目次
中住まいの基本形
下図が中住まい(なかずまい)の基本形です。
最小構成として、玉の配置が同じ(5筋の二段目)であれば中住まいと言えます。
「囲い(玉周辺)」ではなく「陣形(全体)」を指しているとも言えますが、
玉の状態は伝わりますので、その違いを気にする必要はありません。
中住まいの特長
中住まいは主に相居飛車の横歩取りや相掛かりで現れる囲いです。
玉を堅くするのではなく、陣形全体のバランスを取って隙を無くすことで、
相手から攻め込まれにくくなっています。
短手数で完成するので、
急戦にも対応しやすいです。
どこかを集中的に攻撃されてしまうと突破されやすいですが、
その後も右か左の、より安全な方向に玉を逃げ出すことができます。
中住まいの評価
標準手数 | 5 手 |
横の耐久力 | 55 /100 |
斜めの耐久力 | 30 /100 |
上部の耐久力 | 50 /100 |
端の耐久力 | 60 /100 |
玉の広さ | 100 /100 |
玉の遠さ | 50 /100 |
囲いやすさ | 95 /100 |
陣形バランス | 100 /100 |
囲いの進展性 | 60 /100 |
※弊サイト独自の評価です。戦型や局面によって変動しますし、点数の合計が大きいからと言って必ずしも優れているということではありません。あくまでも目安としてお考えください。
中住まいの前段階
特にありません。
急戦に備えることを重視した薄い陣形ということもあり、
他の囲いから、中住まいに組み替えるメリットもほぼありません。
中住まいからの進展
基本的には、このまま戦いとなります。
仕掛けが難しい場合は、なるべく隙が生じないように意識して、
歩や桂や銀を少しずつ前進させて
厚みを築くように指すことが多いです。
稀に、左右いずれかに矢倉や
銀冠の形を作って玉を移動することがあります。
主な相手の囲い
急戦に備えて、相手も短手数でバランス重視の陣形となっていることが多いです。
中住まいの主な弱点
桂を跳ねると飛車の打ち込みが生じやすくなる
中住まいは、桂を跳ねて攻めに活用することが多いです。
その反面、飛車交換の展開になると、
下図のように、桂の初期位置に飛車を
打ち込まれてしまいます。
以下、相手の攻めが続いてしまいますので、飛車を打ち込まれる段階では、
攻め合いに持ち込めるようにしておく必要があります。
端攻めで飛車の打ち込みが生じやすくなる
相手の持ち駒に飛車と歩がある場合、
下図のように、
端歩を
突き捨てる手が有力です。
▲同歩と応じると、香を吊り上げられてから、
下図のように、隅に飛車を
打ち込まれます。
▲2八金と寄れば、桂香
両取りを防ぎつつ、
飛車の閉じ込めに成功しているようですが、
△2七歩と金取りに
叩かれて、受けになっていません。
といった対応をあらかじめ意識して、
相手の端攻めに合わせた速度で攻めを準備しておく必要があります。
端攻めで角打ちによる両取りが生じやすくなる
相手の持ち駒に角と歩がある場合、
下図から、△1六歩と
端歩を
突き捨ててくる変化が有力です。
▲同歩と応じると、香を吊り上げられてから、
下図のように、角を打たれて飛車香
両取りがかかります。
攻め合いに持ち込むか、あるいは、角を打たれて両取りがかからないように
飛車の位置に注意をすることが必要です。
角と桂のこびん攻めで王手金取りがかかりやすい
相手の角が間接的に自玉を
睨んでおり、かつ、相手の持ち駒に桂がある場合、
下図のように桂を打てば、王手金取りがかかります。
この桂を取り返すことはできないので、金は助からず、最低でも金桂交換の
駒損です。
相手の角が間接的に金を睨んでいる場合も、
下図のように桂を打てば、同様の厳しさで王手金取りがかかります。
この桂を▲同歩と取り返すと、角で金を取られてしまいます。
中段付近には駒の
利きが多いので、角を打つ隙は生じにくいのですが、
こびん攻めは厳しいので、常に意識しておくことが重要です。
玉頭を攻められやすい
中住まいは、お互いが桂を攻めに使う展開になりやすいです。
桂を2回跳ねるだけでも
玉頭に利いてきますし、
5筋の歩を伸ばしてくれば、さらに厳しさが増します。
相手にだけ、このような活用をされてしまうと、
差が付きやすくなってしまうので注意が必要です。
逆に言うと、相手の陣形も中住まいである場合には、
桂を相手よりも活用できるような展開に持ち込めば優位に立ちやすくなります。