目次
解説動画
第66期王座戦第5局
王座戦第2局(9/18対局)
対局情報
斎藤 慎太郎 王座<後手>
永瀬 拓矢 叡王<先手>
※上記手番は千日手局のもの。指し直し局は先後逆。
角換わり相早繰り銀(千日手局)
急戦矢倉(指し直し局)
局面解説(千日手局)
序盤
23手目:形勢判断と候補手
互角:▲6九玉、▲6八玉、▲1六歩 など
先手は▲3五歩 △同歩 ▲同銀から▲2四歩と攻めたいのですが、
現状だと2四で
清算した後に、△1五角が王手飛車取りになります。
よって、23手目では▲1六歩と
端歩を突くか、玉を移動することで、
王手飛車取りを回避しておきます。
本譜は▲5八玉と上がりました。
争点となりそうな8筋からの距離を保ったバランス重視の
駒組みです。
但し、対早繰り銀では飛車が重要な守り駒となることも多いため、
横
利きを止めないように玉を二段目に上がらない指し方も有力です。
28手目:形勢判断と候補手
互角:△8六歩、△1四歩、△7三桂 など
28手目で本譜は△8六歩から
継ぎ歩攻めを行いました。
先手の銀が3五に出た瞬間がチャンスで、対早繰り銀の頻出手筋です。
△8六歩に対して▲同銀は△5五角が飛車香
両取りになるため、
▲同歩と取るしかありませんが、△8五歩と打ちます。
さらに▲同歩と取ってしまうと△同飛が銀桂両取りの
十字飛車となるため、
先手は
手抜きをしますが、8筋を押し込んで先手玉を狭くすることができます。
中盤
33手目:形勢判断と候補手
互角:▲3四歩
33手目は▲3四歩と打って、
拠点を作りつつ、後手の左銀を後退させる1手です。
後手が腰掛け銀の場合は、▲同銀と取る手も有力ですが、
早繰り銀の場合は、後手が2筋を受けた後に△5四角と打つ手が絶好で、
8筋突破を狙いつつ、先手の飛車の働きを抑えて、攻防によく利いています。
42手目:形勢判断と候補手
互角:△9六歩、△6二金、△8五飛 など
41手目では△9六歩から端を攻める手順が有力です。
▲同歩に△9七歩と
垂らしても、
△9八歩と
叩いて▲同香に△8七角と露骨に打ち込んでも攻めが続きます。
正確に指せば
形勢は互角ですが、後手の攻めが分かりやすいのに対して、
先手は迷う局面が多く、また間違えた時に形勢を大きく損ねやすいので、
実戦的には、先手がかなり苦労する展開となります。
本譜は△5四角と打って力を溜めました。
以下、先手は浮いた飛車の横利きを生かして受けに回ります。
後手も△5四角と打った以上は強く攻めたいところですが、
先手に駒を渡して、反撃されてしまうと、
後手玉の方が狭いため、寄せ合いで負けてしまいます。
62手にて、同一局面が4回現れて、
千日手が成立しました。
千日手成立の局面では、先手が▲6六歩と打って打開しても1局です。
棋譜(千日手局)
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棋戦:第67期王座戦五番勝負 第1局(千日手局)
先手:永瀬拓矢叡王
後手:斎藤慎太郎王座
手数----指手---------消費時間--
1 7六歩(77) ( 0:26/00:00:26)
2 8四歩(83) ( 0:33/00:00:33)
3 2六歩(27) ( 0:18/00:00:44)
4 3二金(41) ( 0:38/00:01:11)
5 2五歩(26) ( 0:29/00:01:13)
6 8五歩(84) ( 0:33/00:01:44)
7 7七角(88) ( 0:11/00:01:24)
8 3四歩(33) ( 0:19/00:02:03)
9 8八銀(79) ( 0:17/00:01:41)
10 7七角成(22) ( 0:51/00:02:54)
11 同 銀(88) ( 0:10/00:01:51)
12 2二銀(31) ( 0:12/00:03:06)
13 4八銀(39) ( 0:19/00:02:10)
14 6二銀(71) ( 0:32/00:03:38)
15 3六歩(37) ( 0:28/00:02:38)
16 7四歩(73) ( 1:45/00:05:23)
17 7八金(69) ( 0:38/00:03:16)
18 3三銀(22) ( 0:20/00:05:43)
19 3七銀(48) ( 0:18/00:03:34)
20 7三銀(62) ( 1:24/00:07:07)
21 4六銀(37) ( 0:19/00:03:53)
22 6四銀(73) ( 0:22/00:07:29)
23 5八玉(59) ( 0:11/00:04:04)
24 9四歩(93) ( 7:46/00:15:15)
25 3五歩(36) ( 1:14/00:05:18)
26 同 歩(34) ( 7:38/00:22:53)
27 同 銀(46) ( 0:14/00:05:32)
28 8六歩(85) ( 1:08/00:24:01)
29 同 歩(87) ( 0:08/00:05:40)
30 8五歩打 ( 0:38/00:24:39)
31 2四歩(25) ( 2:54/00:08:34)
32 同 歩(23) ( 0:42/00:25:21)
33 3四歩打 ( 0:22/00:08:56)
34 2二銀(33) ( 1:36/00:26:57)
35 2四飛(28) ( 0:21/00:09:17)
36 8六歩(85) (19:47/00:46:44)
37 8八歩打 ( 1:00/00:10:17)
38 9五歩(94) ( 1:11/00:47:55)
39 2六飛(24) ( 5:45/00:16:02)
40 2三歩打 ( 4:01/00:51:56)
41 6六歩(67) ( 3:51/00:19:53)
42 5四角打 (55:40/01:47:36)
43 4六銀(35) (62:20/01:22:13)
44 7五歩(74) ( 5:43/01:53:19)
45 6五歩(66) ( 6:05/01:28:18)
46 同 角(54) ( 0:24/01:53:43)
47 4五銀(46) ( 0:21/01:28:39)
48 7二金(61) (15:19/02:09:02)
49 3七桂(29) (14:54/01:43:33)
50 7三桂(81) (18:21/02:27:23)
51 5六銀(45) (17:12/02:00:45)
52 5四角(65) ( 1:50/02:29:13)
53 4五銀(56) (44:37/02:45:22)
54 6五角(54) ( 0:21/02:29:34)
55 5六銀(45) ( 0:26/02:45:48)
56 5四角(65) ( 0:37/02:30:11)
57 4五銀(56) ( 0:16/02:46:04)
58 6五角(54) ( 0:15/02:30:26)
59 5六銀(45) ( 0:19/02:46:23)
60 5四角(65) ( 0:21/02:30:47)
61 4五銀(56) ( 0:13/02:46:36)
62 6五角(54) ( 0:13/02:31:00)
63 千日手 ( 0:00/02:46:36)
まで62手で千日手
局面解説(指し直し局)
ここから先後を入れ替えて指し直し局となります。
指し直し局は先手が斎藤王座、後手が永瀬叡王です。
戦型は急戦矢倉となりました。
序盤
23手目:形勢判断と候補手
互角:▲4六角、▲6八角
23手目は角を引く1手ですが、▲4六角も▲6八角も有力です。
▲4六角の方が、相手の飛車を
睨み、△8四銀などを防いで積極的ですが、
角が狙われやすいうえに、▲4六歩や▲4六銀とできなくなるため、
作戦の幅が狭まり、序盤から少し難しい指し方が求められます。
本譜は▲6八角と引きました。
攻められそうな8筋を受けており、無難な1手です。
中盤
34手目:形勢判断と候補手
互角:△8六歩、△8四銀、△6四銀
34手目では△8四銀や△6四銀と引いて穏やかに指す手順も有力ですが、
次の攻めまで手数がかかるので、その間に先手から攻められてしまいます。
それであれば、厳密に言うと金矢倉や雁木に組んでいた方がわずかに得で、
急戦を目指した以上、明確な作戦負けに陥らないためには攻め続けるべきです。
本譜は△8六歩と強く攻め込みました。
43手目:形勢判断と候補手
互角:▲4五銀打、▲4八玉
現状は銀と桂香の
2枚替えで先手が少し
駒損です。
さらに4六の銀も香で取られそうなので、先手の駒損が拡大しそうです。
但し、後手は
歩切れのため、先手にとって今は香の価値が高くなっており、
後手は先手に香を渡しづらい状況でもあります。
43手目は
手番を生かし、4四の香を無視して、▲4五銀打とする手が有力です。
△同香 ▲同銀は香を入手できるうえに銀が進んで攻めに勢いが付きます。
後手が▲3四銀と▲5四銀の両狙いを受けることもできないため、
次に貴重な1歩を入手することができます。
本譜は▲7四銀と打って、後手の飛車を押さえにいきましたが、
駒が1枚足りなかったために圧力が弱く、お見合い状態となってしまいました。
53手目:形勢判断と候補手
後手優勢:▲3六歩、▲4八玉 など
後手は△3三角~△2二玉~△1四歩と陣形整備で指したい手が続きます。
一方、先手は陣形整備でそれ以上に価値の高い手がないため、
無理にでも、ここで攻めなければ、さらに差を付けられてしまいます。
しかし、現局面は後手が凌ぎ切っているため、
最後の一押しがなく、既に先手が相当苦しいです。
▲5七角~▲8八飛のように大駒を活用する構想は悪くないのですが、
先手が8筋を突破して、多少駒得できたとしても、
後手に持ち駒を渡してしまうと、玉形の差で寄せ合い負けします。
本譜は▲8六角と出ましたが、攻め駒が渋滞している感じが否めません。
63手目:形勢判断と候補手
後手優勢:▲2五金
63手目は後手陣の弱点の1つである
角頭の3四を狙って、
▲2五金と打つ手が有力です。これで次の▲3四金が受かりません。
先手は少しだけ攻め合いの形ができたため、
後手が間違えた時に逆転する可能性がわずかに上がりました。
尚、△2二玉と上がる前に▲2五金と打ってしまうと
場合によっては△2二桂と打って▲3四金を防がれるだけでも困ります。
狙いが1つしかない攻めは、簡単に防がれてしまうことが多いので、
実行するタイミングが重要です。
終盤
73手目:形勢判断と候補手
後手勝勢:▲5八歩、▲2四歩 など
先手は押さえ込みに失敗して、8五の銀が取り残されてしまいました。
仮にこの局面で8五の銀が6五にいれば、まだ互角の勝負です。
押さえ込みの将棋は指し方が難しく、1度相手の突破を許してしまうと、
駒が遊びやすいうえにまとめ直す余裕がなく、簡単に形勢を損ねます。
先手は、次に△4六香と銀を取られてから△5七歩成とされると
「
5三のと金に負けなし」の後手バージョンで、
居玉であることもプラスして、完全に受けがなくなります。
73手目で勝負を諦めないのであれば▲5八歩と打ちます。
後手が△4六香~△5五飛や△5四飛と浮いて飛車を活用すれば、
先手の勝ち目は薄いままなのですが、
間違えてくれれば▲7三歩成~▲7四銀と攻めてチャンスが出てきます。
本譜は▲3三金から、攻め合いの形を作りにいきました。
86手目:形勢判断と候補手
後手勝勢:△6一飛、△6七と、△5八歩 など
86手目では△6七と や△5八歩と攻めても後手の勝ちです。
本譜は△6一飛と寄りました。
▲7二馬~▲6一馬となれば結局飛車は取られてしまいますが、
と金を作られることなく、また馬の働きが悪くなっているため、より安全です。
90手にて、先手の斎藤王座が投了し、永瀬叡王の1勝となりました。
投了図以降、先手玉は△6八銀や△6九金からの
詰めろになっており、
受けるならば▲6八飛打のように持ち駒の飛車を投入する必要があります。
それだけで後手玉はさらに安全になりますし、
後は
大駒を取って、先手陣に打っていくだけで、すぐに受けがなくなります。
本局では永瀬叡王の相手に決め手を与えない凌ぎ方が非常に勉強になりました。
棋譜(指し直し局)
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棋戦:第67期王座戦五番勝負 第1局(指し直し局)
先手:斎藤慎太郎王座
後手:永瀬拓矢叡王
手数----指手---------消費時間--
1 7六歩(77) (151:16/02:31:16)
2 8四歩(83) (166:10/02:46:10)
3 6八銀(79) ( 0:29/02:31:45)
4 3四歩(33) ( 0:16/02:46:26)
5 7七銀(68) ( 0:14/02:31:59)
6 6二銀(71) ( 0:42/02:47:08)
7 2六歩(27) ( 0:20/02:32:19)
8 7四歩(73) ( 0:40/02:47:48)
9 2五歩(26) ( 0:26/02:32:45)
10 3二金(41) ( 0:08/02:47:56)
11 7八金(69) ( 0:49/02:33:34)
12 8五歩(84) ( 0:40/02:48:36)
13 5六歩(57) ( 1:49/02:35:23)
14 7三銀(62) ( 4:50/02:53:26)
15 7九角(88) ( 1:42/02:37:05)
16 4一玉(51) ( 0:18/02:53:44)
17 4八銀(39) (14:16/02:51:21)
18 4二銀(31) ( 8:44/03:02:28)
19 2四歩(25) ( 0:23/02:51:44)
20 同 歩(23) ( 0:07/03:02:35)
21 同 角(79) ( 0:08/02:51:52)
22 2三歩打 ( 0:06/03:02:41)
23 6八角(24) ( 2:58/02:54:50)
24 5四歩(53) ( 7:32/03:10:13)
25 6六歩(67) ( 6:34/03:01:24)
26 6四銀(73) ( 3:10/03:13:23)
27 5七銀(48) ( 0:14/03:01:38)
28 7五歩(74) ( 1:22/03:14:45)
29 同 歩(76) (13:48/03:15:26)
30 7二飛(82) ( 0:30/03:15:15)
31 6七金(78) (33:55/03:49:21)
32 7五銀(64) ( 9:07/03:24:22)
33 7六歩打 ( 0:10/03:49:31)
34 8六歩(85) ( 0:07/03:24:29)
35 同 歩(87) (29:16/04:18:47)
36 8八歩打 ( 0:11/03:24:40)
37 7五歩(76) ( 0:05/04:18:52)
38 8九歩成(88) ( 0:09/03:24:49)
39 7六銀(77) ( 0:30/04:19:22)
40 9九と(89) ( 8:52/03:33:41)
41 4六銀(57) ( 1:56/04:21:18)
42 4四香打 (16:26/03:50:07)
43 7四銀打 ( 7:26/04:28:44)
44 8二飛(72) ( 8:56/03:59:03)
45 8五歩(86) ( 4:39/04:33:23)
46 7二金(61) ( 0:56/03:59:59)
47 8四歩(85) (21:14/04:54:37)
48 同 飛(82) ( 3:41/04:03:40)
49 8五銀(76) ( 0:07/04:54:44)
50 8二飛(84) ( 0:05/04:03:45)
51 8四歩打 ( 0:15/04:54:59)
52 3一玉(41) ( 9:37/04:13:22)
53 8六角(68) ( 3:12/04:58:11)
54 3三角(22) ( 3:17/04:16:39)
55 8三歩成(84) ( 1:49/05:00:00)
56 同 金(72) ( 0:02/04:16:41)
57 同 銀成(74) ( 0:00/05:00:00)
58 同 飛(82) ( 0:01/04:16:42)
59 8四歩打 ( 0:00/05:00:00)
60 8二飛(83) ( 0:02/04:16:44)
61 7四歩(75) ( 0:00/05:00:00)
62 2二玉(31) ( 3:52/04:20:36)
63 2五金打 ( 0:00/05:00:00)
64 5五歩(54) (14:03/04:34:39)
65 3四金(25) ( 0:00/05:00:00)
66 5六歩(55) ( 0:03/04:34:42)
67 同 金(67) ( 0:00/05:00:00)
68 6四桂打 ( 0:10/04:34:52)
69 5七金(56) ( 0:00/05:00:00)
70 5六歩打 ( 2:53/04:37:45)
71 6七金(57) ( 0:00/05:00:00)
72 5二飛(82) ( 0:13/04:37:58)
73 3三金(34) ( 0:00/05:00:00)
74 同 銀(42) ( 0:15/04:38:13)
75 2四歩打 ( 0:00/05:00:00)
76 同 歩(23) ( 1:18/04:39:31)
77 4一角打 ( 0:00/05:00:00)
78 5一飛(52) ( 5:53/04:45:24)
79 2三歩打 ( 0:00/05:00:00)
80 同 金(32) ( 4:00/04:49:24)
81 6三角成(41) ( 0:00/05:00:00)
82 4六香(44) ( 0:03/04:49:27)
83 同 歩(47) ( 0:00/05:00:00)
84 5七歩成(56) ( 0:28/04:49:55)
85 5二歩打 ( 0:00/05:00:00)
86 6一飛(51) ( 0:15/04:50:10)
87 7二馬(63) ( 0:00/05:00:00)
88 6七と(57) ( 0:38/04:50:48)
89 6一馬(72) ( 0:00/05:00:00)
90 5七銀打 ( 2:24/04:53:12)
91 投了 ( 0:00/05:00:00)
まで90手で後手の勝ち
第66期王座戦第5局
王座戦第2局(9/18対局)