目次
解説動画
第76期名人戦第6局
名人戦第2局
対局情報
佐藤 天彦 名人<先手>
豊島 将之 二冠<後手>
※上記手番は千日手局のもの。指し直し局は先後逆。
角換わり腰掛け銀(千日手局)
横歩取り(指し直し局)
局面解説(千日手局)
39手目:形勢判断と候補手
互角:▲6六歩、▲4五歩、▲4五桂、▲8八玉、▲6八玉 など
39手目で最も無難な手は▲6六歩です。本譜は▲4五桂と跳ねました。
これに対して、後手は△4四銀・△2二銀・△4二銀のいずれも有力です。
このうち△4二銀と引いた場合に限り、▲6六角と打つ手があるため、
6六に歩を進める前に▲4五桂と跳ねた、という意味合いがあります。
本譜で後手は△2二銀と引きました。
壁銀で悪形のようですが、意外と先手の攻めの継続が難しい状態でした。
先手が無理に攻めて形勢を損ねるリスクがわずかに高まったため、
馬を作ってから飛車を追いかけることで、先手が
千日手となる手順を選び、
58手にて、同一局面が4回現れて、千日手成立となりました。
棋譜(千日手局)
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棋戦:第77期名人戦七番勝負 第1局(千日手局)
先手:佐藤天彦名人
後手:豊島将之二冠
手数----指手---------消費時間--
1 2六歩(27) ( 0:00/00:00:00)
2 8四歩(83) ( 0:00/00:00:00)
3 2五歩(26) ( 0:00/00:00:00)
4 8五歩(84) ( 0:00/00:00:00)
5 7六歩(77) ( 0:00/00:00:00)
6 3二金(41) ( 0:00/00:00:00)
7 7七角(88) ( 0:00/00:00:00)
8 3四歩(33) ( 0:00/00:00:00)
9 6八銀(79) ( 0:00/00:00:00)
10 7七角成(22) ( 0:00/00:00:00)
11 同 銀(68) ( 0:00/00:00:00)
12 2二銀(31) ( 0:00/00:00:00)
13 4八銀(39) ( 0:00/00:00:00)
14 3三銀(22) ( 0:00/00:00:00)
15 7八金(69) ( 0:00/00:00:00)
16 6二銀(71) ( 0:00/00:00:00)
17 4六歩(47) ( 0:00/00:00:00)
18 4二玉(51) ( 0:00/00:00:00)
19 4七銀(48) ( 0:00/00:00:00)
20 7四歩(73) ( 0:00/00:00:00)
21 3六歩(37) ( 0:00/00:00:00)
22 1四歩(13) ( 0:00/00:00:00)
23 1六歩(17) ( 0:00/00:00:00)
24 7三桂(81) ( 0:00/00:00:00)
25 6八玉(59) ( 0:00/00:00:00)
26 6四歩(63) ( 0:00/00:00:00)
27 3七桂(29) ( 0:00/00:00:00)
28 6三銀(62) ( 0:00/00:00:00)
29 2九飛(28) ( 0:00/00:00:00)
30 8一飛(82) ( 0:00/00:00:00)
31 4八金(49) ( 0:00/00:00:00)
32 6二金(61) ( 0:00/00:00:00)
33 9六歩(97) ( 0:00/00:00:00)
34 5四銀(63) ( 0:00/00:00:00)
35 5六銀(47) ( 0:00/00:00:00)
36 3一玉(42) ( 0:00/00:00:00)
37 7九玉(68) ( 0:00/00:00:00)
38 9四歩(93) ( 0:00/00:00:00)
39 4五桂(37) ( 0:00/00:00:00)
40 2二銀(33) ( 0:00/00:00:00)
41 5三桂成(45) ( 0:00/00:00:00)
42 同 金(62) ( 0:00/00:00:00)
43 7二角打 ( 0:00/00:00:00)
44 8二飛(81) ( 0:00/00:00:00)
45 6一角成(72) ( 0:00/00:00:00)
46 3三銀(22) ( 0:00/00:00:00)
47 7一馬(61) ( 0:00/00:00:00)
48 5二飛(82) ( 0:00/00:00:00)
49 6一馬(71) ( 0:00/00:00:00)
50 8二飛(52) ( 0:00/00:00:00)
51 7一馬(61) ( 0:00/00:00:00)
52 5二飛(82) ( 0:00/00:00:00)
53 6一馬(71) ( 0:00/00:00:00)
54 8二飛(52) ( 0:00/00:00:00)
55 7一馬(61) ( 0:00/00:00:00)
56 5二飛(82) ( 0:00/00:00:00)
57 6一馬(71) ( 0:00/00:00:00)
58 8二飛(52) ( 0:00/00:00:00)
59 千日手 ( 0:00/00:00:00)
まで58手で千日手
局面解説(指し直し局)
序盤
18手目:形勢判断と候補手
互角:△5二玉、△2二銀、△8二飛 など
横歩取りは序盤から難しい変化を多く含んでおり、
1手のミスで大きく形勢を損ねやすい戦法です。
28手までは第31期竜王戦第6局の羽生vs広瀬戦と同一局面が続きます。
※以下は第31期竜王戦第6局の羽生vs広瀬戦と同じ解説文です。
18手目に△7六飛として、後手も横歩を取った場合、
手数は長いのですが、ほぼ一直線の変化で先手有利となります。
(手順の一例)
▲3三角成 △同桂 ▲8四飛 △8二歩 ▲8三歩 △7二金 ▲8二歩成 △同銀 ▲8五角 △8三歩 ▲7六角 △8四歩 ▲2一飛
特に横歩取りでは、つい指してしまうような悪手がたくさんあります。
序盤の指し手が敗着となることも珍しくありません。
いつも以上に
手番・
質駒・
離れ駒に気を配ることが必要ですし、
経験を生かしてミスを減らすために指し手を決めてしまうことも実戦的です。
21手目:形勢判断と候補手
互角:▲7七角、▲7七桂、▲3三角成、▲8四飛、▲6八玉
※以下は第31期竜王戦第6局の羽生vs広瀬戦と同じ解説文です。
後手玉が後手陣の歩に
紐を付けており、
先手からの角打ちによる飛車取りと角成りの両狙いが生じないため、
20手目の△7六飛は成立します。
そして、先手は次に△8八角成とされてしまうと、▲同銀は△7八飛成、
▲同金は△7九飛成で、
金駒を取られつつ飛車を
成り込まれて負けです。
よって、先手は△8八角成に対応する必要がありますが、
ここでは様々な有力手があります。
本譜は①▲7七角と上がりました。△8六飛を防ぎつつ、
相手から角交換をしてくれば手順に左桂を跳ねることができます。
②▲7七桂と跳ねて、角交換自体を防ぐ手も有力です。
一時的に先手の角が動けなくなりますが、▲6五桂で一気に活用できます。
③▲3三角成と先手から角交換をする手も有力です。
手順に△同桂と跳ねられるので損をしているようですが、
▲8四飛と回って△8二歩と受けさせた後、
先手も▲2八歩と先受けしておけば、激しい変化を減らすことができます。
④▲8四飛と回る手もあります。
△8八角成には▲同飛と取って、力戦向かい飛車のような指し方になります。
⑤▲6八玉と寄る手もあります。
1手損の勇気流なので厳密に言えば損ですが、後手も
咎めるのは難しいです。
中盤
28手目:形勢判断と候補手
互角:△6四角、△8六歩
※以下は第31期竜王戦第6局の羽生vs広瀬戦と同じ解説文です。
先手の桂が2枚とも跳ねているので、▲4五桂&▲6五桂の攻めが速く、
後手は陣形整備をしている余裕がありません。
反面、桂を跳ねている分、先手陣には隙がありますので、
後手は飛車の打ち込みを狙います。
本譜は△8六歩と垂らしました。
「
金は斜めに誘え」で△8七歩成 ▲同金とすれば
バランスの良い先手陣が乱れて、飛車の打ち込みが厳しくなります。
29手目:形勢判断と候補手
互角:▲8八歩、▲8二歩、▲8四飛、▲6五桂 など
次に△8七歩成から▲同金 △8九飛となると金銀香取りですが、
▲8八角と打てば受かるため、必ずしも先手が受ける必要はありません。
29手目で攻めるならば▲8二歩や▲6五桂が有力です。
本譜は▲8八歩と打ってしっかりと受けました。
歩の位置に着目すると凹まされた先手が損をしているようですが、
先手には▲6五桂と▲4五桂からの5筋突破という楽しみがあります。
32手目:形勢判断と候補手
互角:△2八飛、△2七歩
32手目で△8九飛と打って、△9九飛成~△7六香という攻めは厳しいのですが、
▲6五桂~▲2二歩という攻めの方が1手早い状態です。
本譜は△2八飛と打ちました。飛車は狭いですが、
次に△3七角成があるため、△8九飛よりも攻めとしては1手早いです。
尚、この局面では△2七歩と垂らす手も有力です。
▲2九歩と打てば簡単に受かるようですが、▲2二歩と打てなくなるため、
今度は△8九飛と打って互角の攻め合いとなります。
但し、△2七歩に対しては▲2四飛と打つ変化も有力です。
相手の歩の裏に飛車を打つ手も横歩取りではよく出てきます。
35手目:形勢判断と候補手
互角:▲6八銀、▲4六角 など
34手目の△8二銀はあまり見ない形ですが、
先手が8八に歩を打っており、▲8三歩の
叩きがないために生じた手です。
△7二銀と上がる方が6一の金と連結しているので形は良いのですが、
▲6五桂~▲7三歩が銀取りになるため、それを避けるための工夫です。
銀は歩の叩きに対して弱い駒であるため、
お互いが歩を多く手持ちにする横歩取りでは、特に意識する必要があります。
尚、この局面で▲2七歩と打って飛車を閉じ込める手に対しては
△2六歩と合わせるのが
好手です。
先手が無理に飛車を取りにいくと、7筋が壁形として残った状態で、
成駒を作られたうえに
金駒を渡すので、とても先手玉は耐えきれません。
38手目:形勢判断と候補手
互角:△3三桂
次に▲4五桂と跳ねられてしまうと破壊力抜群の攻めになるため、
それを防ぐことは必須で、38手目は左桂の活用も見込んだ△3三桂が有力です。
先手は2枚の桂を活用できているので、後手が1枚も桂を跳ねずに勝つことは、
戦力バランスから考えても難しいという意味合いもあります。
本譜は△5四竜と回りましたが、やや消極的な手でした。
目先の狙いは△6五竜ですが、桂取りは▲6六歩で受かります。
▲4五桂を防いで上部に
手厚くなった部分はありますが、
その分、後手の攻めも遅くなっています。
また、竜は守備力が高いものの、狙われやすい駒でもあるため、
自玉の近くだと、長所と短所が相殺されて、能力を十分に発揮できません。
45手目:形勢判断と候補手
先手有利:▲4六歩、▲2二歩 など
45手目では▲4六歩と突く手が有力です。△同角とタダで取られてしまいますが、
▲4七銀が角取りとなるため、手順に自陣の駒を押し上げることができます。
ここから▲4六角 △同角 ▲同歩の次に▲4七銀と上がる手順と比較すると
1歩損ではありますが、1手得していることが分かります。
横歩取りでは、相手の持ち駒に歩が複数枚あることが多く、
相対的に1歩の価値が低くなります。
さらに短手数で決着しやすいため、相対的に1手の価値が高くなります。
よって、横歩取りにおいて、歩は捨てやすい駒となります。
49手目:形勢判断と候補手
先手有利:▲5六歩、▲4六角、▲6五桂 など
49手目では▲5六歩と突く手が有力です。
将来的に▲5四歩 △同歩 ▲5三歩のような攻めが実現すると
中住まいは簡単に崩壊します。
手数はかかりますし、反動を気にする必要もありますが、
歩を
伸ばす手順が間に合うならば最も厳しい攻め筋です。
本譜は▲5六銀と上がりました。
腰掛け銀は手厚い指し方ですが、攻めは遅くなりました。
60手目:形勢判断と候補手
互角:△2七歩成、△4四桂
60手目は△2六歩と打った手を生かして、
△2七歩成からの攻め合いが有力です。
▲4五桂と逃げる手が、手順に先手からの厳しい攻めにもなっていますが、
先手玉も薄いので、あとは△3七と からの寄せ合いです。
後手も玉が上ずると非常に怖い形になりますが、結果的に1手負けだとしても、
後手番で際どい寄せ合いに持ち込めれば良しとするのも1つの考え方です。
本譜は△4四歩と突きました。
▲4五桂を確実に防いだ手ですが、
玉のこびんが開いたため角打ちに対する危険度が増してしまいました。
後手は2六に歩が残ったままだと
▲2四飛に対する受け方が難しくなるということもあります。
終盤
63手目:形勢判断と候補手
先手優勢:▲2三飛打、▲4三歩、▲同飛成 など
62手目の△2二角は▲2一飛成と▲4四飛を同時に防いた手ですが、
手番を握ることができない受けに角を手放すのはもったいない感じがします。
先手の飛車も狭いですが、最悪でも飛車角交換には持ち込めますし、
先手は角を手に入れれば▲3四角の
王手が厳しいです。
63手目で本譜は▲同飛成としました。先手にとって角は欲しい駒ですし、
先手は陣形が低いので、飛車を渡しても反動が少ないことを見越しています。
67手目:形勢判断と候補手
先手勝勢:▲5五銀、▲8一飛、▲4三歩 など
67手目で本譜は▲5五銀と捨てましたが、これが決め手となりました。
△同角とタダで取られますが、5三の利きを減らすことができました。
あとは▲4三歩と打って4二の銀も動かせば、
▲5三桂成や▲5三桂不成が実現して攻めが続きます。
但し、駒を捨てる寄せは逆転負けのリスクも伴います。
特に飛車と金は攻防共に使いやすいので、
読み切れていない場合は渡さない方が無難です。
73手にて、後手の佐藤名人が投了し、豊島二冠の1勝となりました。
投了図で後手玉に受けはありません。△7一銀と引いても▲同飛成と切り、
△同金 ▲4二歩成 △6一玉 ▲6三成桂とすれば後手玉に
必至がかかります。
本局では豊島二冠の、確実な辛抱と踏み込みタイミングが非常に勉強になりました。
棋譜(指し直し局)
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棋戦:第77期名人戦七番勝負 第1局(指し直し局)
先手:豊島将之二冠
後手:佐藤天彦名人
手数----指手---------消費時間--
1 2六歩(27) ( 0:00/00:00:00)
2 8四歩(83) ( 0:00/00:00:00)
3 7六歩(77) ( 0:00/00:00:00)
4 3四歩(33) ( 0:00/00:00:00)
5 2五歩(26) ( 0:00/00:00:00)
6 8五歩(84) ( 0:00/00:00:00)
7 7八金(69) ( 0:00/00:00:00)
8 3二金(41) ( 0:00/00:00:00)
9 2四歩(25) ( 0:00/00:00:00)
10 同 歩(23) ( 0:00/00:00:00)
11 同 飛(28) ( 0:00/00:00:00)
12 8六歩(85) ( 0:00/00:00:00)
13 同 歩(87) ( 0:00/00:00:00)
14 同 飛(82) ( 0:00/00:00:00)
15 3四飛(24) ( 0:00/00:00:00)
16 3三角(22) ( 0:00/00:00:00)
17 5八玉(59) ( 0:00/00:00:00)
18 5二玉(51) ( 0:00/00:00:00)
19 3六歩(37) ( 0:00/00:00:00)
20 7六飛(86) ( 0:00/00:00:00)
21 7七角(88) ( 0:00/00:00:00)
22 7四飛(76) ( 0:00/00:00:00)
23 同 飛(34) ( 0:00/00:00:00)
24 同 歩(73) ( 0:00/00:00:00)
25 3七桂(29) ( 0:00/00:00:00)
26 7七角成(33) ( 0:00/00:00:00)
27 同 桂(89) ( 0:00/00:00:00)
28 8六歩打 ( 0:00/00:00:00)
29 8八歩打 ( 0:00/00:00:00)
30 6四角打 ( 0:00/00:00:00)
31 3八銀(39) ( 0:00/00:00:00)
32 2八飛打 ( 0:00/00:00:00)
33 6九玉(58) ( 0:00/00:00:00)
34 8二銀(71) ( 0:00/00:00:00)
35 6八銀(79) ( 0:00/00:00:00)
36 2四飛成(28) ( 0:00/00:00:00)
37 6五桂(77) ( 0:00/00:00:00)
38 5四竜(24) ( 0:00/00:00:00)
39 6六歩(67) ( 0:00/00:00:00)
40 7三桂(81) ( 0:00/00:00:00)
41 同 桂成(65) ( 0:00/00:00:00)
42 同 角(64) ( 0:00/00:00:00)
43 4八金(49) ( 0:00/00:00:00)
44 4二銀(31) ( 0:00/00:00:00)
45 4六歩(47) ( 0:00/00:00:00)
46 同 角(73) ( 0:00/00:00:00)
47 4七銀(38) ( 0:00/00:00:00)
48 7三角(46) ( 0:00/00:00:00)
49 5六銀(47) ( 0:00/00:00:00)
50 2四竜(54) ( 0:00/00:00:00)
51 2五歩打 ( 0:00/00:00:00)
52 4四竜(24) ( 0:00/00:00:00)
53 5九銀(68) ( 0:00/00:00:00)
54 2六歩打 ( 0:00/00:00:00)
55 6五桂打 ( 0:00/00:00:00)
56 6四角(73) ( 0:00/00:00:00)
57 3五角打 ( 0:00/00:00:00)
58 同 竜(44) ( 0:00/00:00:00)
59 同 歩(36) ( 0:00/00:00:00)
60 4四歩(43) ( 0:00/00:00:00)
61 2四飛打 ( 0:00/00:00:00)
62 2二角打 ( 0:00/00:00:00)
63 同 飛成(24) ( 0:00/00:00:00)
64 同 金(32) ( 0:00/00:00:00)
65 3四角打 ( 0:00/00:00:00)
66 5一玉(52) ( 0:00/00:00:00)
67 5五銀(56) ( 0:00/00:00:00)
68 同 角(64) ( 0:00/00:00:00)
69 4三歩打 ( 0:00/00:00:00)
70 3一銀(42) ( 0:00/00:00:00)
71 5三桂成(65) ( 0:00/00:00:00)
72 5二歩打 ( 0:00/00:00:00)
73 8一飛打 ( 0:00/00:00:00)
74 投了 ( 0:00/00:00:00)
まで73手で先手の勝ち
第76期名人戦第6局
名人戦第2局