが、
▲4四桂と打たれると、先手に金を渡してしまいます。
先手は▲6四歩から2枚目の と金作りも狙っており、
後手としては、既にかなり勝ちづらい形です。
幸い、先手の攻めは、大駒が絡んでいないので少し遅いです。
この辺りで少し攻め合いを見せて揺さぶりましょう。
△5六歩には▲5八歩でしっかりと受けられてしまうのですが、
先手の竜の横利きを遮断した分は囲いを弱体化できたと言えます。
79手目:形勢判断と候補手
先手優勢:▲7七桂、▲7七角、▲7七金寄 など
次に後手は△4八竜の王手竜取りを狙っています。
開き王手は厳しい手になることが多いので、しっかりと受けておきましょう。
▲7七角は無難ですが、節約して▲7七桂や▲7七金寄も有力です。
但し、7筋に
壁ができるので、△9六歩からの端攻めが成立しないか、
常に意識するようにしましょう。
終盤
84手目:形勢判断と候補手
先手有利:△5七歩成、△6七銀成
84手目は△5七歩成が有力です。
▲5六金と歩を取られて、5五で
角筋を遮断される手順を防いでいます。
また、実戦的には△6七銀成~△6六金と迫る指し方も有力です。
単純な攻めなので、正確に受けられると続きませんが、
時間がないと間違える可能性は高く、
千日手にでもなればラッキーです。
97手目:形勢判断と候補手
先手優勢:▲5五桂、▲7五桂、▲4四歩 など
97手目で▲5五桂や▲7五桂と攻めの拠点を作る手は有力です。
終盤で攻めの拠点がなくても持ち駒に桂が2枚あると心強いです。
本譜は「
大駒は近づけて受けよ」で▲4四歩と打ちました。
先手は、手順に後手の角筋を逸らすことができたので、
自玉がかなり安全になりました。
あとは遅くてもいいので、確実な攻めを心掛けます。
後手は唯一の攻め筋である△6九金を打ちましたが、
詰めろでも何でもありません。
先手としては「持ち駒に金が1枚増えた」くらいに考えておきます。
119手にて、後手の菅井王位が投了し、
菅井王位の2勝、豊島棋聖の2勝となりました。
投了図以降、△9二玉 ▲9四馬 △7一桂 ▲7二と △同金 ▲同馬で
後手玉は
必至となります。
本局では豊島棋聖の優位を確実に拡大していく指し回しが非常に勉強になりました。
王位戦第3局
王位戦第5局