金矢倉:将棋の囲い

目次

金矢倉の基本形

下図が金矢倉(きんやぐら)の基本形です。 最小構成として、金銀3枚の配置が同じであれば金矢倉と言えます。


なお、「金矢倉」は「矢倉」に分類される囲いのうちの1つですが、 他の「矢倉」よりも組まれることが圧倒的に多いため、 単に「矢倉」と表現した場合に「金矢倉」を意味していることもよくあります。

金矢倉の組み方としては、先に金銀で形を作った後に玉が入ることが多いです。 手数はかかりますが、隙が生じにくくて無難です。 (下図が一例。手順をさかのぼれば組み方を確認できます。)


また、左金の上がりを後回しにして、先に玉を移動させる「早囲い」という組み方もあります(下図)。


前述のように▲7九角~▲6八角と組む手順と比較すると、 玉の入城ルートを確保するための▲6八角が不要になって、7九で角を待機させることができるため、その点は1手得になっていると言えます。 ただし、金矢倉が組み上がる前の不安定な状態で相手が仕掛けてくる展開には十分注意する必要があります。

金矢倉の特長

金矢倉は原則として居飛車の囲いです。
(戦いの途中で中飛車に変化するようなことはあります。)

金矢倉は金銀2枚を三段目に押し上げて配置しており、 上部からの攻めに対する耐久力が高い囲いとなっているため、 特に相居飛車の戦型において、 相手の攻撃陣と自分の玉が向かい合っている状態で真価を発揮します。 また、囲いに参加していない残りの駒(飛車・角・右銀・右桂・右香)を攻めで連携させやすいので、 必然的にすべての駒を活用できる形が多くなります。

なお、対抗形(居飛車 vs 振り飛車)の居飛車側が金矢倉に組むことは稀です。 対抗形の場合は、相居飛車よりも横から攻撃される可能性が高いのですが、 金矢倉は横からの攻撃に対してあまり強くないためです。

金矢倉の戦型は昭和以前から非常に多く指されていました。 「矢倉24手組」という定跡も広く知られており、40手くらいかけてお互いがしっかりと金矢倉の陣形を整えてから勝負開始という考えが一般的でした。 絶妙な攻守バランスや難解な押し引きから生まれる名局も多く、「矢倉は将棋の純文学」とも言われていました。

しかし、AI研究による攻めの技術の向上などで先攻有利の流れとなり、 特に後手が積極的な仕掛けを見せる序中盤が増えた結果、囲いにかける手数を減らす傾向が強くなって金矢倉は減少しました。 ただし、金矢倉自体が優秀な囲いであることに変わりはありません。

金矢倉の評価

標準手数14 手
横の耐久力70 /100
斜めの耐久力80 /100
上部の耐久力85 /100
端の耐久力70 /100
玉の広さ80 /100
玉の遠さ80 /100
囲いやすさ80 /100
陣形バランス80 /100
囲いの進展性70 /100


※弊サイト独自の評価です。戦型や局面によって変動しますし、点数の合計が大きいからと言って必ずしも優れているということではありません。あくまでも目安としてお考えください。

金矢倉の前段階

組み方は様々なので、名前の付いている囲いを経由しないことが多いです。

金矢倉からの進展

金矢倉のまま戦いになることも多いですが、 駒組みが長引くと、主に銀の移動によって、別の名前の囲いになることがあります。

主な相手の囲い

矢倉か雁木がほとんどです。

金矢倉の主な弱点

大駒を打ち込まれる隙が多い

金矢倉は金駒が上ずった陣形であるため、隙が生じやすいです。 よくある一例として、早い段階でいきなり角を打ち込む手が成立する場合があります(下図)。 この角を無理やり囲い込めば、金駒との交換になって駒得はできるのですが、 陣形が崩れたり、攻めの主導権を失ったりするマイナス面も大きいです。


自陣の隙や大駒を打ち込まれた際の展開を意識しつつ、 大駒交換後にはしっかりと攻め合いに持ち込むことができるように、 あらかじめ準備しておくことが重要です。

棒銀が端から進んでくる

金矢倉は端を金駒で守っていません。 そのため、下図のような状態だと相手の棒銀で端から攻められてしまいます。


上図から相手が端歩を突いて▲同歩 △同銀となります(下図)。 ここは銀で取るのが攻め駒を前進させ続けるためのポイントです。


以下、▲同香 △同香で銀香交換となり、部分的には少し駒得です。 しかし、端を突破されやすい状態が続くうえに、矢倉の中盤で持ち駒の香は有効な使い道が多いことから、総合的に判断するとマイナスの方が大きくなります。

基本的に囲い側の端歩を突く手は自玉が広くなるのでプラスになることが多いです。 しかし、(特に矢倉で)相手が棒銀で攻めてくる可能性がある場合には、 端歩を突かないで様子を見たほうが良いです。 その場合、相手に端歩を突き越されてしまっても構いません。

歩だけで端を崩される

相手の持ち駒に歩が2枚以上ある場合(下図)でも、 金矢倉の端は狙われる恐れがあります。


上図から相手が端歩を突き捨てて、歩を垂らす(下図)だけでも、 囲いのバランスを崩さずに対応することが難しくなっています。


歩だけであれば棒銀ほどの脅威ではありません。 しかし、相手の持ち駒の種類がもう少し多かったり、斜めや横からの攻めと絡んだりすると、より効果的になることもあります。 早い段階で相手に歩を与えすぎないように意識したうえで、 相手の持ち駒の歩が増えるまでには、攻めの態勢を整えておくことが重要です。

それでも上から攻めてくる

金矢倉が上部からの攻めに対して強いことは間違いないのですが、 持ち駒を犠牲にして、直接的に攻めてくる手が成立する場合があります。 よくある一例として、玉頭の歩の上に持ち駒の桂をただ捨てする手筋があります(下図)。


以下、▲同歩 △同歩となると玉の目前まで歩が進んでくるので、かなり厄介です。 さらに▲同銀 △同飛 ▲8七歩として拠点を排除した場合、囲いの銀がなくなったうえに駒損となります。 このように相手の持ち駒が増えた中終盤では棒銀と同様の破壊力を持つ場合があるため、注意が必要です。

また、端歩の関係もありますが、桂を控えて打ち、次に飛車先の歩を突くような攻め方もあります(下図)。


相手の持ち駒が増えると、これらの攻め筋を完全に防ぐことは難しいです。 しかし、相手に攻め込まれて駒交換が行われた後は、自分の持ち駒が増えているので攻撃力が上がっています。 一気に崩されないように適度に受けつつ、どこかで攻め合いに持ち込めるような形を作っておくことが重要です。

玉の隣の金を狙われる

金矢倉は玉の右隣にいる金を玉1枚でしか支えていません。 そのため、飛車(竜)を主軸として横から攻められてしまうと、 手抜きをしづらいうえに、手順に金銀を剥がされて囲いが弱体化しやすいです(下図)。


相手が十分な持ち駒を持っていると受け切りは困難なので、 この時点で相手玉に迫ることができていなければジリ貧濃厚です。 上図のように危ない形は事前に予測したうえで、 実現させないように受けておくか、寄せ合いを目指すかを判断することが重要です。

飛車打ちを見せた銀捨て

金矢倉は一段目と二段目に金駒が1枚しかいないため、 相手の持ち駒に飛車と銀(角)がある場合には、 飛車打ちによる両取りがかかりやすくなります。

例えば、下図のように、銀のただ捨てで王手をされてしまうと、 ▲同玉でも▲同金でも、王手馬取りに飛車を打たれてしまいます。 (玉が逃げたら馬金両取りに飛車を打たれてしまいます。)


なお、銀の代わりに角を打つ手が成立することもあります。 相手の持ち駒に飛車と銀(角)がある場合、攻撃陣の駒の配置に注意が必要です。

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